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■目の手術に使える人工硝子体を開発、網膜治療での負担を軽減 東京大と筑波大の研究チーム [健康ダイジェスト]




    
 東京大学と筑波大学の研究チームは、眼球の中を満たす「硝子体」に代わる人工組織を世界で初めて開発したと発表しました。
 この人工硝子体を使えば、網膜の手術後1週間程度は下を向いて過ごさなければいけない不便を解消できるといいます。ウサギで有効性を確かめており、2、3年後には人で治験を始めたいとしています。
 東京大の酒井崇匡(たかまさ)准教授(高分子科学)らが9日付で、イギリスの科学誌「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング」(電子版)に発表しました。
 硝子体は眼球の内容の大部分を占めるゼリー状の透明な組織で、眼球の丸みのある形を保ち、外力に抵抗する働きがあります。国内で年間約10万人が受けていると推計される網膜の手術では、硝子体を取り除き、最後に代わりのガスかシリコンオイルなどを眼球内に入れて患部を固定します。
 これらは、後に眼球内に染み出てくる水分より軽いため、目を正面に向けていると眼球上部に集まり、奥にある網膜の最も重要な部分である黄斑(おうはん)を確実に固定することができません。このため、患部が安定するまでの約1週間は黄斑にガスやオイルがきちんと当たるよう、うつむいて過ごす必要があります。オイルを入れた場合は後日、抜き取る手術も必要です。
 人工硝子体はゼリー状の特殊な有機化合物で99・5%は水分。眼球に染み出てくる水分となじみ、むらができないため下を向いている必要がありません。自然に分解されて体外に排出されるため、除去手術も不要です。
 筑波大の岡本史樹(ふみき)講師(眼科学)は、「無害で副作用はない。ウサギの眼球に1年間入れておいたが、視神経など周辺組織に異常はなかった」と話しています。

 2017年3月11日(土)
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■中国、正常な受精卵で世界初のゲノム編集 遺伝子異常の修復に成功 [健康ダイジェスト]




    
 生命の設計図に当たる遺伝子を自由に改変できる「ゲノム編集」の技術を人の正常な受精卵に対して使い、血液の遺伝病を引き起こす原因となる遺伝子の修復に成功したと、中国・北京放射医学研究所などの研究チームが9日までに国際科学誌に発表しました。
 人の受精卵のゲノムを編集することは、影響が子孫へと受け継がれるため倫理的に否定的な意見が強くあります。2015年4月に中国の別の研究チームが、染色体数に異常があり人にならない受精卵で実施しましたが、実際に人として誕生し得る正常な受精卵では世界初とみられ、議論を呼びそうです。受精卵は解析に使い、子宮には戻していません。
 研究チームは、不妊治療で不要となった卵子に精子を注入して授精させ6個の受精卵を作製。精子は血液の遺伝病を患う男性患者から提供されたもので、いずれも精子に血液の病気の原因となる遺伝子がありました。受精卵に対して、ゲノム編集で最も普及している「CRISPRーCas9」(クリスパー・キャス9)という技術を使い、2日間培養したところ、3個で原因となる遺伝子が修復できていました。
 研究チームは実験のねらいを、正常な受精卵でのゲノム編集の成功率を調べることと説明。染色体数に異常がある受精卵では、ねらいどおりに遺伝子を修復できたのは10個に1個程度だったため、「正常な受精卵のほうが改変の成功率が高いようだ」としています。
 遺伝子の間違った箇所を変えてしまうミスも確認されませんでした。ただ、3個の受精卵のうち2個は、細胞分裂を繰り返した後に修復できた細胞と、修復できていない細胞がモザイク状に混在するという問題が見付かりました。
 ゲノム編集の問題に詳しい北海道大学の石井哲也教授は、「今回の研究では、これまでの例より正確に、遺伝子の異常を修復できたとしていて、ゲノム編集による遺伝子治療が現実に可能になりつつあることを示している。この技術が乱用されないよう日本でも法整備や社会的な議論を急ぐ必要がある」と話しています。
 ゲノム編集は、生物の姿や形、特性などを決めるゲノム(全遺伝情報)を人為的に改変する技術。ゲノムはDNA(デオキシリボ核酸)で構成され、生命活動に必要なタンパク質を作る情報はDNA内の遺伝子が持っています。特殊な物質を使ってDNAの一部を切り取ったり、その部分に新たなDNAを組み込んだりすることで、遺伝子の働きを改変させます。従来の技術より効率よく遺伝子を組み換えられ、低コストで時間も短縮できます。

 2017年3月11日(土)
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