■用語 エリテマトーデス [用語(え)]

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エリテマトーデスとは、顔面などに生じる紅斑(こうはん、エリテマ)を主症状とする疾患。紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)とも呼ばれます。
膠原(こうげん)病の一つで、自己免疫性疾患のうち最も代表的なものです。
急性で全身が侵される全身性エリテマトーデスと、慢性で皮膚に限局して円形の紅斑が現れる円板状エリテマトーデスに大別され、この間に中間型、移行型があります。
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全身性エリテマトーデスは、全身に症状が現れる疾患で、代表的な膠原病の一つ。全身性紅斑性狼瘡とも呼ばれます。
現在の日本では10万人に7〜8人の発症率で、発症しやすい年齢は20歳〜40歳、その90パーセントは女性です。
発症させる原因は、まだ解明されていません。体質、素因、免疫の異常、環境因子が関係して発症すると推定されています。免疫の異常は、自分の体の成分に対して反応する異常であるために、自己抗体が血液中にみられます。特に抗核抗体、中でもDNA(デオキシリボ核酸)に対する抗体が血液中に現れるのが、特徴です。
全身性エリテマトーデスを発症させる誘因には、海水浴やスキーなどで強い紫外線を浴びたり、薬剤、ウイルス感染、外傷、ストレス、さらには妊娠、出産などがあります。
全身性エリテマトーデスの最も特徴的な症状は、皮膚の露出部に赤い斑点である紅斑が現れることです。顔では鼻を中心に両側の頬(ほお)にかけて、蝶(ちょう)が羽を広げたような形の蝶型紅斑ができます。また、手のひら、つめの周囲、足の裏、胸にも紅斑がみられます。
紅斑は厚く盛り上がることもありますが、痛みやかゆみはありません。ただし、紅斑が治った跡に瘢痕(はんこん)が残ったり、色素沈着や色素脱失になることがあります。
髪の毛が抜けたり、つめが変形したり、日光に当たるとひどい日焼けをして火膨れができる光線過敏症などもみられます。寒冷刺激や精神的ストレスに反応して、手や足の指が真っ白になったり、青紫色になったりし、しびれ、冷感、痛みなどの症状を伴うレイノー現象も、よくみられます。
内臓に現れる症状では、腎(じん)臓がよく侵されます。これはループス腎炎と呼ばれ、むくみや蛋白(たんぱく)尿がみられますが、初期には症状として出にくいため要注意。心膜や胸膜に炎症が起こることもあり、胸痛、発熱を起こします。
脳や神経に障害が起こると、けいれん、まひがみられることもあります。関節痛もみられますが、関節リウマチのような関節の変形、運動機能の障害はありません。
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皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、免疫血清や血液の検査を行います。免疫血清検査では、全身性エリテマトーデスに高頻度にみられる血清中の抗核抗体を調べます。また、血液検査によって、貧血の程度や白血球減少、血小板減少の有無を調べます。
そのほか、尿や血液の検査によって、ループス腎炎やネフローゼ症候群、腎臓の機能障害が起こっていないかを調べます。また、侵された臓器の病状を知るために、必要に応じてX線検査、CT検査、MRI検査、心電図などの検査を行います。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療においては、内臓の炎症にはステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与され、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓に障害が現れた場合には、免疫抑制剤が用いられたり、血漿(けっしょう)交換療法が行われることもあります。
ステロイド薬の使用により、予後はかなり改善しましたが、治療に用いられる薬はいずれも副作用があります。加えて、いつ、どれぐらいの期間をかけて投与量を減らすかが非常に難しいため、医師の指示を守って治療を続けることが大切。腎臓の機能低下が起こった場合には、血液透析が必要になります。
生活上の注意としては、全身性エリテマトーデスを発症させる誘因があると悪化するため、強い紫外線や感染症には細心の配慮が必要です。治療のためにステロイド薬を使うと感染症にかかりやすくなるため、清潔を心掛け、インフルエンザが流行している時期は人込みを避けるなど、注意します。
比較的若い女性がかかることが多いため、妊娠や出産の問題があった際には、医師に相談します。病状が安定していれば、妊娠、出産は十分に可能です。また、経済的な問題では、全身性エリテマトーデスは厚生労働省の特定疾患に認定されているので、医療費の助成を受けることができます。
