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■熊本市の赤ちゃんポスト10年、125人を預かる 104人は生後1カ月未満の新生児 [健康ダイジェスト]





 熊本市にある民間病院の慈恵病院が、親が育てられない子供を匿名で受け入れる、いわゆる「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)を設けて、10日で10年になりました。
 これまでに預けられた125人の大半は新生児で、その多くは環境の整っていない自宅などで出産したとみられ、望まない妊娠が危険な出産に直結する深刻な実態を示しています。
 慈恵病院が2007年の5月10日に運用を始めた赤ちゃんポストには、2016年3月末までの9年間に125人が預けられ、生後1カ月未満の新生児が104人と大半を占めています。
 中でも、へその緒がついたままだったり、出産後に母親がへその緒を切ったりするなど、環境の整っていない自宅などで出産したとみられるケースは、2014年度には82%、2015年度には85%と増える傾向にあります。さらに、低体重など適切なケアを受けないまま預けられた新生児も増えており、2015年度には預けられた新生児の60%が治療が必要な状態でした。
 熊本市が設けた赤ちゃんポストの検証を行う専門部会の委員で、関西大学の山縣文治教授は、「自宅などで出産し、体力が回復しないまま母親が新生児とともに熊本にくるというケースがあとを絶たない状況は、母子ともに危険にさらされているといわざるをえない。出産や育児に悩む親たちの受け入れを1つの病院に任せるのではなく、自治体や国全体で真剣に考え、赤ちゃんポストの利用者を減らす努力を進める必要がある」と話しています。
 熊本市によりますと、2016年3月末までの9年間に赤ちゃんポストに預けられた子供125人を年齢別に見ると、生後1カ月未満の新生児が104人と80%以上を占め、1歳未満の乳児が15人、1歳以上の幼児が7人となっています。
 このうち、児童相談所の調査などで1年以内に親が判明したのは96人で、母親の年齢は10歳代が15人、20歳代が45人、30歳代が28人、40歳代が8人となっています。
 子供を預けた理由を複数回答で尋ねたところ、「生活の困窮」が最も多く32件に上っており、「未婚の出産」が27件、「世間体」「戸籍に入れたくない」が24件などとなっています。
 96人の親の住所は、九州が39人と最も多いほか、関東が22人、中部が11人、近畿が10人、中国8人、東北3人、北海道1人、四国1人と、全国から預け入れがあることがわかります。また、2015年度には初めて海外からの預け入れがありました。
 預けられた子供たちのその後の状況をみると、2013年度末までに預けられた101人のうち、特別養子縁組が成立したり、里親に預けられたりした子供が48人、乳児院などの施設で育てられている子供が30人、親元に引き取られた子供が18人などとなっています。
 熊本市の慈恵病院は10年前、赤ちゃんポストと同時に専用の電話相談窓口を開き、妊娠に関する悩みの相談に24時間体制で応じています。
 寄せられる相談は年々増えており、2016年度は6565件と、これまでで最も多かった2015年度より20%も増えました。中には、妊娠をしたことを周囲に知られたくないという中高生や不倫中の女性からの相談や、「出産後、赤ちゃんポストに預けたい」という相談が目立つということで、望まない妊娠を誰にも打ち明けられずに、不安を抱える女性たちの実態が浮き彫りになっています。
 熊本市は、児童福祉の専門家や医師など、外部の委員でつくる専門部会を設け、この10年間、赤ちゃんポストを巡る課題などについて検証を進めてきました。
 この中では、赤ちゃんポストに一定の意義はあるとした上で、妊娠中に病院を受診せず、自宅などで出産するケースがあとを絶たないことについて、「母子ともに命にかかわる事故が起きても不思議ではない事例が数多くみられる」として、安全性が確保されないまま運用が続いていることを問題視しています。
 特に、妊娠中から赤ちゃんポストに子供を預けることを前提として病院に行かず、危険な出産を自ら選択するケースが多いことが深刻だとしており、国や自治体に対し、妊娠中の相談に応じる窓口を充実させるよう、強く求めています。

 2017年5月11日(木)
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