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■用語 心筋症 [用語(さ行)]





[位置情報]心臓の筋肉の伸び縮みがうまくできなくなった状態で、症状は千差万別
 心筋症とは、心臓の内側を覆う心内膜と心臓の外側を包んでいる心膜との間にある心臓の筋肉、つまり心筋の伸び縮みがうまくできなくなった状態。
 心臓は全身に血液を送り出すポンプとして一日中、休むことなく働いています。この働きの重要な担い手が、心筋です。
 心筋は手足の筋肉と同様、伸びたり縮んだりして長さや太さが変わり、伸びた状態で心臓の上側の右心房と左心房で血液を受け取り、縮むことで心臓の下側の右心室と左心室から全身に血液を送り出しますが、心筋の伸び縮みがうまくできなくなると心筋症となり、心臓の機能の低下を起こします。
 心筋症にはいろいろなタイプがあって、原因がはっきりする場合もありますが、大半は原因不明で特発性心筋症と呼ばれています。特発性とは、いろいろ調べても原因が特定できないという意味です。
 一般に心筋症といえば、特発性心筋症を指します。原因不明といえども、最近では、遺伝子の異常に加え、免疫異常、ウイルス感染や環境要因がかかわっていることが明らかになってきました。
 現在の医療でも、治療で心筋の状態を完全に正常に戻すことは困難とされていますので、決して侮ることはできません。ただし、心筋症の人すべてに心筋の機能低下が起こり、息切れや呼吸困難などの症状が出るわけではなく、全く症状のないまま生涯を全うする人も数多くいます。心筋の機能低下を食い止め、症状の出現を抑える治療も次々開発されてきましたので、心筋症といわれても決して落ち込むことはありません。
 特発性心筋症は、大きく5つに分類されています。
 正常な心臓と比べ、心筋が厚くなるのが、肥大型心筋症であり、閉塞(へいそく)性と非閉塞性とがあります。心筋が薄くなり心臓全体が拡張するのが、拡張型心筋症です。このほか、心筋が硬くなる拘束型心筋症、心臓の中でも右心室が拡大し、そこから不整脈が頻繁に起こる不整脈源性右室心筋症、さらに、これらに分類できない分類不能型心筋症があります。
 肥大型心筋症は、文字通り心筋が厚くなる疾患。心筋の中でも左心室の出口に当たる左室中隔という部分の肥大がはっきりしてくると、心筋が収縮した時に血液の流れが妨げられ、運動した時などに息切れや胸の痛みが出現するようになります。このように血液の流れが妨げられる場合が、閉塞性の肥大型心筋症に相当します。
 そうでない場合が、非閉塞性の肥大型心筋症に相当します。この非閉塞性は自覚症状がないまま、健康診断の際に心電図異常などで見付かることが、しばしばあります。非閉塞性の中でも、心臓の先端部分にだけ肥大を認めるタイプの心尖(しんせん)部肥大型心筋症の場合は、生涯にわたって何ら問題なく過ごすことが多いようです。
 ただし、肥大型心筋症では年齢とともに心筋の肥大が進んだり、心筋の収縮機能が低下したりする場合もあるため、確かな診断と定期的な検査が必要になります。特に激しい運動をすると、危険な不整脈が出現して心臓突然死につながってしまう場合もあります。どの程度の運動までしてよいのか医師に相談することが大切で、閉塞性の肥大型心筋症の場合や、血縁者に突然死した人がいる場合には、激しい運動を控えることが必要です。
 肥大型心筋症の頻度は約500人に1人で、発症者の2人に1人に同じ心筋症の家族歴があるといわれています。
 拡張型心筋症は、30~40歳代と中年期の男性に起こりやすく、心筋の収縮機能が低下して、心臓の内腔(ないくう)が次第に拡張し、十分な血液を全身に送れなくなる疾患。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋は引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。
 心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。
 この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。
 拘束型心筋症は、心筋の内側の心内膜が厚くなり、心筋が拘束されたように硬くなって広がりにくくなる疾患。
 不整脈源性右室心筋症は、右心室全体のびまん性拡張と収縮低下を来す疾患。心室性頻拍症や右心不全で急死することが多く、特に西欧では若年者や運動選手の突然死に多く認められることで注目されています。しばしば家族内発症がみられ、優性遺伝形式をとる場合が多い傾向にあります。
 原因不明の特発性心筋症以外の、原因がわかっていて二次的に心筋症が起こるものは、二次性心筋症です。
 心筋の働きが悪くなる原因で最も多いのは、心臓に栄養を与えている血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、心筋に十分な酸素や栄養がゆき渡らなくなって起こる心筋梗塞(こうそく)や狭心症です。一時的にでも完全に血流が途絶えると、心筋の機能が低下した状態が続くことになり、この状態を虚血性心筋症と呼びます。