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円板状エリテマトーデスは、日光露出部である頭部、顔面、四肢などに、円板状の紅斑が好発する原因不明の皮膚疾患。慢性円板状エリテマトーデス、円板状紅斑性狼瘡とも呼ばれます。
膠原病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性エリテマトーデスと異なり、皮膚症状のみ出現する皮膚限局型エリテマトーデスの1つであり、慢性型のサブタイプに相当します。皮膚限局型エリテマトーデスには、急性型、亜急性型、中間型のサブタイプもあります。
円板状エリテマトーデスの症状は、類円形ないし不整形で、魚の鱗(うろこ)のようにはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う円板状の紅斑が多発することを特徴とします。
円板状の紅斑は境目がはっきりしていて、頬、鼻、下唇、頭部など、日光が当たる部位にできます。皮膚面より少し盛り上がり、中心部は硬くなったり委縮していたりして、引きつったようになっています。口唇に症状が出る時はびらん、頭皮に症状が出る時は脱毛を伴うことがあります。また、かいたり刺激を与えたりすると、その部位に新たな円板状の紅斑が広がる傾向にあります。
この皮膚病変は、治癒過程で色素沈着ないし色素脱失、委縮を生じ、瘢痕を残します。ほかの症状として、発熱や倦怠(けんたい)感がみられることもあります。
全身性エリテマトーデスと異なり、全身の臓器障害はみられませんが、一部が全身性エリテマトーデスへ移行することがあります。全身性エリテマトーデスへ移行すると、円板状の紅斑が全身に広がり、内臓の炎症、腎臓の機能障害が起こります。
円板状エリテマトーデスは、35~45歳の女性が発症しやすいとされています。
現在のところ、円板状エリテマトーデスを発症する原因はわかっていません、しかし、紫外線や寒冷刺激、美容整形、妊娠・出産、タバコ、ウイルス感染、薬物などが関係していると考えられています。
全身性エリテマトーデスは、免疫システムが自己の細胞を攻撃する自己免疫が原因だとされていますが、円板状エリテマトーデスは自己免疫とは無関係と考えられています。皮膚が抗原刺激や物理的刺激を受けることで、白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種であるT細胞が増殖し、細胞間で情報を伝えるタンパク質であるサイトカインの生成が促進され、症状が現れると推測されています。遺伝との関係は、親族内や双子で発症する例が少ないことから、可能性は低いと考えられています。
円板状の紅斑ができて治りにくい場合、円板状エリテマトーデスの可能性があります。日光を避けて、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診しましょう。治った後でも、まれに皮膚がんである有棘(ゆうきょく)細胞がんの発生母地となることがあるため、症状が軽くてもしっかり治療をすることが大切となります。
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皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診をした上で、皮膚生検といって皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行い、円板状エリテマトーデスと確定します。
血液検査を行うこともありますが、発症者の多くはほかの臓器に変化を伴わず正常です。しかし、一部の患者では、血液沈降速度(血沈)の高進、抗核抗体陽性、白血球減少がみられ、全身性エリテマトーデスに移行することがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、瘢痕が残った皮膚病変を治すことはできませんが、新しい円板状の紅斑が広がらずに限られた範囲にできている場合は、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。
また、内服薬ではヒドロキシクロロキンなどのマラリア治療薬が皮膚症状に有効であり、欧米では第1選択薬の1つです。以前の日本では副作用のために使用が禁止され保険適応がありませんでしたが、2015年に承認されました。ヒドロキシクロロキンの長期間の効果としては半数弱の人に有効であり、残りの半分強は、内服のステロイド薬などが必要になります。
免疫抑制剤の1つであるレクチゾールやミゾリビンの内服も有効なことがわかっていますが、貧血などの副作用が現れやすいため、慎重に使用する必要があります。
全身性エリテマトーデスを合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与し、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓の障害に対して、免疫抑制剤を用いたり、血漿交換療法を行うこともあります。
