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■水晶体の被曝量限度、年間50ミリシーベルトに引き下げへ 原子力規制委員会が中間報告 [健康ダイジェスト]





 放射線を大量に浴びると目が白内障になる恐れがあることから、原子力規制委員会の専門家会合は中間の報告書を取りまとめ、医師や看護師などの目の水晶体の被曝(ひばく)量の限度をこれまでの3分の1の年間50ミリシーベルトに引き下げることなどが適当だとしました。
 原子力規制委員会によりますと、放射線を大量に浴びると目の中の水晶体が白く濁る白内障になる恐れがあるとされていて、水晶体に影響する放射線はX線を使った手術を行う医師や、CT検査にかかわる看護師など医療現場で浴びるケースが多いということです。
 国内では水晶体の被曝量の限度を年間150ミリシーベルトとしていますが、この基準値は世界的にみても非常に緩いことから、放射線から人や環境を守る仕組みを専門家の立場で勧告する国際学術組織「国際放射線防護委員会(ICRP)」の6年前に出した基準値の見直し勧告を受けて、原子力規制委員会の専門家会合が議論をしてきました。
 そして、8日の専門家会合で勧告に沿う形で、被曝量の限度をこれまでの3分の1の年間50ミリシーベルトに、5年間の平均で年間20ミリシーベルトに引き下げることが適当だとする中間の報告書を取りまとめました。
 一方、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業では医療現場と同様に被曝するケースがあり、東京電力は来年度から自主的に水晶体の被曝量の限度を年間50ミリシーベルトに下げることを決めています。
 専門家会合では今年度中に正式に決定し、厚生労働省など関係機関に提言したいとしています。

 2017年12月10日(日)
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■炎症を引き起こす活性酸素を除去できるマイクロマシンを開発 産業技術総合研究所  [健康ダイジェスト]





 産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)は、3種類のタンパク質だけからなり、炎症を引き起こす過剰な活性酸素を除去できる高機能なマイクロマシン(微小機械)を開発したと発表しました
 このマイクロマシン開発は、産総研バイオメディカル研究部門の山添泰宗主任研究員によるものです。
 血管や臓器の中で働くナノマシンやマイクロマシンを使って、病気の診断、病変部への薬の投与、有害物質の除去などを行う治療法が期待を集めています。体内で働くナノマシンやマイクロマシンは、安全性の高い素材で作られ、また、役割を終えた後には体内で分解されてなくなるのが理想的です。タンパク質は、生体適合性や生分解性があり、また、結合、触媒、伝達、輸送など多岐にわたる機能を持つので、素材として有望ですが、多くのタンパク質は非常に繊細であり、少しの刺激によって容易にその立体構造が壊れて機能も失われます。この取り扱いの困難さのために、複数のタンパク質を部品として、乾燥状態にも耐えられる強さと高度な機能を備えたナノマシンやマイクロマシンを組み立てることは困難でした。
 産総研では、今回、異なる機能を持つ血清アルブミン、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、抗体という3種類のタンパク質を組み合わせて、過剰な活性酸素を除去できるタンパク質だけからなるマイクロマシンの開発に取り組みました。
 まず、抗原・抗体反応を利用して基板上に抗体を規則正しく並べ、これを血清アルブミンなどで構成されるマイクロマシンの本体部分に組み込みました。水に不溶性のマイクロマシンを作るために化学処理が必要ですが、タンパク質の構造が破壊されないように、架橋剤を用いた化学処理の反応条件を最適化しました。また、反応液に安定剤を加えて、乾燥工程でのタンパク質の構造破壊を防止しました。なお、安定剤はすべて、マイクロマシン作製後に溶出させて取り除くことができます。
 このマイクロマシンは、熱、pH変化、乾燥の外部刺激に対して高い安定性を示し、直径約100µm、中央部で約170nmと薄く、外周部で約740nmと厚い円形の薄いシート状となりました。
 このマイクロマシンを、活性酸素を分泌する細胞と混合したところ、マイクロマシンは、表面に組み込まれている抗体の働きにより良好に細胞を捕捉できることがわかりました。マイクロマシンに捕捉された細胞から周囲に分泌された活性酸素の量を測定したところ、フリーの状態の細胞に比べて70%減少することがわかりました。また、薬剤結合マイクロマシンは、薬剤を周囲に放出することで、捕捉していないものの近くにある細胞についても活性酸素の生成を著しく抑制できることもわかりました。
 今回、天然素材で安全性の高いタンパク質を使って、高度な機能を備えたマイクロマシンを構築できることが実証されたため、タンパク質を使った安全・安心・高機能な医療用デバイス(医療用具)の開発が進むと期待されます。
 産総研は今後、炎症性サイトカインに結合する抗体などを組み込んで、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患の治療に役立つマイクロマシンを開発するとしています。また、今回開発した作製手法をバイオセンサーやウェアラブルデバイスなどのデバイス開発にも応用していくということです。