 これ以外に、全身のリンパ節に原因不明の炎症が生じるサルコイドーシスという疾患では、心筋にも炎症が起こり、心サルコイドーシスと呼ばれています。また、アミロイドといわれる異常な蛋白(たんぱく)質が全身で増えるアミロイドーシスという病気でも、心筋にアミロイドが沈着して心アミロイドーシスが起こります。心房細動と呼ばれる不整脈などで心拍数の高い状態が続き、心筋の伸び縮みがうまくいかなくなると頻脈誘発性心筋症が起こります。
 さらに、甲状腺(せん)ホルモンの異常やビタミンの欠乏、アルコールの過量摂取、先天的な代謝異常などでも、心筋の機能低下が起こります。
 心筋症の症状としては、主に体が要求する血液を送り出せないために起こる症状と、血液が体に滞るうっ血による症状とがあり、心筋症のタイプによって症状は異なります。
 非閉塞性の肥大型心筋症では、若いうちは自覚症状がないのがほとんどですが、中高年以降に動悸(どうき)や、運動、作業をした時の息切れなどの症状があり、心房細動などの不整脈を切っ掛けに心不全を発症することがあります。
 閉塞性の肥大型心筋症では、年齢にかかわらず、心臓から送り出す血液の量が不十分になるので、息切れ、呼吸困難、胸痛といった症状のほか、むくみ、失神などの症状が出ることもあります。
 一方、拡張型心筋症や、肥大型心筋症のうち心筋の収縮機能が低下する拡張相肥大型心筋症では、体が要求する血液を十分に送り出せなくなるので、坂道や階段での息切れ、日中の尿量や尿の回数の減少、手足の冷たい感じ、全身倦怠(けんたい)感、さらに体重増加、むくみ、食欲不振、満腹感、夜間の呼吸困難や咳(せき)などの症状が出ます。
[位置情報]心筋症の自己チェック
 心筋症で心不全になると、全身に水分(体液)が過剰にたまり、心臓にかかる負担が増えます。この状態を簡単に自分で確かめるには、体重を測定することです。
 心不全と同じように息切れする疾患に、肺や気管支など呼吸器の疾患がありますが、ふつう体重は増えません。一方、心筋症による心不全では、体重が増えます。心筋症や心不全といわれたら、日々の体重測定が欠かせません。
 毎日朝食前など同じ条件で体重測定した場合、前日にどれほど食べすぎたとしても、体脂肪の増加によって1日1キログラム上、1週間で3キログラム以上体重が増えることはまずありません。この数値以上に体重が増えた場合、水分が体内にたまり始めたと気付くべきです。
 体重のほか、自分で確かめることができるものに、血圧と脈拍があります。心筋症で心臓から送り出す血液の量が減ると、それを補うため収縮回数が増え、頻脈が現れます。手首で15秒間に何回、脈が触れるかを測り、その数を4倍すれば1分間の心拍数を計算できます。自動血圧計を使えば、より簡単に心拍数をチェックできます。
 心拍数が安静にしていても1分間に100回を超えている時や、脈が乱れている時は、心臓に異常が起きている疑いがあります。
 血圧を測る時、血圧が基準より高いか低いかがよく問題になりますが、最高血圧(収縮期血圧)から最低血圧(拡張期血圧)を引いた数値として得られる脈圧も重要です。通常の脈圧は40・60㎜Hgで、最高血圧の4分の1以上とされていますが、心筋症で心臓が送り出す血液が減ると、それ未満になることがよくあります。ただし、脱水などでも同じようなことが起こるので注意が必要です。
 むくみも、自分で簡単にチェックできます。むくみは足に起こりやすく、脛(すね) の部分を親指で押して、へこみが残るようであれば、体に過剰な水分がたまっている可能性が高くなります。ただし、腎臓病や血液中の蛋白質の量が減っている時も、むくみが出る場合もあります。
 心筋症は症状が出にくく、症状が出た時は病状がすでに進んでいる場合が多いので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けることが重要です。健康診断で異常が見付かったり、胸の自覚症状があった際には循環器科、循環器内科を受診することが勧められます。
[位置情報]心筋症の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科の医師による診断では、 肥大型心筋症の場合には、聴診や心電図検査で疾患の有無がわかります。心臓超音波検査を受ければ、疾患の状態もよくわかります。
 拡張型心筋症の場合は、心臓超音波検査や心臓カテーテル検査が必要になります。
 循環器科、循環器内科の医師による治療では、原因不明の特発性心筋症の場合は、症状が進まないようにするための食事指導、症状を抑えるための薬物療法を主に行います。どのタイプの心筋症であるかは関係なく、激しい運動や仕事を避け、精神的ストレスがかからないように注意します。
 原因がはっきりする二次性心筋症の場合は、原因となっている病気を治療することが心筋の機能回復につながります。頻脈誘発性心筋症では、心拍数を低下させるか、不整脈を治療することで、心筋の働きを回復させられます。




■用語 心臓突然死 [用語(さ行)]





[位置情報]心臓疾患による予期しない突然の病死
 心臓突然死とは、心臓疾患による予期しない突然の病死のことであり、症状が出現してから死亡するまでの時間が24時間以内のものを指します。
