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■用語 バソプレシン感受性尿崩症 [用語(は)]





[喫茶店]バソプレシンの分泌低下により、体内の水分が過剰に尿として排出される疾患
 バソプレシン感受性尿崩症とは、体内の水分が過剰に尿として排出される疾患。中枢性尿崩症、下垂体性尿崩症とも呼ばれます。
 利尿を妨げる働きをするバソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌量の低下で、体内への水分の再吸収が低下するために、多尿を呈します。バソプレシン(抗利尿ホルモン)は大脳の下部に位置する視床下部で合成され、神経連絡路を通って下垂体(脳下垂体)後葉に運ばれて貯蔵され、血液中に放出されます。このバソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌低下による尿崩症が、バソプレシン感受性尿崩症です。
 一方、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌は正常でも、その腎(じん)尿細管における作用障害に由来して、腎臓が反応しなくなる尿崩症は、腎性尿崩症です。
 バソプレシン感受性尿崩症のうち、バソプレシン(抗利尿ホルモン)を産生する視床下部や下垂体後葉の機能が腫瘍(しゅよう)や炎症、外傷などで障害されたものが続発性尿崩症、このような原因のはっきりしないものを特発性尿崩症といいます。また、遺伝子異常が報告されている家族性尿崩症もあります。
 続発性尿崩症の病因では、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫などの腫瘍が多くみられます。下垂体後葉などに非特異性慢性炎症がみられる下垂体後葉炎が病因となっているものもあります。
 症状はいずれの年代でも、徐々にあるいは突然、発症します。発症すると、脱水状態になるため、のどが渇いて過剰に飲水するといった症状が現れ、多尿を呈します。1日に排出される尿量は3~15リットルと、通常の2倍~10倍にもなります。ひどい時には、1日30リットル〜40リットルになることもあります。
 薄い尿の大量排出は、特に夜間に著しくなります。水をたくさん飲むために、食べ物があまり取れず、体重は減少します。
 続発性尿崩症では、口渇、多飲、多尿に加えて、原因となる疾患の症状を示します。腫瘍が原因の場合、腫瘍が拡大すれば頭痛、視野障害、視床下部・下垂体前葉機能低下症状などを示します。
 下垂体前葉機能低下の程度が強く、高度の副腎皮質刺激ホルモンの分泌不全を伴うと、尿量は減少し、尿崩症の症状ははっきりしなくなります。この場合、副腎皮質ホルモンを補充すると多尿がはっきりしてきます。
 一般に、口渇中枢は正常であるため、多尿に見合った飲水をしていれば脱水状態になることはありませんが、続発性尿崩症で口渇中枢も障害されている場合は、重症の脱水を来すことがあります。
 1日3リットル以上の著しい多尿や口渇、多飲などの症状がみられた際には、糖尿病や腎疾患、心因性多飲症とともに尿崩症である可能性があります。内科か内分泌科、頭部外傷や脳手術の既往歴がある人は脳外科か脳神経外科の専門医と相談して下さい。
[喫茶店]バソプレシン感受性尿崩症の検査と診断と治療 
 内科、内分泌科、脳外科、脳神経外科の医師による診断では、まず多飲、多尿を示す糖尿病、腎疾患を除外する必要があります。これらが除外された後、心因性多飲症などとの鑑別が必要になります。
 心因性多飲症は、精神的原因で強迫的または習慣的に多飲してしまう疾患です。血漿(けっしょう)浸透圧と血中のバソプレシン(抗利尿ホルモン)を測定して、鑑別診断に用います。鑑別が難しい場合、水制限試験を行います。水分摂取の制限を行っても、バソプレシン感受性尿崩症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えることはありませんが、心因性多飲症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えて濃縮がみられます。
 バソプレシン感受性尿崩症では、下垂体後葉にバソプレシン(抗利尿ホルモン)の枯渇を反映する変化がみられます。また、続発性尿崩症の原因となる脳腫瘍などの疾患の検索にも有用です。
 バソプレシン感受性尿崩症と腎性尿崩症の区別は、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤の投与によって、尿が濃縮されるかどうかで調べます。尿が濃縮されるのがバソプレシン感受性であり、反応しないのが腎性です。
 内科、内分泌科、脳外科、脳神経外科の医師による治療では、バソプレシン感受性尿崩症には補充療法として、バソプレシン剤や、デスモプレシン剤を点鼻液、あるいはスプレーとして用います。1日2〜3回使用すると尿が濃縮され、尿量は普通並みに減少します。そのほか、注射製剤も使用できます。
 意識がなくなったり、胃腸障害で水が飲めなくなった時には、速やかに点滴静脈注射をして水分を補給します。腫瘍が原因で続発性尿崩症が起こった時には、手術をして腫瘍を取り除きます。




