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■用語 手汗 [用語(て)]





[手(グー)]手のひらに汗が異常に分泌する症状
 手汗とは、日常生活をする上でいろいろな障害をもたらすほど、手のひらに発汗する症状。多汗症の一種で、手掌(しゅしょう)多汗症とも呼ばれます。
 多汗症は、体温の調節に必要な範囲を超えて、汗が異常に分泌する症状。全身性の多汗症と、手のひら、足の裏、腋(わき)の下、頭、鼻の頭などにみられる局所性の多汗症があります。
 人間は意外と多くの場面で汗をかいており、発汗は体温調節の役割を担う大切な生理機能の一つでもあります。そのため、どのくらいの汗の量で多汗症と呼べるのか分類は難しいのですが、多汗症の場合は気温の変化や運動などとは関係なしに汗をかくことが多いので、心当たりがある人は少し振り返ってみるといいでしょう。特に疾患と考える必要はないにしろ、汗をかくということは日常の生活と密接に関係していることなので、さまざまな悩みや問題を抱えている人が多いのも事実です。
 局所性の多汗症は、汗をかきやすいという体質に、生活環境や精神的な影響が加わったものが大部分です。肥満、過度なダイエット、生活リズムの乱れ、性格的に神経質だったり、緊張しがちなタイプだったりと、ストレスをためやすい状況下に身を置いていることが原因となっています。
 これらの原因の背後には、交感神経の働きが大きく関係しています。交感神経は、副交感神経とうまくバランスを取り合いながら、人間が日々健康で過ごせるように作用しているものです。この交感神経がストレスなどさまざまな原因により過敏になってしまうと、体温上昇とは無関係に汗を大量にかくようになり、汗をかくことでさらなるストレスを作り出す悪循環に陥ってしまいます。
 全身性の多汗症も、多くは体質的なものです。比較的急激に生じた場合には、代謝機能や自律神経などが障害される、いろいろな疾患が潜んでいる可能性があります。
 局所性の多汗症の一種である手汗が起こる原因は、汗をかきやすいという体質に、生活環境や精神的な影響が加わり、発汗を促す交感神経が通常よりも過敏になって起こるものが大部分です。
 本人には意識できない幼少期から発症することが多いものの、10歳代から30歳代になって治療を受け始める人が多く認められます。足の裏に異常なほど大量の汗をかく足蹠(そくせき)多汗症(足底多汗症)を伴うことも、しばしばあります。発症に男女差は認められていません。
 同じ手汗でも、人によって汗の出る量が異なります。同じ人でも、汗の出る量(発汗量)は時間帯やその日の気温、緊張の度合いによっても違いますが、レベルは3段階に分けられています。
 レベル1は、手が湿っている程度。見た目にはわかりにくいものの、触ると汗ばんでいることがわかります。光を反射して汗がキラキラと光ります。
 レベル2は、手に水滴ができてぬれており、見た目でも汗をかいていることがわかります。
 レベル3は、盛んに水滴ができ、汗が滴り落ちます。
 手のひらから汗が滴り落ちるように出る場合は、「手を動かすと汗が飛び散る」「教科書やノート、書類がぬれてしまう」「握手ができない」「手が滑って物を落としやすい」など、さまざまな支障が生じます。
 本人にとっては非常につらい状態なので親や周囲の人に相談するのですが、汗っかきの体質ということで片付けられてしまい、治療を受けることなく悩みながら成長していくケースが多いようです。
 そのため、性格が消極的になる、集中力が低下するなどの精神的な負担も、背負い込むことになります。その結果、学業成績の低下やいじめの原因となり、不登校や引きこもりに至るケースも認められます。
 手汗による支障が改善しない場合は、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診し、本人に合った治療を受けることが勧められます。
[手(グー)]手汗の治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、皮膚に塗ると汗腺(かんせん)をふさいで一時的に汗を抑える効果がある局所制汗剤として、20パーセントの塩化アルミニウム液や、5パーセントのホルマリン・アルコール液を手のひらの汗が多い部分に塗布します。1日1〜2回塗り、乾いてからパウダーを振り掛けておきます。
 精神的な緊張が強くて汗をかくような場合には、精神安定剤を内服することも有効です。
 イオン浸透療法(イオントフォレーシス療法)を行うこともあります。水道水に浸した手のひらの部位に、弱い電流を20分ほど流して発汗を抑制するもので、個人差はあっても効果が出るまで数週間の集中的な治療が必要です。治療をやめると再発の可能性が高く、副作用として湿疹(しっしん)、かゆみ、皮むけ、水疱(すいほう)などが生じることがあります。
 このイオン浸透療法は皮膚科、皮膚泌尿器科で行う治療法ですが、同様の療法が行えるドライオニックと呼ばれる家庭用機器もあります。
 局所制汗剤の外用、イオン浸透療法で十分な効果が得られなかった場合は、必要に応じてボトックス注射を行うこともあります。発汗は交感神経の末端から放出されるアセチルコリンという神経伝達物質により、汗腺が刺激されることで促されるため、汗が出やすい部分にボツリヌス注射を打つと、このアセチルコリンの放出が阻害されるため、汗を減らすことができます。
 1回の注射による効果は、約半年間持続するとされています。ただし、副作用などのリスクもあります。
 交感神経ブロック手術を行って、胸の辺りにある汗の分泌を調節する交感神経を切除することもあります。手術は基本的に、まず片方の交感神経を切除し、その後の体調の経過をみてから、もう一方の交感神経も切除するかどうかを決定します。
 手術のメリットは成功率が高く効果に永続性があるということ、デメリットは交感神経を一度切除してしまうと元には戻らないということと、副作用として代償性発汗になる場合がほとんどであることです。代償性発汗とは、手のひらから汗が出なくなった代わりに、背中や下半身などこれまでと違った部位から大量の発汗が起こるものです。
