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■用語 QT短縮症候群 [用語(A〜Z、数字)]





[喫茶店]突然、脈が乱れて不整脈発作や失神発作を起こし、突然死に至ることが、まれにある疾患
 QT短縮症候群とは、突然、脈が乱れる不整脈発作や失神発作を起こしたり、時には突然死に至ることがまれにあり得る疾患。SQTS(Short QTSyndrome)とも呼ばれます。
 医療機関において、心臓の動きをコントロールしている電気刺激の変化を記録する心電計で検査をすると、心電図に現れるQTと呼ばれる波形の部分の間隔(QT時間)が、正常な状態の心臓に比べて短くなることから、この疾患名が付けられています。
 QT短縮症候群には、生まれ付き、または明らかな原因のない先天性(遺伝性)QT短縮症候群と、何らかの原因があって引き続き発症する後天性(二次性)QT短縮症候群とがあります。
 先天性QT短縮症候群は、極めてまれな遺伝性の疾患で、正確な発生頻度は明らかになっていません。症状には個人差が大きく、遺伝子に異常があっても必ずしも不整脈発作の症状が現れるとは限りません。
 心臓は収縮と弛緩(しかん)を絶えず繰り返していますが、この先天性QT短縮症候群では、心臓の筋肉である心筋細胞が収縮して全身に血液を送り出した後、収縮前の状態に戻る時間が通常よりも短縮するために、心筋細胞が過敏になって不整脈発作が起こりやすくなります。
 先天性QT短縮症候群の原因は、心筋細胞にあるイオンチャネルと呼ばれる経路の異常です。心臓が規則正しく収縮と弛緩を繰り返すには、心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分が1分間に60~80回発生させている電気刺激が正しく伝えられることが、重要になります。電気刺激を正しく伝えるため、心筋細胞はイオンチャネルという経路を使ってナトリウムやカリウム、カルシウムなどのイオンを出し入れしていますが、このイオンチャネルが正常に働かなくなり、電気刺激が正しく伝えられなくなると、脈が乱れる不整脈発作が起きやすくなります。
 イオンチャネルの異常は、イオンチャネルを作る際に使った設計図の誤り、すなわち遺伝子の異常で起こります。先天性QT短縮症候群では、これまでに6個の原因遺伝子が報告されています。最も多いQT短縮症候群1型(SQT1)の遺伝子の異常は25%程度に認められるとされていますが、そのほかの原因遺伝子の検出頻度は低くなります。
 また、先天性QT短縮症候群の遺伝子異常は、常染色体優性遺伝の形式をとり、子孫に代々受け継がれて家族性に発症する場合もありますが、家族には認めずに本人にのみ遺伝子異常が出現する場合もあります。
 一方、後天性QT短縮症候群は、高カリウム血症や高カルシウム血症などによって生じる電解質異常が原因となって、元々は正常範囲内であったQT時間が短縮して発症することがあります。また、抗生物質や抗ヒスタミン剤、抗不整脈薬や向精神薬といった薬物の使用や、ほかの疾患による発熱などが誘因となって、QT時間が短縮して発症することもあります。
 無症状の場合もありますが、まれに心室頻拍や心室細動などの不整脈が発生して失神したり、心停止や突然死に至ったりすることもあります。症状が起こる可能性は、小児から成人のあらゆる年齢層にあります。
 一度でも心停止を起こしたことがある場合、失神または不整脈が出現している場合、家族に同様の発症者がいる場合は、リスクが高いことが予想され、小児循環器科、循環器科などの不整脈の専門医を受診し、適切な検査と治療を受けることが勧められます。
[喫茶店]QT短縮症候群の検査と診断と治療
 小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、QT短縮症候群であるかどうか、もしQT短縮症候群であれば先天性、後天性のいずれであるか、先天性ならどのような型の遺伝子異常があるか、また現在危険な状態にあるかどうかなどについて、各種の検査を行います。
 不整脈発作や失神発作の既往歴、家族歴などからQT短縮症候群が疑われた場合は、心電図でQT時間の短縮を確認します。QT時間で280~300ms(ミリ秒)以下、心拍数で補正したQTc時間(補正QT時間)で300~320ms(ミリ秒)以下がQT短縮とされていますが、QTc時間(補正QT時間)が330ms(ミリ秒)以下の場合は、QT短縮症候群である可能性が高くなります。
 検査の際に、運動や薬剤による負荷をかけることで、QT時間の短縮がよりはっきりすることがあります。遺伝子診断は、治療薬の選択や適切な生活指導のために有効ですが、症状を伴うQT短縮症候群でも現状、遺伝子診断率は低くなっています。