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■用語 晩発閉経 [用語(は)]





[バー]一般的な停止年齢より遅れて、55歳以降になって閉経する状態
 晩発(ばんぱつ)閉経とは、女性が55歳以降になって閉経する状態。遅発(ちぱつ)閉経とも呼ばれます。
 閉経の年齢は個人によって異なりますが、一般的には45~56歳くらい、平均では2012年度で52・2歳、遅い人でも60歳前には閉経に至るといわれています。かつては平均閉経年齢は50歳といわれていましたが、平均寿命や健康寿命が延びているように、平均閉経年齢も延長しています。
 そもそも閉経とは、女性が性成熟期の終わりに達し、更年期になって卵巣の活動性が次第に消失し、卵巣における卵胞の消失によって月経が永久に停止することをいい、その時期を閉経期といいます。
 女性によっては、一度月経が停止したのに半年後に再開するケースもあるため、無月経になってから1年以上経過したことを目安に閉経と見なされます。
 晩発閉経で、55歳以降になって月経が続いているということは、ほかの女性よりも長く女性ホルモンを分泌できる恩恵を受けられるということで、骨粗鬆(こつそしょう)症などになる可能性は低く、一見QOL(生活の質)はよいように思われます。
 一方、生殖機能にかかわる女性ホルモンには、乳がんの増殖を促す作用があり、分泌期間が長いと発症しやすくなります。子宮体がんや卵巣がんを発症するリスクも、高まるといわれています。
 月経の経血量が多いタイプの女性が、閉経が遅い傾向にあります。特に、子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)である子宮筋腫(きんしゅ)が原因で経血量が多い女性は、卵巣から出る女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が多い傾向があり、閉経時期が50歳代半ば以降になることもあります。
 子宮筋腫があると、それまで月経トラブルがなかった女性でも、更年期に経血量が増えたり、突然大量出血することもあります。
 子宮筋腫などで貧血を伴う場合は、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。単なる晩発閉経の場合は、特に治療の必要はないものの、乳がん、子宮体がん、卵巣がんの危険因子として挙げられているので、少なくとも年1回程度の定期検診は欠かさず受けることが勧められます。
[バー]晩発閉経の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科の医師による診断では、子宮筋腫が疑われる場合、触診に続いて、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、子宮内部の様子を外から観察し、確定します。
 婦人科、産婦人科の医師による治療では、単なる晩発閉経の場合、経過を観察します。
 子宮筋腫によって貧血がある場合、薬物療法と摘出手術という2つの方法がありますが、根本的な治療は手術になります。
 薬物療法は、ホルモン剤によって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を一時的に停止させる方法です。Gn-RH製剤と呼ばれる薬が使われ、月1回注射を打つ方法、1日に2~3回、鼻に噴霧する方法などがあります。これによって、子宮筋腫の重さを半分から3分の2くらいまで縮小させることができます。
 しかしながら、この方法では人工的に閉経したのと同じような状態を作るため、更年期障害が現れ、骨粗鬆症のリスクも高めることになります。Gn-RH製剤を使うのは、半年が限度とされています。その後、半年治療を中断すれば、骨も元に戻り、骨粗鬆症のリスクも低下しますが、子宮筋腫もまた元の大きさ近くに戻りますので、根本的な治療にはなりません。最近は、閉経が間近な女性などに対して、補助的な意味合いで使われることも多いようです。
 また、子宮に栄養を供給する子宮動脈を人工的に詰まらせ、子宮筋腫を栄養不足にすることで小さくする、子宮動脈塞栓(そくせん)術という治療法があります。X線でモニターしながら、大腿(だいたい)部の動脈から子宮動脈まで細い管を挿入し、詰め物で血管に栓をします。まだ一般的な治療ではなく、一部の施設で試みられている段階です。
 手術で子宮筋腫を摘出する場合は、子宮筋腫のみを摘出して子宮を残す方法と、子宮ごと子宮筋腫を摘出する方法とがあります。どの方法を選ぶかは、筋腫の状態、症状の程度などによって決定されます。
 手術の方法も、おなかにメスを入れる開腹手術だけではなく、腟(ちつ)から子宮を取る手術や、腹腔(ふくくう)鏡など内視鏡によって開腹せずに行う手術もあります。




