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■脳の老廃物除去、深い眠りでスピードアップ 脳疾患の治療に光 [健康ダイジェスト]

 「なぜ人間は人生の約3分の1を寝て過ごすのか」という問いは古くから科学者と哲学者を悩ませ続ける永遠のテーマですが、「睡眠によって脳の老廃物が洗い流される」ということが発見され、アルツハイマー病などの多くの脳疾患の治療が大きく進展する可能性が明らかになりました。
 アメリカのロチェスター医療大学の共同センター長であるメイケン・ネダーガード博士とその研究チームは、脳の持つ脳細胞内の老廃物を洗い流し排出するという機能が、深い眠りにある間に最も活発に働くことを発見しました。この研究は、10月18日付けで科学誌サイエンスで発表されています。
 これまでにもネダーガード博士によって、「グリンパティック系システム」という脳細胞から老廃物が排出される循環メカニズムが発見されていましたが、今回の研究は、このグリンパティック系システムの応用研究として実施されました。グリンパティック系システムは、脳細胞内に脳脊髄液が流入することで、トキシンなどのタンパク質が洗い流され、脳内血管を通じて循環系から肝臓へと排出されるというもの。
 一般的に体内の老廃物を処理する仕組みとしてリンパ系システムが機能していますが、脳はそれ自体が閉じた一種の生態系を維持しており、脳に何を入れ脳から何を出すかを独自にコントロールする複合システムを備え持つため、一般的なリンパ系システムは脳にまで及ばないことがわかっていました。しかし、脳の老廃物処理プロセスは、生きた脳の観察ができなかったため、長年研究者には避けられ続けた研究テーマでした。
 しかし、「2光子励起顕微鏡」と呼ばれる赤外線を用いた新しい技術の登場により、脳の血流量や大脳の脳脊髄液流量を、被写体である動物が生きた状態で観察できるようになり、脳のシステムの研究が大きく進展しました。
 今回の研究では、人間の脳に似た脳を持つハツカネズミの脳血流量と大脳の脳脊髄液を観察したところ、睡眠中にグリンパティック系システムが活性化することが発見され、その量は起きている時に比べ10倍も活発であることが判明しました。
 また、神経細胞を活動的にするグリア細胞であると推測される脳細胞が睡眠時に60パーセント収縮することで、より多くの脳脊髄液が流入できるよう大きな空間を作り出し、脳の洗浄を効率的に行うことも発見されています。
 アルツハイマー病やパーキンソン病のように脳細胞の欠損を引き起こす症状の多くは、脳内にダメージを受けたタンパク質が作り出され蓄積するという特徴があります。ネダーガード博士は、「今回発見された脳のクリーニングメカニズムは、これらの脳疾患の解明と治療に貢献する可能性があります」と語っています。
 従来、睡眠には記憶や学習内容を定着させる役割があることがわかっていましたが、睡眠時には外敵に襲われる危険が極めて高いことから考えると、睡眠のメリットよりもリスクがあまりにも高すぎるため、より大きな他の役割があるのではないかと考えられてきました。
 睡眠に関する専門家のネイル・スタンレー博士は、「今回発見された睡眠による脳のクリアランスシステムは、睡眠の果たす重要な役割の一つを示唆するものであり非常に興味深いものです」とコメントしています。

 2013年10月19日(土)





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