 小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、無症状で家族に同様の発症者がいない場合、家族に突然死した人がいない場合は、経過観察を行います。
 心室頻拍や心室細動が出現した場合、原因不明な失神を繰り返している場合、家族に同様の発症者がいたり突然死した人がいる場合は、植え込み型除細動器(ICD)を植え込むことがあります。また、一度でも心停止を起こしたことがある場合も、植え込み型除細動器(ICD)を植え込みことが第一選択の治療法となります。
 植え込み型除細動器(ICD)は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置で、通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。
 QT時間を延長させる薬がいくつかあり、抗不整脈薬であるキニジンの内服、ニフェカラントやジソピラミドの点滴静脈注射を行うこともありますが、QT時間を安定して延長することはできません。
 後天性QT短縮症候群の場合は、電解質異常や薬剤の内服などの原因があるので、それらを取り除くとQT短縮が延長して正常化し、症状はよくなります。




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■用語 QT延長症候群 [用語(A〜Z、数字)]





[喫茶店]突然、脈が乱れて不整脈発作や失神発作を起こし、突然死に至ることもある疾患
 QT延長症候群とは、突然、脈が乱れる不整脈発作や失神発作を起こしたり、時には突然死に至ることもある疾患。
 医療機関において、心臓の動きをコントロールしている電気刺激の変化を記録する心電計で検査をすると、心電図に現れるQTと呼ばれる波形の部分の間隔(QT時間)が、正常な状態の心臓に比べて長くなることから、この疾患名が付けられています。
 QT延長症候群には先天性と後天性(二次性)とがありますが、学童期などの若年から指摘される先天性QT延長症候群は、心臓の筋肉である心筋細胞の収縮と弛緩(しかん)に関係する遺伝子に異常があるために起こります。一方、比較的年齢が高くなってから指摘される後天性QT延長症候群は、薬剤使用や、脈が正常よりも極端に遅くなる徐脈などに伴って起こり、遺伝子の異常もかかわっています。
 先天性QT延長症候群は、常染色体優性遺伝を示す遺伝性の疾患で、性別に関係なく50%の確率で親から子供に遺伝しますが、症状には個人差が大きく、遺伝子に異常があっても必ずしも不整脈発作の症状が現れるとは限りません。まれですが、先天性聾(ろう)と呼ばれる生まれ付きで両耳の聴力障害を伴うものは、常染色体劣性遺伝を示します。
 心臓は収縮と弛緩を絶えず繰り返していますが、この先天性QT延長症候群では、心筋細胞が収縮して全身に血液を送り出した後、収縮前の状態に戻る時間が延長するために、心筋細胞が過敏になって不整脈発作が起こりやすくなります。
 先天性QT延長症候群の原因は現在、2つが考えられています。1つは、心筋細胞にあるイオンチャネルと呼ばれる経路の異常です。心臓が規則正しく収縮と弛緩を繰り返すには、心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分が1分間に60~80回発生させている電気刺激が正しく伝えられることが、重要になります。電気刺激を正しく伝えるため、心筋細胞はイオンチャネルという経路を使ってナトリウムやカリウムなどのイオンを出し入れしていますが、このイオンチャネルが正常に働かなくなり、電気刺激が正しく伝えられなくなると、脈が乱れる不整脈発作が起きやすくなります。
 イオンチャネルの異常は、イオンチャネルを作る際に使った設計図の誤り、すなわち遺伝子の異常で起こります。現在では4種類のイオンチャネルに遺伝子の異常が見付かっていますが、この4種類のイオンチャネルの遺伝子に異常が見付からない場合も多く、ほかの種類のイオンチャネルにも異常があるのではないかと考えられます。
 もう1つの原因は、心臓に指令を出す交感神経の異常です。交感神経は、背骨の横に左右1本ずつあり、正常では左右の交感神経から収縮と弛緩を繰り返すよう心臓に送られる指令は、バランスが保たれています。先天性QT延長症候群では、左側の交感神経の働きが右側より勝っており、バランスが崩れています。交感神経のアンバランスがなぜ起こるかは、わかっていません。
 その実数は不明ですが、先天性QT延長症候群は2500〜5000人に1人程度の発症者が存在すると推定されています。
 先天性QT延長症候群は原因遺伝子により、不整脈発作の切っ掛けや治療薬の効き方が変わってきます。重症度には個人差が大きく、遺伝子に異常があっても症状が現れない場合があることも知られています。
