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■病気 亀頭包皮炎 [病気(か行)]



[クリスマス]陰茎の亀頭部と包皮に炎症が生じる疾患
 亀頭(きとう)包皮炎とは、男性の陰茎の先に当たる亀頭部と、陰茎を包んでいる皮膚に当たる包皮に炎症を生じる疾患。亀頭が包皮に包まれている包茎の場合に多く、細菌感染などで炎症が起こります。
 小児の亀頭は、通常、包皮に包まれています。そのため亀頭と包皮の間にカスやアカがたまりやすいために、亀頭包皮炎を発症します。おむつをしている乳児には、しばしばみられます。
 症状としては、亀頭と包皮が赤くはれて、うみが出たり、排尿の時に痛がります。おむつやパンツには、黄色いうみが付きます。
 成人の場合も、主に亀頭と包皮の内側の間にアカがたまることによって、細菌などに感染し発症します。包茎があると発症しやすくなりますが、包茎がなくても発症します。セックス、オーラルセックスの際、気付かないうちに亀頭に傷ができてしまい、その傷が治る前に細菌が入って発症することもあります。女性からカンジダや淋菌(りんきん)などの細菌や、単純ヘルペスウイルスを移されて、発症することもあります。
 これ以外にもいろいろな原因があり、尿や薬品などが原因で起こるアレルギー性のものもあります。
 症状は、どんな細菌、ウイルスが入るかによって違うところもあり、どんな細菌、ウイルスでも同じに出る症状もあります。軽度のものは、亀頭と包皮のかゆみ、痛み、はれ、発赤、焼けるような感じが現れます。高度のものは、びらんを作り、うみを持つことがあり、排尿時に痛みを発します。時に出血することもあります。
 カンジダに感染した場合は、亀頭部の付け根に当たる環状溝や包皮に、白っぽいカスが付着し、かゆくなるのが特徴です。淋菌に感染した場合は、黄色いうみ状の液が出るのが特徴です。ヘルペスに感染した場合は、痛みを伴う水疱(すいほう)ができて、破れます。アレルギー性のものでは、かゆみとむくみを伴い発赤します。
[クリスマス]亀頭包皮炎の検査と診断と治療
 亀頭や包皮に発赤、はれ、痛み、かゆみが現れたならば、小児科、あるいは泌尿器科の専門医を受診します。
 小児の場合は、小児科医、泌尿器科医が診察すれば容易に診断できるので、特別な検査は不要です。成人の場合、いろいろな原因があり、症状だけでは診断できないことも多くなります。
 性器に皮膚疾患を示しているカンジダ症などの原因疾患について調べ、尿の検査を行うこともあります。ラテックス製コンドーム使用の有無を問診することもあります。治りにくいものでは、基礎疾患に尿道炎や糖尿病、免疫病、腫瘍(しゅよう)がないか組織検査を行うこともあります。
 治療では、無理のない範囲で包皮をむいて、分泌物や退廃物を洗浄したり、うみを出して消毒したりした後で、抗生剤の軟こうを塗ります。びらんを作っているなど炎症が強い時には、抗生剤の内服が必要なこともあります。
 カンジダが原因となっている場合は抗真菌剤、淋菌が原因となっている場合は抗生物質、アレルギー性の場合は抗アレルギー剤を使って治します。
 手で包皮をむいても亀頭が顔を出さないものを真性包茎と呼びますが、真性包茎で亀頭包皮炎を繰り返すと、皮膚自体が弱まり、皮膚が部分的に切れる包皮裂傷などの原因となります。この真性包茎で再発を繰り返す場合や、尿が出にくい場合、なかなか治癒に至らない難治性の場合、他の疾患の合併症などが生じた場合は、炎症が治まった時点での手術が考慮されます。手術には、包茎の環状切除または包皮形成術があります。
 小児の場合、治癒した後は再発を防ぐため、入浴時には皮をむいて洗うようにします。また、汚れた手で性器を触らないように注意します。成人の場合も、再発を防ぐためには、できるだけ性器を清潔に保ち、細菌やウイルスが広がりにくいようにすることが欠かせません。

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■病気 急性精巣上体炎(急性副睾丸炎) [病気(か行)]



[バー]精巣に付着している精巣上体に、急性の炎症が起こる疾患