円板状エリテマトーデスの悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、サングラス、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。
寒冷による刺激も極力受けないほうがいいため、しっかりと防寒することが重要で、夏場は清潔な服を着る、通気性のよい天然素材の洋服を着るなどの対策も大切です。加えて、ストレスを避け、適度な運動と休養をとり、バランスのとれた食事をします。

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■用語 円板状エリテマトーデス [用語(え)]

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円板状エリテマトーデスとは、日光露出部である頭部、顔面、四肢などに、円板状の紅斑(こうはん)が好発する原因不明の皮膚疾患。慢性円板状エリテマトーデス、円板状紅斑性狼瘡(ろうそう)とも呼ばれます。
膠原(こうげん)病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性エリテマトーデスと異なり、皮膚症状のみ出現する皮膚限局型エリテマトーデスの1つであり、慢性型のサブタイプに相当します。皮膚限局型エリテマトーデスには、急性型、亜急性型、中間型のサブタイプもあります。
円板状エリテマトーデスの症状は、類円形ないし不整形で、魚の鱗(うろこ)のようにはがれる鱗屑(りんせつ)を伴う円板状の紅斑が多発することを特徴とします。
円板状の紅斑は境目がはっきりしていて、頬(ほお)、鼻、下唇、頭部など、日光が当たる部位にできます。皮膚面より少し盛り上がり、中心部は硬くなったり委縮していたりして、引きつったようになっています。口唇に症状が出る時はびらん、頭皮に症状が出る時は脱毛を伴うことがあります。また、かいたり刺激を与えたりすると、その部位に新たな円板状の紅斑が広がる傾向にあります。
この皮膚病変は、治癒過程で色素沈着ないし色素脱失、委縮を生じ、瘢痕(はんこん)を残します。ほかの症状として、発熱や倦怠(けんたい)感がみられることもあります。
全身性エリテマトーデスと異なり、全身の臓器障害はみられませんが、一部が全身性エリテマトーデスへ移行することがあります。全身性エリテマトーデスへ移行すると、円板状の紅斑が全身に広がり、内臓の炎症、腎臓(じんぞう)の機能障害が起こります。
円板状エリテマトーデスは、35~45歳の女性が発症しやすいとされています。
現在のところ、円板状エリテマトーデスを発症する原因はわかっていません、しかし、紫外線や寒冷刺激、美容整形、妊娠・出産、タバコ、ウイルス感染、薬物などが関係していると考えられています。
全身性エリテマトーデスは、免疫システムが自己の細胞を攻撃する自己免疫が原因だとされていますが、円板状エリテマトーデスは自己免疫とは無関係と考えられています。皮膚が抗原刺激や物理的刺激を受けることで、白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種であるT細胞が増殖し、細胞間で情報を伝えるタンパク質であるサイトカインの生成が促進され、症状が現れると推測されています。遺伝との関係は、親族内や双子で発症する例が少ないことから、可能性は低いと考えられています。
円板状の紅斑ができて治りにくい場合、円板状エリテマトーデスの可能性があります。日光を避けて、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診しましょう。治った後でも、まれに皮膚がんである有棘(ゆうきょく)細胞がんの発生母地となることがあるため、症状が軽くてもしっかり治療をすることが大切となります。
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皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診をした上で、皮膚生検といって皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行い、円板状エリテマトーデスと確定します。
血液検査を行うこともありますが、発症者の多くはほかの臓器に変化を伴わず正常です。しかし、一部の患者では、血液沈降速度(血沈)の高進、抗核抗体陽性、白血球減少がみられ、全身性エリテマトーデスに移行することがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、瘢痕が残った皮膚病変を治すことはできませんが、新しい円板状の紅斑が広がらずに限られた範囲にできている場合は、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。