 症状としては、不整脈発作による動悸(どうき)、立ちくらみ、気分不快や、失神発作、けいれん発作などがあります。発作の多くは、短時間で自然に回復しますが、心室期外収縮や、トルサード・ド・ポアンツと呼ばれる多形性心室頻拍から、心室細動といわれる不整脈にまで進行して回復しない場合は、突然死に至ります。
 また、失神発作、けいれん発作は、てんかんと間違えられることもよくあります。先天性聾、四肢の脱力、身体奇形などを伴うものもあります。
 一方、後天性(二次性)QT延長症候群は、元々のQT時間は正常よりも長め、または正常ですが、薬剤の使用や、低カリウム血症や低マグネシウム血症によって生じる電解質異常、脈が正常よりも極端に遅くなる徐脈などに伴って、QT時間が延長して発症します。
 QT時間を延長させる可能性がある薬剤は、抗不整脈薬、抗生剤(マクロライド系)、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、向精神薬、抗うつ薬、抗潰瘍(かいよう)薬、脂質異常症治療薬など多岐にわたっています。同じ薬剤でも著しくQT時間が延長する人と、延長しない人がいることから、後天性QT延長症候群でも先天性の遺伝子の異常もかかわっていると考えられます。
 後天性QT延長症候群の症状も、不整脈発作、失神発作、突然死で、その原因は多形性心室頻拍、心室細動などの悪性不整脈の出現です。
 抗不整脈薬と、日常生活における発作誘因の回避で、突然死に至るような悪性不整脈はかなり予防できます。正しい診断がとても大切ですので、小児循環器科、循環器科などの不整脈の専門医を受診することが勧められます。
[喫茶店]QT延長症候群の検査と診断と治療
 小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、QT延長症候群であるかどうか、もしQT延長症候群であれば先天性、後天性のいずれであるか、先天性ならどのような型の遺伝子異常があるか、また現在危険な状態にあるかどうかなどについて、各種の検査を行います。
 発作の既往歴、家族歴などから先天性QT延長症候群が疑われた場合は、心電図でQT時間の延長とT波と呼ばれる波の形の変化を確認します。検査の際に、運動や薬剤による負荷をかけることで、QT時間の延長がよりはっきりすることがあります。
 遺伝子診断は、治療薬の選択や適切な生活指導のために有効です。近年では、原因遺伝子の型のみではなく、各原因遺伝子の変異部位によって重症度が異なることがわかってきており、QT時間や遺伝子型、あるいは変異部位に基づいて、リスク評価を行い、治療法を決定します。  
 小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、先天性QT延長症候群の場合、不整脈発作の予防のためにβ(ベータ)遮断薬、ナトリウムチャネル遮断薬、カルシウム拮抗(きっこう)薬などの抗不整脈薬を内服します。
 内服薬の効果がない場合は、植え込み型除細動器(ICD)、交感神経切除術などによる治療を考慮します。
 植え込み型除細動器(ICD)は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置で、通常、左の胸部に植え込みます。鎖骨下の静脈に沿ってリード線を入れ、心臓の内壁に固定します。
 交感神経切除術は、心臓に指令を送る左側の交感神経を首から胸にかけて切断します。
 後天性QT延長症候群の場合は、薬剤の内服や電解質異常などの原因があるので、それらを取り除くとQT延長が短縮して正常化し、症状はよくなります。
 脈が正常よりも極端に遅くなる徐脈性不整脈を起こしている場合は、脈を正常まで速めて発作が起こりにくいようにするため、恒久型ペースメーカーの植込みによる治療を考慮します。
 ペースメーカーは、徐脈時には電気刺激を出して心臓の拍動を調整する装置で、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。手術で、ライターほどの大きさのペースメーカーを鎖骨の下に埋め込みます。
 日常生活においては、不整脈発作の誘因となる激しい運動や精神的興奮、驚愕を避ける、発作を誘発しやすい薬剤は服用しないなどの注意が必要です。




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■用語 MTP欠損症 [用語(A〜Z、数字)]





[ダイヤ]深刻な結果を招くほど脂質濃度が低下する遺伝性疾患
 MTP(microsomal triglyceride transfer protein:ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白〔たんぱく〕)欠損症とは、血液に含まれる脂質濃度が低下して著しい低脂血症を示す、まれな常染色体劣性遺伝疾患。無βリポ蛋白血症、バッセン・コルンツヴァイク症候群とも呼ばれます。