 急性精巣上体炎とは、男性の陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしている精巣の上面、および後面に付着している精巣上体に、急性の炎症が起こる疾患。急性副睾丸(こうがん)炎とも呼ばれます。
 精巣上体、すなわち副睾丸は、精巣から出た精子を運ぶ精管が精巣、すなわち睾丸のすぐ近くで膨れている部分に相当します。精管はこの精巣上体から、精嚢腺(せいのうせん)と前立腺につながり、そこで分泌された精液と一緒になって尿道に出ていくのが、射精です。炎症の多くは、精巣の上面に付着している精巣上体に起こります。
 尿の中の細菌などが精巣上体に入り込んで、感染を起こすことが原因です。通常、尿には炎症を起こすほどの細菌はいませんが、前立腺肥大症、尿道狭窄(きょうさく)、膀胱(ぼうこう)結石などの疾患があると、尿は汚れて細菌が増殖しますから、急性精巣上体炎を起こしやすくなります。これらは高齢者に多く、大腸菌などの一般的な細菌が原因菌となります。
 一方、青年層にみられる場合は、性行為感染症(STD)の1つである尿道炎から引き起こされます。尿道炎の原因であるクラミジアや淋菌(りんきん)が精巣上体に至ることによって、炎症を起こします。  
 症状は、陰嚢内の精巣上体の一部の軽い痛みで始まります。自覚症状としては、精巣そのものの痛みのように感じるかもしれません。徐々に陰嚢全体に痛みが広がり、陰嚢が硬くはれ上がり、皮膚が赤みを帯びてきます。
 歩行時に激しく痛んだり、はれているところを圧迫すると強い痛みを感じ、38度以上の発熱を伴うことがしばしばあります。さらに悪化すると、陰嚢の中にうみがたまり、破れて出てくることもあります。精管に沿って炎症が広がっていると、大ももの付け根の鼠径(そけい)部や下腹部の痛みを感じることもあります。
 普通は、膿尿(のうにょう)、細菌尿を伴って症状が全般的に強いのですが、クラミジアの感染では症状が軽度で膿尿もみられないことがあります。精巣に炎症がおよぶことはまれで、精巣にはれ、圧痛は認められません。
[バー]急性精巣上体炎の検査と診断と治療
 適切な抗生剤を早期に使用することによって比較的治りやすい疾患ですが、悪化すると治療が困難になり慢性化してしまったり、精巣を摘出しなければならないことがあります。早めに泌尿器科の専門医を受診することが大切で、治療中は激しい運動や飲酒は控えます。
 医師の側では、尿検査で尿中の白血球や細菌を検出します。クラミジア感染が疑われる場合も、尿で検査できます。細菌については、その種類とどのような抗生剤が効くかを同時に調べますが、細菌が検出されないこともまれではありません。
 また、全身への影響をみるため、血液検査で炎症反応などをチェックします。精索捻転(ねんてん)症や精巣腫瘍(しゅよう)との区別が難しい場合もあります。
 治療は、局所の安静と冷湿布、抗生剤の経口投与が主体となります。抗生剤は、尿路感染症に有効なユナシンなどのペニシリン系、セフゾンなどのセフェム系、クラビットなどのニューキノロン系が用いられます。また、サポーターなどで陰嚢を持ち上げることで、症状が和らぎます。
 発熱などの全身症状がみられる場合は、消炎鎮痛剤の投与とともに、入院した上で安静を保ち、抗生剤の点滴による治療が必要になります。
 発熱を伴う急性期の炎症は、1〜2週間で治まります。精巣上体のはれや鈍い痛みは、数カ月続く場合が多く、時には精巣上体に硬いしこりが残ってしまうことがあります。初期の治療が不十分だと炎症が悪化してうみがたまり、陰嚢を切開してうみを出さなければならなかったり、精巣を含めて精巣上体を摘出しなければならないこともあります。
 後遺症として、慢性精巣上体炎に移行したり、精巣上体部の精子通過障害をもたらすことがあります。精巣にも炎症が波及し、両側性であれば男性不妊につながることもあります。

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■病気 肝臓がん [病気(か行)]





[iモード]主に肝炎ウイルスの感染で、肝臓に発生するがん
 肝臓がんとは、血液中の栄養素を分解して貯蔵したり、有害な物質を分解して排出したりする肝臓に、発生するがん。肝がんとも呼ばれます。