また、内服薬ではヒドロキシクロロキンなどのマラリア治療薬が皮膚症状に有効であり、欧米では第1選択薬の1つです。以前の日本では副作用のために使用が禁止され保険適応がありませんでしたが、2015年に承認されました。ヒドロキシクロロキンの長期間の効果としては半数弱の人に有効であり、残りの半分強は、内服のステロイド薬などが必要になります。
免疫抑制剤の1つであるレクチゾールやミゾリビンの内服も有効なことがわかっていますが、貧血などの副作用が現れやすいため、慎重に使用する必要があります。
全身性エリテマトーデスを合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。炎症が強くて症状が重い場合には、大量に投与し、症状が安定すれば徐々に量を減らしていきます。腎臓の障害に対して、免疫抑制剤を用いたり、血漿(けっしょう)交換療法を行うこともあります。
円板状エリテマトーデスの悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、サングラス、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。
寒冷による刺激も極力受けないほうがいいため、しっかりと防寒することが重要で、夏場は清潔な服を着る、通気性のよい天然素材の洋服を着るなどの対策も大切です。加えて、ストレスを避け、適度な運動と休養をとり、バランスのとれた食事をします。

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■用語 炎症性乳がん [用語(え)]
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炎症性乳がんとは、乳房の皮膚が赤くはれて、オレンジの皮のような外観を示すタイプの乳がん。
まれに発生している特殊なタイプの乳がんで、非常に治りにくい種類です。乳がん全体の約1パーセントを占めます。
一般的な乳がんと同様、40~50歳代に最も多く発症しますが、全年齢において発症する可能性があります。
主に乳頭周辺に症状が出現し、はっきりしたしこりはなく、乳房の3分の1以上の皮膚が赤くはれて、あたかも炎症を起こしたかのように見えるのが特徴です。
さらに、乳房の皮膚がザラザラして、でこぼこになり、毛穴が目立つようになります。まるでオレンジや夏みかんの皮のような外観を示すため、オレンジ皮様皮膚、橙皮(とうひ)状皮膚などと呼ばれることもあります。
また、比較的短期間のうちに乳房が大きくなることも特徴の一つです。乳房が熱を持つように感じ、かゆみが出ることもあります。これらの症状はほとんどの場合、片側の乳房だけにみられます。
しかし、実際は皮膚炎などではなく、がん細胞が乳房のリンパ液の流れをブロックすることにより、皮膚に症状が出たものです。
皮膚の下には、網の目のように張り巡らされたリンパ管があります。このリンパ管の中に、乳管で発生したがん細胞が入って増殖し、詰まりを起こすために、リンパ液の流れが停滞し、乳房の炎症やはれを引き起こします。
さらに進行すると、乳房に潰瘍(かいよう)ができることもあります。ここから分泌液が染み出したり、出血することがあります。潰瘍に細菌などが感染すると、臭いを発するようになります。
まれな乳がんではあるものの、乳がんの中では比較的進行が早く、転移も起こしやすいことから、悪性度の高いがんといえます。
診断がついた時には、すでにほかの部位に転移しているケースも多く、その皮膚の症状や急激な進行から、急性乳腺(にゅうせん)炎と誤診されることも珍しくありません。
乳房に赤みやはれが認められたら、皮膚科のみならず、乳腺外科を受診してみることが勧められます。
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皮膚科、乳腺外科の医師による診断では、しこりがないケースが多いため、一般的な乳がんで有効なマンモグラフィー(乳房X線検査)、超音波(エコー)検査などでわからないことがほとんどです。
乳房の皮膚を一部採取し、顕微鏡で調べる生体検査が、最も確実とされています。生体検査を行い、皮膚やその下にあるリンパ管に、がん細胞が存在しているのが確認されれば、炎症性乳がんと確定します。
皮膚科、乳腺外科の医師による治療では、抗がん剤による化学療法を中心に、症状に応じて乳腺の動脈に直接抗がん剤を注射する方法や、放射線療法、ホルモン療法などが選択されます。
乳房を切除する手術をした場合でも、手術後の化学療法を継続することで、5年生存率は約50パーセントまでに上昇しています。
以前は、乳房を切除する手術のみの治療が主に行われていましたが、その結果は思わしくないもので、患者のほぼ全員に再発がみられ、5年生存率はわずか17パーセントであったとのデータがあります。
■用語 エプスタイン・バーウイルス感染症 [用語(え)]
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エプスタイン・バーウイルス感染症とは、主にエプスタイン・バーウイルスの感染で起こり、15~30歳くらいの青年期に多くみられる良性の疾患。EBウイルス感染症、伝染性単核球症とも呼ばれ、アメリカではキス病とも呼ばれています。