 アポB含有リポ蛋白であるカイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)が血液中に欠損しており、乳児期から著しい低コレステロール血症、および低トリグリセライド(中性脂肪)血症を来します。 27万人に1人が発症するとされています。
 原因は、MTP遺伝子の変異です。MTPは、肝臓と小腸で合成されたアポ B 蛋白にトリグリセライド(中性脂肪)が転送され、VLDL(超低比重リポ蛋白)とカイロミクロン粒子が形成される過程に不可欠。肝臓での VLDL(超低比重リポ蛋白)の産生により末梢(まっしょう)組織に必要なコレステロールの輸送がなされ、小腸でのカイロミクロンの形成により脂肪が吸収されます。MTPの欠損により、トリグリセライド(中性脂肪)と結合しないアポ B蛋白は速やかに分解されて、血液中に分泌されません。
 本来なら、トリグリセライド(中性脂肪)と結合したアポB蛋白は、LDL(低比重リポ蛋白)と略されるβリポ蛋白、VLDL(超低比重リポ蛋白)と略されるプレβリポ蛋白として血液中に分泌され、脂溶性の物質を吸収したり、運搬したりします。
 従って、血液中にβリポ蛋白、プレβリポ蛋白がないと、脂肪やビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンなど多くの栄養素が臓器や組織に運ばれず、さまざまな症状が起こってきます。
 MTP欠損症の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。
 また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。
 未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。
[ダイヤ]MTP欠損症の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。
 血中の総コレステロールの値が50mg/dl未満、血中のトリグリセライド(中性脂肪)の値が15mg/dl 未満で、特徴的な脂肪便、神経症状、目の症状が認められる場合に、MTP欠損症と確定します。
 鑑別する疾患には、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)、甲状腺(せん)機能高進症があります。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。
 MTP欠損症は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。
 消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。




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■用語 OAT症候群 [用語(A〜Z、数字)]





[クリスマス][クリスマス]男性不妊症の原因疾患の総称で、パートナーの妊娠率が低下
 OAT症候群(Oligoasthenoteratozoospermia Syndrome)とは、乏精子症(Oligozoospermia)、精子無力症(Asthenozoospermia)、奇形精子症(Teratozoospermia)の頭文字をとって付けられた男性不妊症の原因の総称。
 精子の数が少ない乏精子症の場合、精子の運動率が悪い精子無力症や、正常な形態の精子が少ない奇形精子症の症状も同時にみられることが多いので、これらの症状をまとめてOAT症候群と呼びます。
[クリスマス]乏精子症は精液に含まれる精子の数が少ない状態
 乏精子症は、男性の精液の中に含まれる精子の数が正常よりも極端に少ない状態。ただし、国際保健機関(WHO)の基準により、精子の数だけでなく精子濃度、精子運動率、奇形率などを総合的にみて、乏精子症と見なすこともあります。
 男性の精液の大部分は、陰茎の奥にある前立腺(ぜんりつせん)と、その前立腺の奥にある精嚢腺(せいのうせん)で作られ、前立腺成分が約20パーセント、 精嚢腺成分が約70パーセントを占めます。そのほかにも、精巣(睾丸〔こうがん〕)や精巣上体(副睾丸)、精管でも一部作られます。
 運動能力を持ち、卵子と結合して個体を生成する男性の精子のほうは、精巣の中で精原細胞から分化して作られ、精子を運ぶ精管が精巣のすぐ近くで膨れている精巣上体において成熟し、精嚢腺と前立腺で分泌された精液と一緒になって、尿道に出ていくのが射精です。射精によって精液が尿道から出ていく際には、最初は主に前立腺からの成分、続いて精嚢腺からの成分が出ていきます。