 近年では、内視鏡手術(ETS手術)を行うこともあります。腋の下の皮膚を2~4ミリほど切って、小さなカメラを胸腔(きょうくう)に入れ、モニター画面で胸の中を見ながら、胸の辺りにある汗の分泌を調節する交感神経を見付けて切断します。左右両方の交感神経の切断が必要です。




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■用語 低髄液圧症 [用語(て)]





[iモード]脳脊髄液が減少し、頭痛やさまざまな全身症状が現れる疾患
 低髄液圧症とは、脳脊髄腔(のうせきずいくう)を循環する脳脊髄液が持続的、ないし断続的に漏出することによって減少し、頭痛やさまざまな全身症状を示す疾患。低脳脊髄液圧症、脳脊髄液減少症とも呼ばれます。
 脳脊髄液は、脳と脊髄全体を覆うように脳脊髄腔を循環して保護液として働き、脳と脊髄を浮かせて頭や体が急激に動くことによる衝撃を柔らげたり、部分的な脳や脊髄の活動によって産生される物質を取り除く働きも併せ持つと考えられています。
 脳の内側で4つに分かれて存在する脳室で、血液の成分から1日約500ミリリットル産生されて、1日で3回ほど全体が入れ替わる程度のスピードで循環しています。最終的には、くも膜という脳の保護膜と脳との間に広がっている静脈洞という部位から吸収され、血液へ戻ってゆきます。
 何らかの原因で脳脊髄腔を覆っている硬膜に亀裂(きれつ)などが生じ、この脳脊髄液が脳脊髄腔から漏出することが原因で、低髄液圧症が生じます。
 原因となるのは、頭や体に強い衝撃を受ける交通事故や、柔道、スノーボード、サッカー、バスケット、器械体操などによるスポーツ外傷、転倒のほか、出産、脱水などです。原因が不明なこともあります。
 その症状は、起き上がると痛みが増強し、横になると痛みが軽減する起立性頭痛を主とし、付随する頸部(けいぶ)痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠(けんたい)感などがみられます。
 また、個人により、記憶力の低下、集中力の低下、食欲の低下、むくみ、しびれ、歩行障害、顔面痛、味覚障害、動悸(どうき)、胸痛、脱力感、頻尿、無月経、性欲低下、体温調節障害、不眠など、さまざまな症状が起きることもあります。
 なお、この低髄液圧症は、日本の医師によって提唱された新たな疾患概念であり、いまだに定まった知見や治療法が確立されていないため、国において専門家による医学的な解明が進められているところです。
 このため、診療や治療を行っている医療機関は少なく、脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科などの一部が診療のみ、あるいは診療と治療を行っています。
[iモード]低髄液圧症の検査と診断と治療
 脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科の医師による診断では、起立性頭痛などの症状、経過、発症の状況などを問診します。
 頭部のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、脳脊髄液の減少を評価できるほか、脳脊髄液の減少のために脳がやや下垂している画像が認められることがありますが、常に認められるわけではありません。
 放射性同位元素(RI)脳槽(のうそう)・脳脊髄腔シンチグラフィーを行い、腰部から硬膜内に細い針を刺し、造影剤の放射性同位元素を外髄液腔(くも膜下腔)に注入すると、注入3時間以内に膀胱(ぼうこう)内に放射性同位元素が描出される画像や、放射性同位元素が髄液腔外に漏出している画像がみられれば、確定します。
 脳神経外科、神経内科、整形外科、麻酔科の医師による治療では、十分な水分を摂取して、ベッドでの安静を保ちます。点滴による水分補給が必要な時もあります。
 約2週間の水分摂取と安静で改善しない時には、ブラッドパッチ治療(硬膜外自家血注入療法)を行います。局所麻酔を行った後、X線(レントゲン)透視下で脳脊髄液の漏れている硬膜外腔(硬膜の袋の表面)の近くに針を刺します。そして、自己(患者本人)の腕から摂取した血液(ブラッド)に造影剤を混ぜ、刺しておいた針から注入します。すると、脳脊髄液の漏れている硬膜外腔の周囲に血液が広がって凝固し、硬膜の亀裂をふさぎます。
 治療効果には個人差があり、初回で効果がない時は、2~3回行うことも少なくありません。ブラッドパッチ治療後、硬膜の亀裂は2週間から1カ月程度で修復します。
 しかし、脳脊髄液の漏出が止まっても、脳脊髄液の生成が追い付くまで2~3カ月かかるのが一般的です。また、治療後6カ月間は再発のリスクが高いといわれています。
 付随する諸症状についても、症状ごとに回復の程度が異なります。そのため、真に回復を実感するまでに1~3年かかるのが普通だともいわれています。




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■用語 低LDLコレステロール血症 [用語(て)]





[ダイヤ]血液中のLDLコレステロールの濃度が低い値を示す状態[ダイヤ]
 低LDLコレステロール血症とは、血液に含まれるLDL(低比重リポ蛋白〔たんぱく〕)コレステロールの値が低い状態。
 明らかな基準の定義はないものの、緩い基準では80mg/dl未満、厳しい基準では25mg/dl未満となっています。
 低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を示す疾患は、原発性(一次性)と続発性(二次性)に分類されます。
 続発性(二次性)に LDL(低比重リポ蛋白)コレステロールが低値となる疾患としては、バセドウ病や甲状腺(せん)炎を原因とする甲状腺機能高進症、肝硬変、吸収不良症候群、悪性腫瘍(しゅよう)、低栄養が代表的です。
 原発性(一次性)に LDL(低比重リポ蛋白)コレステロールが低値となる疾患には、無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病があります。