 突然死は、予期しない突然の病死全体のことであり、症状が出現してから死亡するまでの時間が24時間以内の内因死を指します。けがや交通事故などの外因死は除きます。日本では年間約10万人の突然死があり、就寝中が最も多く、次いで入浴中、休養・休憩中、排便中に多く起こっています。
 年間約10万人の突然死があるうち、約6万人が心臓の異常が原因となる心臓突然死です。この心臓疾患による突然死は頻度が最も高く、症状出現から死亡までの時間が1時間以内となることもあり、ほかの突然死と区別して心臓突然死と呼びます。心臓疾患に次いで脳血管系疾患、呼吸器疾患、消化器疾患などが、突然死の原因として続きます。
 心臓突然死を引き起こし得る代表的な疾患としては、心筋梗塞(こうそく)、拡張型心筋症、肥大型心筋症、QT延長症候群、ブルガダ症候群が挙げられます。
 心筋梗塞は、心臓突然死の中で最も多い原因となる疾患です。心臓に栄養を送る冠動脈と呼ばれる血管の通り道が狭くなったり、閉塞(へいそく)したりすることで、その血管が栄養を送る領域の心筋が壊死(えし)してしまいます。
 心筋梗塞によって壊死した心筋が運悪く破裂すると、心破裂と呼ばれる状態になり、ほとんどの場合、救命できません。
 心筋梗塞で突然死してしまう最大の原因は、心室細動と呼ばれる不整脈です。これは、血管の梗塞部位や範囲にかかわらず、心筋梗塞発症から数時間以内に起こり得ます。心臓で血液を送り出している心室が小刻みに不規則に震える細動を伴って、全身に血液を送ることができなくなってしまうため、突然死してしまうのです。
 拡張型心筋症は、多くの場合、原因は不明なのですが、心臓の内腔(ないくう)が大きく拡張し、心筋の収縮能力が著しく低下して、全身に十分な血液を送れなくなる心不全に陥ってしまう疾患です。30~40歳代と中年男性に多くみられ、家族性と認められる場合が20%ほどあります。
 症状としては、動悸(どうき)、息切れ、呼吸困難などがあります。突然死の原因としては、心筋梗塞と同様、心室細動が主です。家族や親族の中に、若年で突然死や心不全を起こした人がいる場合、この疾患の可能性があるので、注意が必要です。
 肥大型心筋症は、心筋が肥大して心臓の内腔が狭くなり、心臓を十分拡張させることができず、全身に十分血液を送れなくなる疾患です。この疾患の約50%は、家族性です。症状は、軽いものから重いものまでさまざまです。
 突然死は、軽症を含むどの段階からも発生します。「失神を繰り返す」、「家族の中に突然死した人がいる」、「30歳未満で肥大型心筋症を発症した」場合は、激しい運動をすると危険な不整脈が出現して突然死につながってしまうこともあるため、注意が必要です。
 QT延長症候群は、心電図上QTと呼ばれる部分が正常よりも延長しているために、心筋細胞の電気的な回復が延長することにより起こる疾患です。原因としては、遺伝子異常や、抗不整脈薬などの薬剤、血液中のミネラル異常などが挙げられます。疾患といってもそれ自体では症状はありませんが、多形性心室頻拍という特殊な不整脈を生じることがあり、この不整脈が心室細動に移行し、突然死の原因となります。
 多形性心室頻拍を起こす誘因として、水泳や目覚まし時計のアラーム、安静・睡眠などが代表的です。この疾患は基本的に無症状なので、多くは健康診断で見付かります。
 ブルガダ症候群は、若年から中年の男性に多く、また日本や東南アジアに多くみられます。原因は遺伝子異常が多く、20~30%で突然死の家族歴が認められます。普段は軽度の心電図異常しかみられず、心臓超音波検査でも心臓に異常は見当たりませんし、狭心症や心筋梗塞の兆候もありません。
 夜間の睡眠中や食後の安静時などのリラックスした状態の時に突然、心臓けいれんともいえる心室細動が出現して、何の兆候もなく失神を起こします。立っていたり、座っていると、その場に転倒します。心室細動のほかに、発作性心房細動が出現することもあり、突然死に至る場合があります。




■用語 心室細動 [用語(さ行)]





[位置情報]心臓で血液を送り出している心室がけいれんを起こし、血液を全身に送り出せなくなった状態
 心室細動とは、不整脈の一種で、心臓で血液を送り出している心室が小刻みに不規則に震える細動を伴って、血液を全身に送り出せなくなった状態。
 血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく血液を全身に送り出すことができるのです。リズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。
 この電気刺激が何らかの原因で正常に働かなくなることによって、心臓の拍動のリズムに乱れが生じるのが不整脈で、心室細動は不整脈の中でも死亡に至る確率が高い危険な状態です。
 心室の無秩序な興奮により異常な刺激を受け、1分間当たりの拍動が300~600回と極端に速くなって血液の送り出しが不能な状態となり、血圧はゼロに下がります。胸痛や不快感が起き、血液が脳や体全体に届かなくなって、細動が10秒前後続くと意識を消失、さらに10分続くと脳死に至るともいわれ、やがて心臓が完全に停止し死に至ります。