 乏精子症は男性不妊症の原因となり、日常生活におけるパートナーによる自然妊娠を難しくすると考えられます。その程度により、軽度乏精子症、中等度乏精子症、重症度乏精子症に分けられます。
 精子の数の正常値は1ml当たり6000~8000万以上であり、約5000万の場合は軽度乏精子症、1000万以下の場合は中等度乏精子症、100万以下の場合は重症度乏精子症に相当します。自然妊娠には精子の数が4000万以上あることが望ましいとされるものの、数100万で自然妊娠することも、ごくまれにあります。
 乏精子症の原因には、精巣の静脈に血液が逆流することで起きる精索静脈瘤(りゅう)、あるいは、精巣の働きの悪さから精子が作られにくい造精機能障害などがあります。詳細に検査をしても、原因が判明しない特発性造精機能障害によることも多くみられます。
 造精機能障害を起こす原因疾患としては、X染色体が1つ以上多いクラインフェルター症候群などの染色体異常症、脳下垂体と視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下、おたふく風邪による精巣炎、高プロラクチン血症による精子形成の低下、薬の副作用による性腺刺激ホルモンの低下などがあります。
 精索静脈瘤は、精巣の上の精索部の静脈が拡張し、静脈瘤ができた状態。後天性の乏精子症、男性不妊症の主要な原因となっています。
 静脈には、血液の逆流を防ぐ弁があります。精索内の静脈弁に障害があると、腎(じん)静脈から内精索静脈へ血液が逆流することにより、陰嚢(いんのう)上部にある精索の静脈(蔓〈つる〉状静脈叢〈そう〉)が蛇行して、こぶ状に拡張し、うっ血します。その程度が強い場合は、陰嚢内に腫瘤(しゅりゅう)を形成します。
 この精索静脈瘤の大部分は、左側に生じます。左側の精索静脈は右に比べて長く、左の腎静脈へと合流していますが、還流障害が生じて静脈血が停滞、逆流する原因としては、静脈弁の先天性不全や、左腎静脈が上腸間膜動脈により圧迫されることが考えられています。
 精索静脈のうっ血により、陰嚢内の温度が上昇して、体温より2度ほど低い温度でよく機能する精巣の発育不全、委縮、機能低下、精子の形成不全、男性ホルモンを作るライディッヒ細胞の機能の低下などを引き起こして生殖機能が損なわれることで、乏精子症、男性不妊症の原因になります。
 精索静脈瘤は、一般の健康な青年男性の10〜15パーセントに認められるのに対し、男性不妊症の人では20~40パーセントと高率に認められます。思春期以降に多くみられますが、小児にもみられます。大抵は無症状です。時には、陰嚢や鼠径(そけい)部の痛みや突っ張り感などの不快な症状を生じる場合もあります。
[クリスマス]精子無力症は精子の運動率が低下した状態
 精子無力症は、男性の射出精液内の精子の運動率が低下した状態。
 運動能力を持つ精子は、中片部と尾部の鞭毛(べんもう)を振動させて動かし、結合して個体を生成するために卵子を目指して泳いでいきますので、運動率の低下、とりわけ真っすぐ前進し、高速で泳ぐ精子の割合が低いことは、卵子へ到達する精子が少ないということ、また到達しても鞭毛を振れずに卵子の透明体を通過できないということにつながり、受精障害となります。
 この精子無力症は、軽度精子無力症、中等度精子無力症、重症度精子無力症に分けられます。運動率に関しては、正常な精子ではだいたい70~80パーセント以上が運動しているのに対して、軽度精子無力症では50パーセント程度、中等度精子無力症では20~40パーセント、重症度精子無力症は10パーセント以下に低下しています。
 精子無力症の原因は、先天的なものが大半を占めますが、前立腺炎、おたふく風邪による精巣炎、高熱による精巣炎、精索静脈瘤などが原因になっているケースもあります。なお、長期間の禁欲も精子の運動率を低下させます。
[クリスマス]奇形精子症は精子の96パーセント以上が形態の異常を伴う状態
 奇形精子症は、射精された精液に含まれる精子の96パーセント以上が形態の異常を伴う状態。精子奇形症とも呼ばれます。
 男性の誰(だれ)しも精子の100パーセントが正常な形態ということはありませんが、形態の異常を伴う奇形の精子が多く、正常な形態の精子が4パーセント未満の場合は、奇形精子症に相当します。
 精子には、精液中の数はもちろんのこと、濃度、運動率、奇形率などさまざまな要素があります。その中でも精子の奇形率が高い場合、日常生活におけるパートナーの妊娠率の低下が引き起こされます。
 奇形精子症は、精子の奇形のパターンによって、大きく2つに分類されます。1つは尾部の奇形、2つ目は頭部の奇形です。
 2つのうち、頭部が明らかに小さい、異常な形態をしているなど頭部の奇形に関しては、遺伝子情報である核DNAを含有する頭部に奇形があるため、受精自体が非常に困難になり、妊娠率が非常に低くなります。精子尾部の奇形に関しても、結合して個体を生成するために卵子を目指し、鞭毛を振動させて泳いでいく運動能力を尾部が担っているため、妊娠率の低下が引き起こされます。