 肝臓は上腹部に位置し、重さ1000~1500グラム程度で、人間の体内では脳に次いで2番目に大きな臓器です。その主要な機能の1つは、消化された食物に含まれる各種栄養素を蛋白(たんぱく)、脂質、炭水化物に変える合成作用で、さらに糖をグリコーゲンとして貯蔵し、必要に応じてブドウ糖に分解して血中に放出するといった働きも持っています。
 もう1つの主要な機能は、血液中の有害な物質を分解、処理し、それらを胆汁や血液中に排出する解毒作用で、有害な物質は最終的には尿や便に混じって体から出されます。また、胆汁の生成と代謝も、肝臓の主要な機能の1つです。    
 肝臓にできるがんは、その組織型によりいくつかの種類に分類されます。中では、栄養素の合成、分解貯蔵、解毒に関係する肝細胞から発生する肝臓細胞がんと、胆汁の通り道である胆管の上皮を形成する細胞から発生する胆管細胞がん(肝内胆管がん)が、そのほとんどを占めています。そのほかに、特殊な組織型の肝臓がんが存在します。
 これら肝臓から発生したがんを合わせて、原発性肝臓がんと呼びます。原発性肝臓がんの約95パーセントは肝臓細胞がんで、胆管細胞がんは5パーセント弱程度と比較的まれな腫瘍です。そして、胃や大腸などほかの臓器で発生したがん細胞が、肝臓に転移をして起こるがんは、転移性肝臓がんと呼びます。
 ここからは、原発性肝臓がんの中で最も多い肝臓細胞がんについて説明します。普通、肝臓がんといえば、肝臓細胞がんを指すからです。胆管細胞がん(肝内胆管がん)は、組織学的な特徴から海外では胆道がんに分類され、日本の医療機関でも胆道がん(肝外胆管がん、胆嚢〔たんのう〕がん)に準じて治療を行うケースが多くなってきています。
 肝臓がんは1975年以降から急増して、現在は年間約3万人以上が死亡しており、がんによる死因の第4位となっています。年齢別にみると、60歳代で最も頻度が高く、C型肝炎からの肝臓がんの発症リスクは年齢が高くなるほど高くなります。B型肝炎では、C型肝炎に比べて若年での肝臓がんの発症もみられます。
 男性ではその頻度は横ばいとなってきているのに対して、女性ではいまだ増加傾向にあります。地域的には、西日本に多く東日本に少ない西高東低型を示します。
 日本人の肝臓がんの約90パーセントは、B型、C型肝炎ウイルスの感染によって起こっています。C型肝炎では、肝炎ウイルスに感染してから慢性肝炎、肝硬変を経て約30年で肝臓がんが発生します。一方、B型肝炎では、無症候性キャリアや慢性肝炎の状態からも肝臓がんを発症することがあります。
 B型、C型肝炎ウイルスの感染は主に血液を介して起こりますので、1975年以降の急激な肝臓がんの増加は、戦後の売血制度や輸血を多用した肺結核手術が原因と見なされています。現在では、輸血による感染はほぼ完全に防止されています。また、出産時にB型肝炎ウイルス陽性の母親から新生児への感染が起こる母子感染も、予防可能となっています。
 近年では、アルコール多飲や脂肪肝など、ウイルス以外が原因と考えられる肝臓がんが増えてきています。
 肝臓は元来予備能力が大きく、がんが発生しても自覚症状は比較的少ないため、多くの発症者は慢性肝炎や肝硬変の治療を受けている途中、検査によって無症状のうちに肝臓がんを発見されます。中には、上腹部のしこりや痛み、発熱、黄疸(おうだん)といった自覚症状により、疾患が見付かることもあります。
 しかし、これらはかなり病状が進んでからの症状です。まれに、肝臓がんの破裂による激烈な腹痛やショックが初発症状であることもあり、このような場合は生命にかかわることがあるので早急な処置が必要です。
 そのほか、がんが進行すると腹水がたまったり、がんによって肝臓へ流れ込む血流が遮られて、食道や胃などに静脈瘤(りゅう)と呼ばれる血流のバイパス路が発達し、これらの静脈瘤が破裂することにより吐血や下血がみられたりすることがあります。
[iモード]肝臓がんの検査と診断と治療
 肝臓がんが発生しても通常の肝機能検査(一般の血液検査)に変化が現れないことが多く、また、自覚症状がないことも少なくありません。そのため、慢性肝炎や肝硬変の発症者に対して、血中の腫瘍マーカーや腹部超音波検査によってがんのスクリーニングが行われています。