 心臓突然死の多くは心室細動が原因で、即座に心臓マッサージを開始するか、公的機関やスポーツ施設を中心に配備されている自動体外式除細動器(AED)などを用いて細動を取り除かなければ、心臓停止から呼吸停止に陥ります。
 心室細動は、心筋梗塞(こうそく)や狭心症、心不全、心臓弁膜症などの心臓病の進行に伴って心臓の筋肉が弱っている人に多く起き、拡張型心筋症やブルガダ症候群と呼ばれる珍しい心臓病を持つ人にも起きるほか、脱水や栄養障害や腎(じん)機能障害などによって血液中のミネラルバランスが崩れて起こす人もいます。
 また、胸部にボールなどが当たった刺激や感電によるショックで、心室細動を起こす人もいます。さらに、QT延長症候群と呼ばれる先天性の遺伝子異常を持つために心室細動を起こしやすいタイプもあり、若者が睡眠中などの安静時や運動中に、心室細動発作を起こすこともあります。
 若者の場合、持病がなければ心室細動の兆候も現れにくく、たとえ不整脈で倒れても軽度で回復して、それに気付かない場合があって予知が難しく、別の機会に突然死する原因になりやすいという特徴があります。
 心室細動は活動時よりも安静時、特に睡眠時に起こりやすく、睡眠中に心室細動発作を繰り返していても本人には自覚されないこともあります。同居者がいた場合、夜間に突然もだえてうなり声を上げたり、体を突っ張ったり、失禁したりする全身症状を指摘され、初めて発作があったことがわかることもあります。睡眠時などの安静時の発作は、再発率が高くなっています。
 心室細動は、命にかかわるものなので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けること、そして健診で異常が見付かったり、胸の自覚症状があった際には循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。
[位置情報]心室細動の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、検査によって症状を特定します。普通の心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷検査、心臓超音波検査などを行います。いずれの検査も、痛みは伴いません。
 心電図検査は、数分で終わります。症状がない人でも、心電図検査で心室細動のリスクが高いブルガダ症候群やQT延長症候群などの疾患が見付かるケースもあります。
 ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計を付けたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査。長時間の記録ができ、不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、狭心症は出ていないかなどがわかります。とりわけ、日中に発作が起こりにくい不整脈を発見するのに効果を発揮します。
 運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりする検査。運動によって不整脈がどのように変わるか、狭心症が出るかどうかをチェックします。
 心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に疾患があるかどうかが診断できます。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による内科治療では、抗不整脈薬という拍動を正常化する働きのある薬を中心に行います。ただし、不整脈そのものを緩和、停止、予防する抗不整脈薬での治療は、症状を悪化させたり、別の不整脈を誘発したりする場合があり、慎重を要する治療法であるといえます。抗不整脈薬のほかに、抗血栓薬など不整脈の合併症を予防する薬なども用います。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による外科治療では、1分間当たりの拍動が100回を大きく上回る症状を示す頻脈性不整脈に対して、体内に挿入したカテーテル(細い管)の先端から高周波を流し、心臓の動きにかかわる電流に過電流を起こす部位を焼き切って正常化する、カテーテル・アブレーション法という新しい治療法が行われています。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
 薬物療法に応じず、血行動態の急激な悪化を伴って生じる心室細動に対しては、直流通電(DCショック)を行います。また、慢性的に心室細動の危険が持続する症状に対しては、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術も考慮されます。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置です。
