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■用語 機能性尿失禁 [用語(か行)]





[トイレ]排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えで起こる尿失禁
 機能性尿失禁とは、排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や精神機能の衰えが原因で起こる尿失禁。
 膀胱(ぼうこう)や尿道、その筋肉や神経に問題があって自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れるわけではなく、運動機能や精神機能に問題があって、尿意を催しても、それをトイレでの排尿動作に結び付けられずに尿を漏らします。
 この機能性尿失禁は、特に高齢者に多くみられます。
 運動機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、足が不自由だったり、手がうまく使えなかったり、機敏性に欠けたりなど日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の低下のために、トイレにゆくまでの歩行が緩慢で時間がかかったり、ズボンを下ろしたりする動作に手間取ったりして、尿を漏らします。
 このような状態になる原因としては、脳出血や脳梗塞(こうそく)などの脳卒中の後遺症による動作障害、関節リウマチや腰椎(ようつい)骨折、大腿骨(だいたいこつ)骨折などによる運動障害があります。
 精神機能に問題があって起こる機能性の尿失禁は、認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下し、トイレの場所の認識が薄れる、トイレの使い方がわからない、別の場所をトイレだと思い込む、排尿行為が認識できず尿がたまっているのにトイレにゆく行動を起こせない、などの理由のために、尿を漏らしたり、トイレ以外で排尿します。
 高齢になると、運動機能の低下と精神機能の衰えの両方が交じって複雑になることもあります。治療よりも、トイレにゆきやすい生活環境を見直したり、定期的にトイレに連れてゆくなどの介護の工夫が必要になります。
[トイレ]機能性尿失禁の対処方法
 運動機能に問題がある場合の尿失禁の対処方法
 医師や介護ケアの専門家と相談の上、生活環境や習慣を見直し、残された身体機能をなるべく生かして、自立して排尿できる方法を考えることが大切です。
(1)治療・機能回復訓練(リハビリテーション)
 痛みの治療や筋力トレーニングなど、治療や機能回復訓練で治せるものは治します。専門家による評価(判断)が必要です。
(2)トイレ動作の工夫
 寝たきりの人でも、練習によって座ることや立つことができるようになる場合もあります。
(3)介助方法の習得・工夫
 介助の方法がわからなかったり、間違っているために尿失禁になっている場合には、専門家が介護者に適切な介助方法を提案します。
(4)住環境の整備
 生活の場所(寝室)をトイレの近くに移動する、あるいはポータブルトイレを使用する、トイレや廊下などに手すりをつける、廊下の段差をなくす、便器を使いやすいものに替える(和式を洋式にする)など、住環境の整備によってトイレ動作がしやすくなる場合があります。
(5)福祉用具の活用
 用具はさまざまな種類があり、手足の働きを補います。適切な用具を選択することがポイントです。
(6)社会資源の活用
 地域によって異なりますが、生活を支援するさまざまな制度が作られています。これを上手に利用します。
 精神機能に問題がある場合の尿失禁への対処方法
 認知症などによる精神機能の衰えのために判断力が低下している場合、本人のできることを探しながら介助をします。
(1)トイレにゆきたいサインを見付ける
 急に立ち上がろうとする、歩き回る、様子が落ち着かない、突然ズボンを下ろそうとする、ポケットに手を突っ込むなど、本人のトイレにゆきたいサインを見付けられたら、トイレに誘導し、介助します。
(2)トイレの表示をはっきりさせる
 トイレの場所がわからなかったり、間違って覚えている場合、トイレに「便所」と書いたり、明るくしてわかりやすいようにします。トイレの場所を認識するまで、できるだけトイレに連れていくようにします。
(3)着脱しやすい衣服を選ぶ
 慣れた位置にボタンやチャックがある、といった本人がわかる衣服に替えます。
(4)便器の使い方を確認する
 便器の使い方がわからないようであれば、声を掛けます。
(5)後始末は自分でできているかどうか確認する
 泌尿器をふいたり、便器の水を流すことを忘れているようであれば声を掛けたり、介助します。うまくできた時は本人が喜ぶ方法でほめることが、基本です。




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■用語 器質性尿失禁 [用語(か行)]