[ハート]無βリポ蛋白血症は深刻な結果を招くほど脂質濃度が低下する遺伝性疾患
 無βリポ蛋白血症は、血液に含まれる脂質濃度が低下して著しい低脂血症を示す、まれな常染色体劣性遺伝疾患。バッセン・コルンツヴァイク症候群、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)欠損症とも呼ばれます。
 アポB含有リポ蛋白であるカイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)が血液中に欠損しており、乳児期から著しい低コレステロール血症、および低トリグリセライド(中性脂肪)血症を来します。
 原因は、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)遺伝子の変異です。
 MTPは、肝臓と小腸で合成されたアポ B 蛋白にトリグリセライド(中性脂肪)が転送され、VLDL(超低比重リポ蛋白)とカイロミクロン粒子が形成される過程に不可欠。肝臓での VLDL(超低比重リポ蛋白)の産生により末梢(まっしょう)組織に必要なコレステロールの輸送がなされ、小腸でのカイロミクロンの形成により脂肪が吸収されます。MTPの欠損により、トリグリセライド(中性脂肪)と結合しないアポ B蛋白は速やかに分解されて、血液中に分泌されません。
 本来なら、トリグリセライド(中性脂肪)と結合したアポB蛋白は、LDL(低比重リポ蛋白)と略されるβリポ蛋白、VLDL(超低比重リポ蛋白)と略されるプレβリポ蛋白として血液中に分泌され、脂溶性の物質を吸収したり、運搬したりします。従って、血液中にβリポ蛋白、プレβリポ蛋白がないと、脂肪やビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンなど多くの栄養素が臓器や組織に運ばれず、さまざまな症状が起こってきます。
 無βリポ蛋白血症の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。
 また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。
 未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。
[ハート]低βリポ蛋白血症は低LDLコレステロール血症を示す遺伝性疾患
 低βリポ蛋白血症は、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を示す常染色体優性遺伝疾患。家族性低βリポ蛋白血症とも呼ばれます。
 その原因遺伝子として、アポBとPCSK9(プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)が知られています。アポB変異の大部分は、短縮アポBを生成し、VLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌障害と異化促進の結果、血液中のアポB濃度が低下します。
 人間の遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL(低比重リポ蛋白)受容体やこれを働かせる遺伝子の両方に異常がある場合をホモ接合体と呼び、いずれか一方のみに異常が認められる場合をヘテロ接合体と呼びます。ホモ接合体のみならずヘテロ接合体も、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を示します。
 低βリポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者では、短縮アポBを生成して、血液中の脂質であるコレステロールの濃度が軽度に低下し、一般に、総コレステロール120mg/dl未満、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール80mg/dl未満を示します。同じ血液中の脂質である中性脂肪(トリグリセライド)の濃度は、正常の値を示します。
 低コレステロール血症を示すことを除いて、自覚症状がないことが多いものの、肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌不全のために、脂肪肝や胆石症の合併が増加することもあります。なお、自覚症状がないケースでは、発育も正常であり、かつ心血管病にかかるリスクが低いため、通常人より長生きするという報告もあります。
 低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者では、より短い短縮アポBを生成して、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の濃度が低下し、一般に、総コレステロール80mg/dl未満、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール20mg/dl未満を示すか、非常に短い短縮アポBを生成してアポB合成が欠損し、無βリポ蛋白血症と類似した症状を示します。
 アポB合成が欠損した場合の症状は、まず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐も生じます。
 また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱反射消失などが起きる可能性もあります。
 また、末梢細胞へのコレステロール供給が低下するために、赤血球は有棘(ゆうきょく)赤血球となります。肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌不全のため、脂肪肝を示すこともあります。
 未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。