 2017年12月9日(土)
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■用語 宿便性大腸穿孔 [用語(さ行)]





[天秤座]長い間、腸にたまっている硬い便が原因で大腸に穴が開く疾患
 宿便性大腸穿孔(せんこう)とは、便秘で硬くなった便が原因で大腸に穴が開く疾患。特発性大腸穿孔の一つです。
 主に便秘で長い間、腸にたまって硬くなった便、あるいは体内で作られた糞石(ふんせき)といわれる結石により、腸管壁が圧迫され、粘膜の血流障害から壊死(えし)に陥り、腸管に穴が開きます。病理学的には、穿孔部は円形もしくは楕円(だえん)形で、辺縁に壊死および炎症を認めます。
 腸管内圧の上昇などによって、大腸粘膜の一部が腸壁外へ嚢胞(のうほう)状に突出する大腸憩室や、大腸にできた腫瘍(しゅよう)などが原因となる大腸穿孔と比べると、比較的まれな疾患です。
 宿便性大腸穿孔は、大部分がS状結腸と直腸に発生し、横行結腸、下行結腸、脾(ひ)湾曲部(脾曲部下行結腸)、大腸以外の盲腸に発生することもあります。
 かつては極まれにしかみられませんでしたが、高齢者の便秘の増加で多くの病院で、宿便性大腸穿孔への対応を迫られるようになっています。高齢者に多いほか、長期臥床(がしょう)者や、便秘をもたらす薬剤常用者に多くみられます。また、慢性腎(じん)不全や強皮症、舌がん、胆汁うっ滞性黄疸(おうだん)などの基礎疾患を持つ患者にみられることも、まれにあります。
 大腸に穴が開けば、その穴を通して体の中に、本来は排出されるはずの有害物質が流れ込むので、体にとっては深刻な事態となります。大腸は通常でも腸内細菌が多く、病原性のある細菌も繁殖しやすい部位であるため、大腸に穴が開くと、腹痛を起こし、すぐに重症の腹膜炎を起こします。敗血症を伴ったり、ショック状態に近かったり、腹痛が重篤で下血もあったりと、誰でも重症と疑えるような症状のものがほとんどですが、それほどの症状に見えないのに実際には重症というケースもまれに存在します。
 宿便性大腸穿孔は、特に高齢者の便秘持ちに多くみられます。高齢で大腸の動きが落ち、水分をあまり摂取しない生活で便が出難く、かつ硬くなると、石のような便が腸を傷付けることもあり、スムーズに便が移動しないため、大腸の圧力が部分的に異常に高まり、宿便性大腸穿孔の原因となります。また、高齢者では大なり小なり動脈硬化に伴う腸の虚血もあるので、そうしたもろく、弱い部位に強い圧力が掛かることにより、宿便性大腸穿孔の原因となります。
 抗精神病薬の常用による便秘も、宿便性大腸穿孔の一因とされています。抗精神病薬や抗うつ薬は、抗コリン作用を有するため便秘を起こしやすく、大腸穿孔の原因となります。
 突然の腹痛、下血がみられたら、できるだけ早く内科、ないし消化器科の専門医を受診し、適切な治療を受けるようにします。緊急で手術して大腸管に開いた穴をふさぐことになりますが、死亡率は14%とされており、50%前後とされた従来に比較して救命率は上がっているものの、発症から24時間以上で死亡率は33%、48時間以上では50 %とされており、診断の遅れたケースでは予後不良となるため、早期診断と早期治療が重要です。 
[天秤座]宿便性大腸穿孔の検査と診断と治療
 内科、ないし消化器科の医師による診断は、便秘、腹痛、下血などの症状だけで容易に推定できますが、確定するために血液検査、腹部単純X腺検査、腹部CT(コンピュータ断層撮影法)検査を行います。
 大腸管の拡張、大腸管内に硬便や多量の便塊を認め、本来は腸管内にとどまっているガスが開いた穴から腹腔(ふくくう)内に漏れ出るフリーエアー、腹水の貯留、腹膜炎、閉塞(へいそく)性腸炎、大腸管穿孔などを認めれば、宿便性大腸穿孔と確定します。
 内科、ないし消化器科の医師による治療では、症状が急速に進み、もともと高齢でほかの疾患を持っている発症者が多いので、緊急で手術して壊死、穿孔した大腸管を切除し、管を挿入して大腸管の内容物を吸引するドレナージ、双孔式人工肛門(こうもん)の造設などを行います。
 宿便性大腸穿孔の再発を防ぐためには、便秘を起こさないようにすることが大切です。規則的な生活や野菜類の多い食事、適度の運動を心掛けてください。医師の側でも、症状などに応じて便秘薬を処方します。
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■用語 新生児エリテマトーデス [用語(し)]