[トイレ]膀胱や尿道、その筋肉や神経に問題がある場合に尿が漏れる状態
 器質性尿失禁とは、膀胱(ぼうこう)や尿道、その筋肉や神経に問題がある場合に、自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れる状態。器質性とは、症状や疾患が臓器や組織の形態的異常に基づいて生じている状態です。
 この器質性尿失禁は、腹圧性尿失禁(緊張性尿失禁)、切迫性尿失禁(急迫性尿失禁)、溢流(いつりゅう)性尿失禁(奇異尿失禁)、反射性尿失禁の4タイプに大別されます
腹圧性尿失禁
 腹圧性尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れます。尿意とは無関係に、膀胱にたまった尿が一時的に漏れるもので、その程度はさまざまで、軽度の時は少量の一方で、重度になると多量に尿が漏れることもあります。
 腹圧性尿失禁は頻度が高く、中年以降の出産回数の多い女性にしばしば認められるほか、比較的若い女性にもみられます。起こる原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群が加齢や出産、肥満などで緩んで、弱くなったためです。骨盤底筋群の緩みが進むと、子宮脱、膀胱瘤(りゅう)、直腸脱などを合併することもあります。
 まれに、放射線治療やがんの手術によって、尿道を締める神経が傷付くことが原因となることもあります。
 腹部に急な圧迫が加わるような動作をした時、例えばせきやくしゃみをした時、笑った時、階段や坂道を上り下りした時、重い荷物を持ち上げた時、急に立ち上がった時、走り出した時、テニスやゴルフなどの運動をした時、性交時などに、一時的に尿が漏れます。通常、睡眠中にはみられません。
 この骨盤底筋の衰えによる腹圧性尿失禁と、急に強い尿意を感じてトイレに間に合わず尿を漏らしてしまう切迫性尿失禁の両方の症状がみられる場合もあり、混合性尿失禁(混合型尿失禁)と呼ばれます。
 混合性尿失禁は骨盤底筋群の緩みがベースにあり、膀胱と尿道の両方の機能低下が加わることで起こりやすくなります。そうした症状は加齢により増えてくるので、閉経期から後の高齢の女性に次第に生じる率が高くなります。
切迫性尿失禁
 切迫性尿失禁は、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れます。トイレが近くなる頻尿、夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿が、同時に生じることもあります。
 この切迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱が収縮する過活動膀胱が主な原因です。普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に切迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、切迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
溢流性尿失禁
 溢流性尿失禁は、排尿障害があって十分に排尿できず、常に膀胱が伸展しているために、一時的な少量の漏れを示す尿失禁。
 排尿障害があって尿が出にくい状態になっていても、新しい尿は腎臓(じんぞう)から次々に膀胱に送られてくるのでたまっていき、膀胱がいっぱいになると尿がチョロチョロと少量ずつあふれて出てきます。
 この症状は、前立腺(ぜんりつせん)肥大症による下部尿路閉塞(へいそく)が原因となることが多いので、中高年男性に多くみられます。
 前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道を取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなり、夜中に何度も排尿のために起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰(えいん)部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。
 次に、排尿に際して尿が出切らずに、膀胱にたまる残尿が発生するようになります。この段階では排尿障害が次第に強くなり、息んで腹圧をかけないと出ないようになってきます。さらに、肥大した前立腺によって尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、尿意を感じなくなって気付かないうちに尿が少量ずつあふれて漏れる溢流性尿失禁の状態になります。
 ほかには、女性が子宮がんを手術した後、糖尿病や脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に、溢流性尿失禁がみられます。
 女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に比べて溢流性尿失禁の状態になるケースはまれですが、子宮がんや直腸がんの手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなった場合、大きな子宮筋腫(きんしゅ)で膀胱の出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮脱や子宮下垂などで尿道が開きづらくなった場合に、溢流性尿失禁がみられます。