 奇形精子症は原因不明であることが多く、精索静脈瘤、逆行性射精、染色体異常、過度なストレスなどが原因となって発生することもあります。
[クリスマス][クリスマス]OAT症候群の検査と診断と治療
[クリスマス]乏精子症の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、間隔を空けながら精液検査を数回行い、射出精液中に存在する精子の数が常に正常値を下回る場合に乏精子症と判断します。
 精索静脈瘤に対しては、視診と触診を行い、精巣の上部に腫瘤を触れたり、陰嚢や鼠径部の痛みを認めることもあります。数分間立位して腹圧をかけると、静脈の拡張がはっきりします。立位で容易に静脈瘤が触知できたり、陰嚢皮膚ごしに静脈瘤が見えることもあります。片側の精巣サイズが小さいこともあります。アイソトープを使った診断法もありますが、通常は視診、触診と超音波検査で十分診断できます。
 泌尿器科の医師による治療では、明確な原因の判明しない乏精子症のケースでは効果的な治療が難しいため、軽度乏精子症の場合には人工授精、中等度乏精子症の場合には体外受精、重症度乏精子症の場合や受精しにくい場合には顕微授精を用いて、妊娠を期待するのが一般的です。
 精索静脈瘤の場合は、精液所見が悪い成人男性でいずれ子供が欲しいと考えているケースや、陰嚢や鼠径部の痛みや違和感があるケースで、外科手術を行います。 思春期の男性でも、片側の精巣サイズが小さくなっているケースには、将来の不妊を予防するため手術が考慮されます。片側の精巣サイズが小さくなっていない場合は、年1回の診察と精液検査を行います。
 外科手術では、病変のある静脈を縛る結紮(けっさつ)を行います。手術により、精液所見は60~70パーセントで改善し、30~50パーセントでパートナーの妊娠が得られるといわれています。手術後の精液検査は、3カ月後に行われます。精子の作り始めから精子として射出されるまで、約3カ月かかるためです。
 何らかの原因により性腺刺激ホルモンが低下し、造精機能が障害されている場合には、ホルモン補充療法を行い、精巣で精子が作られるようになることを期待します。
[クリスマス]精子無力症の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、間隔を空けながら精液検査を数回行い、射出精液内に存在する精子の運動率が常に正常値を下回る場合に精子無力症と判断します。
 泌尿器科の医師による治療では、軽度精子無力症の場合には、飲み薬や漢方薬を処方しながら、定期的に精液検査を行い、運動率が改善しているかどうか様子をみる場合もあります。精子を作るのに要する期間が74日間、その精子が運動能力を獲得するのに要する期間が14日間ですので、少なくとも3カ月以上は薬の処方を継続します。
 薬の処方で精子の運動率に変化がみられないケースはもちろん、運動率が改善しても自然妊娠に至らないケースでは、人工授精などを用いる不妊治療を併用し、妊娠を期待します。
 中等度精子無力症と重症度精子無力症の場合には、精子の運動率を改善する効果はあまり期待できないため、中等度精子無力症では人工授精か体外受精、高度精子無力症では体外受精か顕微授精を用いて、妊娠を期待します。
[クリスマス]奇形精子症の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、4~5日間の禁欲後に、マスターベーションにより精液を採取し、精液検査とクルーガーテストを行って判断します。
 クルーガーテストでは、特殊な溶液で精子を色付けして、奇形率と奇形のパターン、あるいは正常な形態の精子がどれだけいるかを顕微鏡で調べます。
 泌尿器科の医師による治療では、原因となる疾患があれば、その治癒をまず図ります。
 パートナーの妊娠を期待する場合は、できる限り状態のよい精子を選んで、人工授精や体外受精、顕微授精を試みます。正常な形態の精子が15パーセント以上であれば自然妊娠が期待できますが、4パーセント未満である奇形精子症では自然妊娠が見込めないためです。
 通常、顕微授精を試み、場合によって体外受精から試みたり、パートナーが20歳代と若くて不妊症がなければ人工授精から試みたりすることもあります。
 射精された精液中に奇形精子しかいない場合は、精巣上体精子回収法を行って、精巣上体から正常な形態で運動良好な精子を回収して顕微授精を試みます。精巣上体から回収した精子も奇形精子であった場合もしくは精子が見付からない場合は、精巣生検を行って、精巣から後期精子細胞を回収して顕微授精を試みます。




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