 腫瘍マーカーとしては、アルファフェトプロテイン(AFP)、PIVKA−Ⅱなどが単独や組み合わせてよく用いられます。AFPやPIVKA−Ⅱは肝臓がん以外の原因でも異常値を示すことがあるため、確定診断には腹部超音波検査やCT、MRIによる画像診断が必須です。
 多くの場合は腫瘍マーカーの値と画像診断により確定診断が可能ですが、必要に応じて生検や腹部血管造影検査を行うこともあります。生検は、がん細胞の一部を直接採取して、顕微鏡下で調べる検査。腹部血管造影検査は、足の付け根の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、そこから造影剤を流すことで、どの動脈ががんに栄養を与えているか、肝臓の中を走る門脈、肝静脈といった血管の中に、腫瘍(しゅよう)が入り込んで塊を作る脈管侵襲があるかどうかなどを調べる検査。
 また、血管を造影しながらCT撮影を行うことで、通常のCTでは見付けることが難しい主病巣以外の数ミリのがんの診断が可能です。生検と腹部血管造影には、検査のための入院が必要です。
 肝臓がんの治療にはさまざまな方法があり、腫瘍の広がり、肝予備能、年齢、全身状態などを総合して治療法を選択します。代表的な治療法には、肝切除術、経皮的治療、肝動脈化学塞栓(そくせん)療法、化学療法があります。そのほか、放射線療法、肝移植などが行われることもあります。
 肝切除術では、外科的に腫瘍の切除を行います。肝予備能により肝臓全体の何パーセントまで切除が可能か異なるため、手術前にはCTなどの画像を用いて切除体積の計算をし、手術の計画が立てられます。比較的肝予備能のよい発症者が対象となります。
 経皮的治療には、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA)、マイクロ波凝固療法(PMC)、エタノール注入療法(PEI)などがあります。近年では、ラジオ波焼灼療法が多く用いられていて、超音波やCTで位置を確認しながら治療用の電極針で経皮的に腫瘍を穿刺(さくし)し、熱凝固により腫瘍を壊死(えし)に陥らせます。一般的に、がんの大きさが3センチ 以内、数が3個以下のものが適応とされます。             
 肝動脈化学塞栓療法では、カテーテルを使って血管造影を行いながら、腫瘍に栄養や酸素を送っている血管を確認し、抗がん剤をリピオドールという造影剤の一種と混ぜたものを注入した後、ゼラチン粒という塞栓剤で栄養血管を詰めることによりがん細胞を壊死に陥らせます。比較的幅広い対象の発症者に治療が可能ですが、門脈という肝臓の血管が腫瘍によって閉塞していたり、肝予備能が極端に低かったりすると対象となりません。
 化学療法には、肝動脈にカテーテルを用いて直接抗がん剤を流す肝動注化学療法と、内服剤や静脈内投与により全身に抗がん剤を行き渡らせる全身化学療法があります。2009年5月より、肝臓がんに対して唯一延命効果が証明された抗がん剤、ソラフェニブ(ネクサバールR)が国内で使用可能となっています。
 肝臓がんは、慢性肝炎や肝硬変を背景として発生する腫瘍であり、多発したり再発したりすることの多い疾患です。そのため、何度も治療を繰り返すことが多く、肝予備能とのバランスを考えながら、その都度最も適した治療を行う必要があります。また、肝硬変に合併しやすい食道・胃静脈瘤に対する治療が必要となることもあります。

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■病気 カルチノイド [病気(か行)]



[iモード]非がん性、がん性の混じった腫瘍で、過剰なホルモン様物質を産生
 カルチノイドとは、消化管や気管支などの原腸(げんちょう)由来の臓器から発生する、非がん性ないしがん性の腫瘍(しゅよう)。原腸とは、受精卵が成長する過程で出現する消化管その他の原器です。
 カルチノイドは通常、小腸、直腸、虫垂、十二指腸、胃などの消化管のホルモン産生細胞に発生し、膵臓(すいぞう)、精巣、卵巣、肺、気管支、胸腺(きょうせん)のホルモン産生細胞でも発生します。がん性のカルチノイドは、一般のがんに比べて進行はゆっくりで、長い経過をたどります。転移することもまれです。全く症状を示さない非がん性のカルチノイドも、発生します。