 また、糖尿病や脊髄(せきずい)損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする末梢(まっしょう)神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となり、たまった尿があふれて漏れる溢流性尿失禁がみられます。糖尿病では知覚がまひするために、尿意を感じないまま膀胱が膨らんで、1000ミリリットルもたまることがあります。
 溢流性尿失禁がみられると、下着がぬれる、臭いが気になるなど、しばしば不快感を覚えることになります。また、溢流性尿失禁を放置していると、膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して尿路感染症や腎機能障害などを起こしたり、腎不全になることもあります。
反射性尿失禁
 反射性尿失禁は、尿意を感じることができないまま、膀胱に尿が一定量たまると反射的に排尿が起こる状態。
 尿意を感じることができないため排尿の抑制ができず、腎臓から尿が膀胱に送られた時に刺激が加わると、膀胱壁の筋肉である排尿筋が反射的に収縮して、自分の意思とは無関係に、不意に失禁が起こります。
 脳、脊髄など中枢神経系の障害や、交通事故などによる脊髄の損傷などによる後遺症の一つとして、脳の排尿中枢による抑制路が遮断されてしまうことによって起こります。膀胱には物理的に十分な量の尿がたまっているにもかかわらず、尿意が大脳まで伝わらないので尿意を催すことがなく、排尿を自分でコントロールすることができません。
 膀胱からの感覚は、脊髄反射により直接的に膀胱括約筋を刺激して、反射的に膀胱収縮を起こして排尿を起こします。漏れ出る尿量は多いことが、特徴です。
 逆に、排尿筋が反射的に収縮して膀胱が収縮する時に、外尿道括約筋が弛緩(しかん)せず尿道が閉鎖したままになると、膀胱内の圧力が異常に高くなり、腎臓に尿が逆流する膀胱尿管逆流症を起こします。尿の逆流を放置して進行すると、腎機能障害が起こりやすくなります。
 尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。器質性尿失禁の4タイプによる失禁の症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]器質性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、器質性尿失禁の原因を確定します。
 一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿失禁定量テスト(パッドテスト)、尿失禁負荷テスト(ストレステスト)、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定、残尿測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、器質性尿失禁の原因を探ります。
 問診では、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無、尿失禁の状況などを質問します。切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、問診のために使うこともあります。
 尿失禁定量テスト(パッドテスト)では、パッドをつけた状態で水分を取ってもらい、せき、くしゃみ、手洗い、足踏みなど腹部に圧迫が加わりやすい動作を行ってもらい、1時間後のパッドの重量増加で尿失禁の程度を確認します。
 泌尿器科の医師による治療では、難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、その2つが重なる混合性尿失禁を起こしている場合には、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱の場合には、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 薬物による治療としては、交感神経に働いて膀胱壁の筋肉である排尿筋の収縮を阻止し、尿道括約筋を収縮させる作用のある抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。状況に応じて、抗うつ薬を用いることもあります。閉経後の女性に対しては、女性ホルモン剤を用いることもあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。
 溢流性尿失禁の場合は、原因になる疾患の種類によって異なり、基礎疾患があればその治療が第一です。前立腺肥大症や子宮脱、子宮下垂と診断すれば、その治療を行います。また、必要に応じて膀胱を収縮させる薬を用いることもあります。
 前立腺肥大症が溢流性尿失禁の原因の場合は、症状が軽い場合は薬物療法から始め、症状がひどい場合や合併症を引き起こしている場合は手術療法を行います。
 神経因性膀胱が溢流性尿失禁の原因の場合は、治療が可能ならばまず基礎疾患に対して行いますが、神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、薬物療法、排尿誘発、自己導尿法などで排尿効率を高めることになります。
 自己導尿法は、尿が出にくく残尿が多い場合に、1日に1〜2回、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。 これで、とりあえず症状は改善し、外出も容易になります。
 反射性尿失禁の場合は、原因となる脊髄損傷がある時に機能を回復させる手術を行うことで、失禁を起こさないようにします。神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、尿道括約筋の機能が低下している場合には、内視鏡によるコラーゲンなどの注入療法、各種の失禁防止手術を行うこともあります。