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■用語 晩発月経 [用語(は)]





[バー]一般的な年齢より遅く、15歳以上18歳未満で初めての月経を迎える状態
 晩発(ばんぱつ)月経とは、一般的な開始年齢より遅れて、15歳以上18歳未満で初めての月経である初潮を迎える状態。遅発(ちぱつ)月経とも呼ばれます。
 月経は、ホルモン分泌の調整をする脳の視床下部と脳下垂体が卵巣を刺激し、それによって卵巣から分泌される女性ホルモンが子宮に働き掛けて起こる出血です。
 女児が初めての月経である初潮を迎える時期にはそれぞれ個人差がありますが、一般的には、12歳が平均的な年齢とされ、14歳までにはほとんどの女児が月経を経験しています。
 しかし、晩発月経の場合は、その平均的な年齢よりも遅れて月経が始まることになります。そして、18歳になっても月経が始まらない場合は、原発性無月経と呼ばれます。
 15歳以上になっても初潮が起きないという場合は、乳房の発育に加えて恥毛や腋毛(えきもう)の発毛など、思春期に起こるほかの二次性徴も遅いのが普通です。12〜13歳になっても乳房の発育が始まらない、14歳になっても恥毛が発毛しない、そして晩発月経であるという場合は、遅発思春期(思春期遅発症)と呼ばれます。
 晩発月経の原因には、さまざまなものが考えられます。体質が関係しているために、明白な原因がなく、ただ初潮が遅れているだけというような場合は、特に大きな問題はないといえるでしょう。
 治療が必要になる原因には、視床下部や脳下垂体など中枢性の異常があり、性腺(せん)刺激ホルモンの分泌が弱く、卵巣からの女性ホルモンの分泌が年齢に応じて増加しないために、月経が起こりません。
 また、生まれ付きの遺伝的なものとして、形態異常や染色体異常があると、月経が起こりません。
 このうち形態異常には、膣(ちつ)閉鎖または処女膜閉鎖があります。膣や膣の入り口が閉鎖しているために、実際には月経があるのに、外へ流れ出てこないために、晩発月経と思われているものです。この場合は、脳下垂体や卵巣機能は正常のことが多く、女性ホルモン分泌は正常で二次性徴も認められて乳房などは発達しており、周期的な下腹部痛が繰り返されるのが特徴です。
 そのほか、卵巣や子宮が先天的になかったり、発育が不完全の場合には、月経が起こりません。
 染色体異常としては、ターナー症候群、精巣性女性化症候群、副腎(ふくじん)性器症候群などがあり、甲状腺機能低下症などの疾患が原因のこともあります。
 卵巣形成障害や染色体異常が原因の場合は、乳房の発育、恥毛や腋毛の発毛など、思春期に起こる二次性徴の出現がみられないことが特徴的です。
 そのほか、無理なダイエットによるホルモンバランスの乱れ、激しいスポーツによるホルモンバランスの乱れが原因のこともあります。
 晩発月経の場合は、結局18歳までに初潮を迎えることがなく、18歳を超えても月経の経験がない原発性無月経へと移行してしまうということが、少なくありません。そのために、晩発月経になる原因は、必然的に原発性無月経の原因と同じになります。
 いずれにしても、15歳過ぎても初潮がない場合は、原発性無月経になる可能性がありますから、早めに婦人科、産婦人科、思春期外来を受診することが勧められます。
[バー]晩発月経の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による診断では、まずは問診によって、無月経や遺伝的疾患の家族歴、内科的疾患の有無、薬剤服用の有無を確認します。また、基礎体温を測り、排卵の有無も確認します。
 問診、視診、内診などで、子宮や腟の存在の有無、二次性徴の発現の有無を調べた後、血液検査、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、腹腔(ふくくう)鏡検査、場合により染色体検査や慢性疾患の検査などを行い、遅発月経の原因を探ります。
 婦人科、産婦人科、思春期外来の医師による治療では、原因が体質による単なる遅れだという診断がなされた場合、経過観察のみで特に治療は行いません。
 染色体の異常や卵巣の異常が原因の場合は、性ホルモン補充療法により二次性徴の促進と維持を図ります。染色体に異常がない場合は、排卵誘発剤の投与などを行います。
 また、膣や処女膜などの閉鎖が原因の場合は、手術療法で閉鎖部の切開を行います。内科的疾患が原因の場合は、その改善を図ります。ダイエットなどが原因の場合は、食生活の見直しやカウンセリングなどを行います。