 アポB合成が欠損した場合は通常、小児期に発見されますが、まれに成人期になって偶然発見されるケースもあります。
[ハート]カイロミクロン停滞病は遺伝子の異常により、体内でカイロミクロンを合成できなくなる疾患
 カイロミクロン停滞病は、小腸でカイロミクロンを合成することができないために、脂肪吸収不良が生じる遺伝性疾患。アンダーソン病とも呼ばれます。
 SARA2遺伝子の異常による非常にまれな疾患であり、常染色体劣性遺伝形式をとると考えられています。
 小腸粘膜細胞内の細胞小器官である小胞体では、中性脂肪を分解する酵素のリポ蛋白であるカイロミクロンの分泌は正常に行われるものの、SARA2遺伝子の異常により、カイロミクロンの合成を行う細胞小器官であるゴルジ体へと、カイロミクロンを輸送することができないために、カイロミクロンが合成できず小腸粘膜細胞内で停滞します。
 一方、肝臓における、中性脂肪を分解する酵素のリポ蛋白であるVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌、合成は損なわれません。
 小腸でカイロミクロンが合成できない結果、食事由来の脂肪と脂溶性ビタミンの小腸における吸収が大きく損なわれます。動物性蛋白の摂取不足に伴って、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を生じることもあります。
 カイロミクロン停滞病の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。
 中枢神経系が損傷し、運動失調症と精神遅滞が起きる可能性もあります。未治療の多くのケースでは、30歳前後までに中枢神経系の障害により、通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されます。
[ダイヤ]低LDLコレステロール血症の検査と診断と治療[ダイヤ]
[ハート]無βリポ蛋白血症の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。
 血中の総コレステロールの値が50mg/dl未満、血中のトリグリセライド(中性脂肪)の値が15mg/dl 未満で、特徴的な脂肪便、神経症状、目の症状が認められる場合に、無βリポ蛋白血症と確定します。
 鑑別する疾患には、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)、甲状腺機能高進症があります。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。
 無βリポ蛋白血症は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。
 消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。
[ハート]低βリポ蛋白血症の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールの低値を確認し、リポ蛋白の電気泳動で短縮アポBを検出することで、低βリポ蛋白血症と確定します。
 低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者で、アポB合成が欠損している場合は、血中の総コレステロール値は25〜45 mg/dlで、そのほとんどはHDL(高比重リポ蛋白)コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)10 mg/dl未満であることが多く、アポBは検出感度以下、脂溶性ビタミンA・E・Kも低値を示します。
 低βリポ蛋白血症と無βリポ蛋白血症は、家族歴によって鑑別します。低βリポ蛋白血症が常染色体優性遺伝であるのに対し、無βリポ蛋白血症は常染色体劣性遺伝疾患であるので、家族調査で無βリポ蛋白血症との鑑別が可能となります。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、低βリポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者、および低値であるが検出可能なLDL(低比重リポ蛋白)を有する低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者の場合、一般的に何も行ないません。
 LDL(低比重リポ蛋白)の欠損する低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者の場合、無βリポ蛋白血症に対する治療と同様、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。
 幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。
 消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。
[ハート]カイロミクロン停滞病の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液に含まれるコレステロール濃度が低く、食後カイロミクロンの欠損する場合に、腸の粘膜を一部採って特殊な染色を行った上で顕微鏡で調べる腸生検を実施します。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂肪と脂溶性ビタミン(A、D、E、K)のサプリメントを使用し、補充します。
 カイロミクロン停滞病は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、脂肪と脂溶性ビタミンを補充することにより、中枢神経系に対する損傷の発生と進行を遅らせることができます。




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■用語 低βリポ蛋白血症 [用語(て)]