ヘルペスウイルスの仲間であるエプスタイン・バーウイルスはBリンパ球に感染しますが、感染Bリンパ球を排除するためにTリンパ球が増加します。サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、またHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した場合でも、同様の症状がみられることがあります。
エプスタイン・バーウイルスに感染する時期によって、症状の現れ方が異なります。日本人の70パーセントは2〜3歳までに初感染しますが、乳幼児期では病原菌に感染しても症状が現れない不顕性感染が多く、症状が現れても軽度です。
思春期以降に感染すると、約50パーセントが発症します。ただし、感染してもほとんどが4~6週間で、症状は自然になくなるといわれています。20歳代では90パーセント以上が抗体を持っているといわれていますが、成人になってから初感染した場合、症状が重くなります。6カ月以上症状が続く場合は、重症化している可能性があります。
エプスタイン・バーウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生に渡って共存します。そのため、急性感染症以外にもいろいろな疾患を引き起こすことがわかってきました。再感染はしないものの、免疫力が低下した場合に発症することもあります。
キスや飲み物の回し飲みなどによる、既感染者の唾液を介した経口感染が、主要な感染経路です。まれに、輸血により伝播(でんぱ)されます。感染してから発症するまでの潜伏期間は、4~6週間といわれています。
主な症状は、発熱、頸部(けいぶ)リンパ節の腫脹(しゅちょう)、咽頭(いんとう)痛。 まず、頭痛、熱感、悪寒、発汗、食欲不振、倦怠(けんたい)感などの前駆症状が数日間続き、その後38℃以上の高熱が1~2週間続きます。発熱のないこともありますが、通常は発症から4~8日が最も高熱で、以後徐々に下がってきます。
頸部リンパ節の腫脹は、発症2週目ころから現れ、時に全身性のリンパ節腫脹もみられます。上咽頭のリンパ節腫大による鼻閉も、よく起こります。口蓋扁桃(こうがいへんとう)は発赤、腫脹し、口蓋に出血性の粘膜疹(しん)が出て咽頭痛が生じます。発疹は、抗生物質、特にペニシリン系を投与された後に現れることがしばしばあります。
肝臓や脾臓(ひぞう)が腫大することもあり、急激な腫脹のためにまれに脾臓の破裂を招くことがあります。
発熱が1週間続く場合は、内科あるいは耳鼻咽喉(いんこう)科の医師を受診し、精密検査を受けることが勧められます。症状が進行して、劇症肝炎や血球貪食(どんしょく)症候群などを併発すれば、生命の危険があります。リンパ節腫大が長引き、悪性リンパ腫と誤診されることがあるので、要注意です。ほとんどの大人は既感染者なので、他人への伝播を気にする必要はありません。
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内科、耳鼻咽喉科の医師による診断では、血液検査を行い、白血球の増加、特に末梢(まっしょう)血中の単核球(リンパ球)の増加と、正常なリンパ球と異なった形の異型リンパ球の出現がみられることを確認します。ほとんどのケースで肝機能異常を認め、エプスタイン・バーウイルス血清中抗体価が陽性となることなどで、総合判断します。
このエプスタイン・バーウイルス感染症に特異的にみられるポール・バンネル反応を調べる血清試験があり、これが陽性ならば診断が決められます。しかし、日本人では検査が陽性にならないものが多く、頼りになりません。
ほかのウイルス感染や悪性リンパ腫、リンパ性白血病などとの区別が、必要になります。
内科、耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗エプスタイン・バーウイルス薬はないため、安静と対症療法が中心です。咽頭痛がひどい場合は、アセトアミノフェンなどの消炎鎮痛薬を用います。血小板減少や肝機能障害の程度が強く、症状が長引く場合は、ステロイドホルモン剤を用いることもあります。肝機能障害には、肝庇護(ひご)剤を用いることもあります。 発疹が現れることがあるため、抗生物質、特にペニシリン系抗生物質の投与は避けます。
安静にしていれば経過は比較的良好で、1〜2週間で解熱し、リンパ節のはれも数週から数カ月で自然に消えます。
重症の場合は、血漿(けっしょう)交換療法や抗がん剤が用いられます。アシクロビル(ゾビラックス)などの抗ウイルス薬の有効性は、証明されていません。
異型リンパ球は、少数ながら数カ月残存しているケースもあります。肝臓や脾臓のはれも1カ月ほどで回復しますが、まれに脾臓破裂を起こすことがあるので、治った後も2カ月ほどは腹に圧力や衝撃がかかる運動などは避けるようにします。
また、疾患が治ったと思っても、数週間たってから肝機能障害などが悪化することがあるので、リンパ節のはれがなくなっても数週間は経過に注意し、医師の指示を受けることが大切です。