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■用語 肺過誤腫 [用語(は)]





[バー]肺にできる良性腫瘍の一つ
 肺過誤腫(はいかごしゅ)とは、肺にできる良性腫瘍(しゅよう)の一つ。
 肺にできる良性腫瘍にはさまざまな種類がありますが、過誤腫は最も頻度が高く、約半数を占めます。そのほかの良性腫瘍には、硬化性血管腫、軟骨腫、脂肪腫、平滑筋腫などがあります。
 肺過誤腫は、肺の末梢(まっしょう)部、胸膜直下にできることが多く、円形、ないし類円形で、境界鮮明の孤発性の結節を形成します。正常時から存在する軟骨組織、気道上皮、気管支腺(せん)、線維組織、脂肪組織が腫瘍様に過剰に発育または過剰に増殖したもので、その発育は限局性で良性です。ただし、構造的には組織奇形と形容できます。腫瘍の内部は不均等なことが多く、石灰沈着がみられることがあります。
 肺過誤腫は急速に広がることが少ないため、一般的に無症状で、大きくなる速度も遅く、悪性化することはほとんどなく、ほかの臓器に転移することはありません。
 しかし、ゆっくりではあっても発生部位で次第に大きくなることがあります。肺過誤腫ができた部位によっては、せき、たんの原因になったり、空気の通る道である気管支を圧迫して、肺炎などを起こすことがあります。
 症状が出現することはまれなため、多くの場合、住民検診や職場検診、ほかの疾患の検査中に胸部X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で偶然発見されています。
[バー]肺過誤腫の検査と診断と治療
 呼吸器科、呼吸器外科の医師による診断では、胸部X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で認められ、末梢部に発生した腫瘍は境界明瞭な円形、ないし類円形の陰影を示します。
 その検査画像上の特徴だけでは、肺がん、結核腫などの重大な疾患と見分けがつかない場合もよくあります。気管支にできた腫瘍は、気管支鏡と呼ばれる内視鏡で腫瘍細胞の一部を採取して、顕微鏡で調べる生検を行い、悪性か良性かを判断します。
 肺の奥のほうにできた腫瘍は、気管支鏡検査のほかに、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査なども行って、腫瘍の形や中身を評価します。近年、PET(陽電子放射断層撮影)検査が普及し、1センチ以上の大きさの腫瘍であれば、ある程度、悪性と良性の見分けが可能になってきています。
 しかし、生検などによる診断は困難なことも多く、手術による腫瘍の摘出によって診断と治療jを同時に行い、確定診断は手術後に判明することも珍しくありません。
 呼吸器科、呼吸器外科の医師による治療では、放射線治療や薬物療法は効果がないとされているため、原則的に手術を行います。ただし、手術をするのは、増大したり、周囲を圧迫するために呼吸機能が低下したり、特定の部位に肺炎が繰り返し生じる場合などです。また、悪性腫瘍(がん)と区別できない場合には、手術により診断と治療を同時に行うことがあります。
 手術後は、手術時の傷が神経を刺激して胸痛が続くことがありますが、再発することはほとんどありません。
 明らかに良性腫瘍であるとわかっている場合で、合併症や高齢などの理由で手術ができない場合には、内視鏡の届く部位にできた気管支の腫瘍を内視鏡で取り除くこともあります。
 良性腫瘍であることが明白で、増大傾向がなく、しかも無症状の場合には、経過を観察し、定期的に検査をするだけで十分です。




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