[ダイヤ]低LDLコレステロール血症を示す遺伝性疾患
 低βリポ蛋白(たんぱく)血症とは、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を示す常染色体優性遺伝疾患。家族性低βリポ蛋白血症とも呼ばれます。
 その原因遺伝子として、アポBとPCSK9(プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)が知られています。アポB変異の大部分は、短縮アポBを生成し、VLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌障害と異化促進の結果、血液中のアポB濃度が低下します。
 人間の遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL(低比重リポ蛋白)受容体やこれを働かせる遺伝子の両方に異常がある場合をホモ接合体と呼び、いずれか一方のみに異常が認められる場合をヘテロ接合体と呼びます。ホモ接合体のみならずヘテロ接合体も、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を示します。
 低βリポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者では、短縮アポBを生成して、血液中の脂質であるコレステロールの濃度が軽度に低下し、一般に、総コレステロール120mg/dl未満、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール80mg/dl未満を示します。同じ血液中の脂質である中性脂肪(トリグリセライド)の濃度は、正常の値を示します。
 低コレステロール血症を示すことを除いて、自覚症状がないことが多いものの、肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌不全のために、脂肪肝や胆石症の合併が増加することもあります。なお、自覚症状がないケースでは、発育も正常であり、かつ心血管病にかかるリスクが低いため、通常人より長生きするという報告もあります。
 低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者では、より短い短縮アポBを生成して、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の濃度が低下し、一般に、総コレステロール80mg/dl未満、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール20mg/dl未満を示すか、非常に短い短縮アポBを生成してアポB合成が欠損し、無βリポ蛋白血症と類似した症状を示します。
 アポB合成が欠損した場合の症状は、まず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。
 また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢(まっしょう)神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。
 また、末梢細胞へのコレステロール供給が低下するために、赤血球は有棘(ゆうきょく)赤血球となります。肝臓からのVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌不全のため、脂肪肝を示すこともあります。
 未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。
 アポB合成が欠損した場合は通常、小児期に発見されますが、まれに成人期になって偶然発見されるケースもあります。
[ダイヤ]低βリポ蛋白血症の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールの低値を確認し、リポ蛋白の電気泳動で短縮アポBを検出することで、低βリポ蛋白血症と確定します。
 低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者で、アポB合成が欠損している場合は、血中の総コレステロール値は25〜45 mg/dlで、そのほとんどはHDL(高比重リポ蛋白)コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)10 mg/dl未満であることが多く、アポBは検出感度以下、脂溶性ビタミンA・E・Kも低値を示します。
 低βリポ蛋白血症と無βリポ蛋白血症は、家族歴によって鑑別します。低βリポ蛋白血症が常染色体優性遺伝であるのに対し、無βリポ蛋白血症は常染色体劣性遺伝疾患であるので、家族調査で無βリポ蛋白血症との鑑別が可能となります。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、低βリポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者、および低値であるが検出可能なLDL(低比重リポ蛋白)を有する低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者の場合、一般的に何も行ないません。
 LDL(低比重リポ蛋白)の欠損する低βリポ蛋白血症ホモ接合体の発症者の場合、無βリポ蛋白血症に対する治療と同様、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。
 幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。
 消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。




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