 治療に関しては、疾患自体の原因がはっきりしていないため対症療法に頼るしかなく、現在のところ根治療法はありません。心室細動発作を起こした際は、自動体外式除細動器(AED)、または手術で体内に固定した植え込み型除細動器(ICD)などの電気ショックで回復します。
 心室細動発作を起こしたことが心電図などで確認されていたり、原因不明の心停止で心肺蘇生(そせい)を受けたことがある人では、植え込み型除細動器(ICD)の適応が勧められます。このような発症者は今後、同様の発作を繰り返すことが多く、そのぶん、植え込み型除細動器(ICD)の効果は絶大といえます。また、診断に際して行う検査においてリスクが高いと判断された場合にも、植え込みが強く勧められます。
 といっても、植え込み型除細動器(ICD)の植え込みはあくまで対症療法であり、発作による突然死を減らすことはできても、発作回数自体を減らすことはできないところに限界があるといわざるを得ません。
 植え込み型除細動器(ICD)は通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。治療には500万円ほどかかりますが、健康保険が利き、高額療養費の手続きをすれば、自己負担は所定の限度額ですみます。手術後は、入浴や運動もできます。
 ただし、電磁波によって誤作動の危険性もあり、社会的な環境保全が待たれます。電子調理器、盗難防止用電子ゲート、大型のジェネレーター(発電機)などが、誤作動を誘発する恐れがあります。
 万一、発作が起きた際の用心のため、高所など危険な場所での仕事は避けたほうがよく、車の運転も手術後の半年は原則禁止。電池取り替えのため、個人差もありますが、5〜8年ごとの再手術も必要です。確率は低いものの、手術時にリード線が肺や血管を破ってしまう気胸、血胸なども報告されています。




■用語 重症不整脈 [用語(さ行)]





[位置情報]放置すると短時間で意識を失い、突然死に至る危険もある不整脈
 重症不整脈とは、放置したままでいると短時間で意識消失から突然死に至る危険性が高く、緊急な治療を必要とする不整脈。心臓の拍動が異常に速くなる頻脈性不整脈のうち、心室頻拍や心室細動が重症不整脈に相当します。
 重症頻脈性不整脈、致死性不整脈とも呼ばれます。
 血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。リズムを作っているのは心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。
 この電気刺激が何らかの原因で正常に働かなくなることによって、拍動のリズムに乱れが生じてしまいます。
 不整脈は、拍動が不規則になる期外収縮、拍動が速くなる頻脈性不整脈、拍動がゆっくりになる徐脈性不整脈の3つに分類されます。  
 頻脈性不整脈は、1分間当たりの拍動が100回を大きく上回る症状をみせます。人間の血液量は一定なので拍動する回数が多くなると、1回の拍動で送り出される血液量が少なくなり、血圧の低下を招きます。
 頻脈性不整脈のうちの心室頻拍は、心室から発生した異所性刺激によって、1分間当たりの拍動が100~200回という非常に速い発作性の頻脈を示します。血液の送り出しが阻害されて血圧も低下し、さらには心室細動に移行する可能性のある危険な病態です。
 頻脈性不整脈のうちの心室細動は、心室の無秩序な興奮により異常な刺激を受け、1分間当たりの拍動が300~600回と極端に速くなる病態です。心室が小刻みに不規則に震える細動を伴って、電気刺激に心臓の反応が追い付かなくなり、拍動が弱まって血液の送り出しが不能な状態となり、血圧はゼロに下がります。胸痛や不快感が起き、血液が脳や体全体に届かなくなって、細動が10秒前後続くと意識を消失、さらに10分続くと脳死に至るともいわれています。
 心臓突然死の多くは心室細動が原因で、即座に心臓マッサージを開始するか、公的機関やスポーツ施設を中心に配備されている自動体外式除細動器(AED)などを用いて細動を取り除かなければ、循環停止から呼吸停止に陥り死亡します。
 心室細動は、もともと心臓の筋肉が弱っている人に多く起き、拡張型心筋症やブルガダ症候群と呼ばれる珍しい心臓病を持つ人にも起きます。また、遺伝的に重症不整脈を起こしやすいタイプもあり、若者が睡眠中などの安静時や運動中に、心室細動を起こすこともあります。
 若者の場合、持病がなければ心室頻拍や心室細動などの重症不整脈の兆候も現れにくく、たとえ不整脈で倒れても軽度で回復して、それに気付かない場合があって予知が難しく、突然死の原因になりやすいという特徴があります。
 心室細動は活動時よりも安静時、特に睡眠時に起こりやすく、睡眠中に心室細動発作を繰り返していても本人には自覚されないこともあります。同居者がいた場合、夜間に突然もだえてうなり声を上げたり、体を突っ張ったり、失禁したりする全身症状を指摘され、初めて発作があったことがわかることもあります。睡眠時などの安静時の発作は、再発率が高くなっています。
 日本国内では心臓が原因の突然死が年間7万人を超え、そのうち最も重大な直接原因が重症不整脈と考えられています。