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■用語 混合性尿失禁 [用語(か行)]





[トイレ]腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状がみられる尿漏れ
 混合性尿失禁とは、腹圧性尿失禁の症状と切迫性尿失禁の症状の両方の要素を含んだ尿失禁。混合型尿失禁とも呼ばれます。
 尿失禁とは自分の意思と関係なく尿が漏れる状態で、混合性尿失禁は膀胱(ぼうこう)を支え、尿道を締めている骨盤底筋群の緩みがベースにあり、膀胱と尿道の両方の機能低下が加わることで起こりやすくなります。そうした症状は加齢により増えてくるので、閉経期から後の高齢の女性に次第に生じる率が高くなります。
 腹圧性(緊張性)尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れます。尿意とは無関係に、膀胱にたまった尿が一時的に漏れるもので、その程度はさまざまで、軽度の時は少量の一方で、重度になると多量に尿が漏れることもあります。
 腹圧性尿失禁は頻度が高く、中年以降の出産回数の多い女性にしばしば認められるほか、比較的若い女性にもみられます。起こる原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群が加齢や出産、肥満などで緩んで、弱くなったためです。骨盤底筋群の緩みが進むと、子宮脱、膀胱瘤(りゅう)、直腸脱などを合併することもあります。
 まれに、放射線治療やがんの手術によって、尿道を締める神経が傷付くことが原因となることもあります。
 腹部に急な圧迫が加わるような動作をした時、例えばせきやくしゃみをした時、笑った時、階段や坂道を上り下りした時、重い荷物を持ち上げた時、急に立ち上がった時、走り出した時、テニスやゴルフなどの運動をした時、性交時などに、一時的に尿が漏れます。通常、睡眠中にはみられません。
 切迫性(急迫性)尿失禁のほうは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れます。トイレが近くなる頻尿、夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿が、同時に生じることもあります。
 この切迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱が収縮する過活動膀胱が主な原因です。普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に切迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、切迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
 尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つの要因が重なって失禁に至る症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]混合性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁とが重なる混合性尿失禁の原因を確定します。
 一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿失禁定量テスト(パッドテスト)、尿失禁負荷テスト(ストレステスト)、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定、残尿測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、混合性尿失禁の原因を探ります。
 問診では、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無、尿失禁の状況などを質問します。切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、問診のために使うこともあります。
 尿失禁定量テスト(パッドテスト)では、パッドをつけた状態で水分を取ってもらい、せき、くしゃみ、手洗い、足踏みなど腹部に圧迫が加わりやすい動作を行ってもらい、1時間後のパッドの重量増加で尿失禁の程度を確認します。
 泌尿器科の医師による治療では、問診で腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁のどちらの症状がより困っているかを質問し、まず主症状の改善を図ります。
 難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で混合性尿失禁を起こしている場合には、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 切迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱の場合には、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 薬物による治療としては、交感神経に働いて膀胱壁の筋肉である排尿筋の収縮を阻止し、尿道括約筋を収縮させる作用のある抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。状況に応じて、抗うつ薬を用いることもあります。閉経後の女性に対しては、女性ホルモン剤を用いることもあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。




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■用語 急迫性尿失禁 [用語(か行)]





[トイレ]急な強い尿意を催し、トイレに間に合わずに尿が漏れる状態
 急迫性尿失禁とは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れる状態。切迫性尿失禁とも呼ばれます。
 この急迫性尿失禁は、自分の意思に反して勝手に膀胱(ぼうこう)が収縮する過活動膀胱が主な原因です。過活動膀胱の症状は、我慢できないような強い尿意である尿意切迫感と、昼夜を問わない頻尿です。
 普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 この過活動膀胱を主な原因として起こる急迫性尿失禁は、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れる腹圧性尿失禁と区別されていますが、実際は、切迫と腹圧の2つの要因が重なって失禁に至ることもあり、混合性尿失禁と呼ばれます。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に急迫性尿失禁の症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱と尿道を支えている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、急迫性尿失禁は膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
 尿失禁は恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]急迫性尿失禁の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、一般的に、初診時に問診を行い、尿失禁の状況、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無などを質問します。急迫性尿失禁の主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、診断のために使うこともあります。
 問診以外には、膀胱の状態を調べるための検査を行うこともあります。急迫性尿失禁の症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱とは限りませんので、ほかの疾患の可能性も含めて確認するための検査です。初診で行う検査は、主に腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査など比較的簡単な検査で、過活動膀胱の検査には尿流測定、パッドテスト、ストレステストなどもあります。
 泌尿器科の医師による治療では、膀胱の収縮を阻止し、副交感神経に働く抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または膀胱壁の筋肉である排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。
 次の治療では、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で、時に急迫性尿失禁と腹圧性尿失禁が重なる混合性尿失禁を起こしている場合、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。




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