 消化管に発生したカルチノイドは、セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、カテコールアミンなどのホルモン様の生理活性物質を産生します。膵臓、肺、気管支、胸腺などに発生したカルチノイドは、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、ガストリンなどを産生します。
 カルチノイドが消化管や膵臓にできると、それが産生する物質は血液中に放出され、直接肝臓の門脈に入り、肝臓の酵素によって破壊されます。そのため、消化管にカルチノイドができても、一般的には肝臓に広がらなければ症状は現れません。
 肝臓に広がった場合は、肝臓はこれらのホルモン様物質が全身を循環し始める前に破壊できなくなります。腫瘍が放出する物質によって、カルチノイド症候群と呼ばれる種々の症状が現れます。また、肺、精巣、卵巣に腫瘍ができた場合も、産生するホルモン様物質が肝臓を迂回(うかい)して血流に乗り、広く全身を循環するために種々の症状が現れます。
 カルチノイドのある人の多くは、他の腸管腫瘍に似た症状を示し、主に締め付けられるような腹部の痛みと、閉塞(へいそく)の結果として便通の変化が現れます。
 カルチノイド症候群は腫瘍がある人の10パーセント以下に現れ、顔や首に出る不快な紅潮は最も典型的で、最初に現れることが多い症状です。血管拡張による紅潮は、感情、食事、飲酒、熱い飲み物によって起こります。紅潮に続いて、皮膚が青ざめることがあります。
 腸の収縮が過剰になると、腹部けいれんと下痢を生じます。腸は栄養を適切に吸収できないため栄養不足になり、脂肪性の悪臭を放つ脂肪便が出ます。心臓も傷害を受けて、下肢がはれます。
 肺への空気の供給も妨げられて、気管支ぜんそくに似た発作や息切れが現れます。セックスへの興味を失ったり、男性では勃起(ぼっき)機能不全になることもあります。
[iモード]カルチノイドの検査と診断と治療
 症状からカルチノイドが疑われる場合は、尿を24時間採取して、尿中のセロトニンの副産物の1つである5ーヒドロキシインドール酢酸(5ーHIAA)の量を測定し、その結果から診断します。
 この検査を行う前の少なくとも3日間は、バナナ、トマト、プラム、アボカド、パイナップル、ナス、クルミといったセロトニンを豊富に含む食べ物を避けます。ある特定の薬、せき止めシロップによく使われるグアイフェネシン、筋弛緩(しかん)薬のメトカルバモール、抗精神病薬のフェノチアジンなども検査結果の妨げになります。
 腫瘍の位置を突き止めるには、放射性核種走査が有効な検査です。カルチノイドの多くはホルモンのソマトスタチン受容体がありますので、放射性ソマトスタチンを注射する放射性核種走査によって、腫瘍の位置や転移の有無が確認できます。この方法で約90パーセントの腫瘍の位置がわかります。
 CT(コンピューター断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査、動脈造影も、腫瘍の位置を突き止めたり、腫瘍が肝臓に転移していないかを確認するのに役立ちます。腫瘍の位置の診査手術が必要な場合もあります。
 腫瘍が虫垂、小腸、直腸、肺など一定部分に限定していれば、外科的切除で治癒することがあります。腫瘍が肝臓に転移している場合、手術で治すのは困難ですが、症状が緩和されることがあります。腫瘍の増殖は遅いので、腫瘍が転移している人でさえ10〜15年生存することがしばしばあります。
 進行した場合、一般のがんと同様に放射線療法や、抗がん剤による化学療法を含めた集学的治療を行います。ストレプトゾシンにフルオロウラシル、時にはドキソルビシンなどの抗がん剤の併用によって、症状を緩和できることがあります。
 オクトレオチドも症状を緩和し、タモキシフェン、インターフェロンアルファ、エフロルニチンは腫瘍の増殖を抑制します。カルチノイド症候群による紅潮を抑えるためには、フェノチアジン、シメチジン、フェントラミンが使用されます。

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