 重症不整脈は、命にかかわるものなので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けること、そして健診で異常が見付かったり、胸の自覚症状があった際には循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。
[位置情報]重症不整脈の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、検査によって症状を特定します。普通の心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷検査、心臓超音波検査などを行います。いずれの検査も、痛みは伴いません。
 ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計を付けたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査。長時間の記録ができ、不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、狭心症は出ていないかなどがわかります。とりわけ、日中に発作が起こりにくい不整脈を発見するのに効果を発揮します。
 運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりする検査。運動によって不整脈がどのように変わるか、狭心症が出るかどうかをチェックします。
 心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に疾患があるかどうかが診断できます。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による内科治療では、抗不整脈薬という拍動を正常化する働きのある薬を中心に行います。ただし、不整脈そのものを緩和、停止、予防する抗不整脈薬での治療は、症状を悪化させたり、別の不整脈を誘発したりする場合があり、慎重を要する治療法であるといえます。抗不整脈薬のほかに、抗血栓薬など不整脈の合併症を予防する薬なども用います。
 循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による外科治療では、頻脈性不整脈に対して、体内に挿入したカテーテル(細い管)の先端から高周波を流し、心臓の過電流になっている部位を焼き切って正常化する、カテーテル・アブレーション法という新しい治療法が行われています。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
 薬物療法に応じず、血行動態の急激な悪化を伴い心室頻拍、心室細動、心房粗細動などを生じる重症不整脈に対しては、直流通電(DCショック)を行います。また、慢性的に重症心室頻拍、心室細動の危険が持続する症状に対しては、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術も考慮されます。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置です。
 治療に関しては、疾患自体の原因がはっきりしていないため対症療法に頼るしかなく、現在のところ根治療法はありません。心室細動発作を起こした際は、自動体外式除細動器(AED)、または手術で体内に固定した植え込み型除細動器(ICD)などの電気ショックで回復します。
 心室細動発作を起こしたことが心電図などで確認されていたり、原因不明の心停止で心肺蘇生(そせい)を受けたことがある人では、植え込み型除細動器(ICD)の適応が勧められます。このような発症者は今後、同様の発作を繰り返すことが多く、そのぶん、植え込み型除細動器(ICD)の効果は絶大といえます。また、診断に際して行う検査においてリスクが高いと判断された場合にも、植え込みが強く勧められます。
 といっても、植え込み型除細動器(ICD)の植え込みはあくまで対症療法であり、発作による突然死を減らすことはできても、発作回数自体を減らすことはできないところに限界があるといわざるを得ません。
 植え込み型除細動器(ICD)は通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。治療には500万円ほどかかりますが、健康保険が利き、高額療養費の手続きをすれば、自己負担は所定の限度額ですみます。手術後は、入浴や運動もできます。
 ただし、電磁波によって誤作動の危険性もあり、社会的な環境保全が待たれます。電子調理器、盗難防止用電子ゲート、大型のジェネレーター(発電機)などが、誤作動を誘発する恐れがあります。
 万一、発作が起きた際の用心のため、高所など危険な場所での仕事は避けたほうがよく、車の運転も手術後の半年は原則禁止。電池取り替えのため、個人差もありますが、5〜8年ごとの再手術も必要です。確率は低いものの、手術時にリード線が肺や血管を破ってしまう気胸、血胸なども報告されています。




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