[天秤座]新生児に円板状の紅斑、時に肝機能異常、血球減少などの全身症状を生じる疾患
 新生児エリテマトーデスとは、慢性円板状エリテマトーデに似た円板状の紅斑(こうはん)、もしくはシェーグレン症候群に随伴する円板状の紅斑によく似た症状を、誕生時から誕生後1カ月以内に生じる疾患。新生児紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)とも呼ばれます。
 紅斑は顔面を中心にして、頭部、胸部、四肢などに生じますが、6カ月程度経過するころには、軽度の色素沈着を残して消失してゆきます。しかし、皮膚の症状とともに、膠原(こうげん)病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性エリテマトーデスの特徴である溶血性貧血や、肝臓と脾臓(ひぞう)が肥大する肝脾腫(しゅ)、血小板減少、白血球減少、発熱といった全身症状を生じることがあります。
 まれには、皮膚症状、全身症状とともに、不可逆性の先天性に脈が乱れる房室ブロック(2度房室ブロック、AVブロック)、あるいは完全房室ブロック(3度房室ブロック)を生じることがあります。新生児エリテマトーデスの新生児の1〜 2%で、房室ブロックを伴うとされています。
 房室ブロックは不可逆性の重篤な心伝導障害ですが、それ以外の皮膚症状、肝機能障害、血液障害は一過性の可逆的な障害で、誕生後1年以内に自然に治癒し、持続的な後遺症は残りません。しかし、新生児エリテマトーデスの子供が成長した後、成人期に全身性エリテマトーデスを発症することも、ないわけではありません。
 新生児エリテマトーデスは極めてまれな疾患で、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群に罹患した母親、あるいは時に無症状の母親から、母親由来の自己抗体が胎盤を経て、胎児に移行することによって発症します。抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が原因といわれており、特に抗SS-A抗体は皮膚症状に関与しています。
 6カ月程度経過すると紅斑を生じる皮膚症状に改善がみられ、その際、母親由来の抗SS-A抗体、抗SS-B抗体も新生児から消失するため、これらの抗体の関与が指摘されています。
 新生児エリテマトーデスは出生前に診断することが可能で、適正な治療を行うことで、新生児を最適な健康状態に導くこともできます。例えば、出生前に徐脈心不全が進行する先天性房室ブロックが胎児に見付かった場合は、リトドリンという治療薬の点滴や錠剤による母親への投与が胎児の心拍数増加、心機能改善、子宮収縮抑制作用を有し、出生後のイソプロテレノールという徐脈、房室ブロックの治療薬への反応の予測にも役立つ治療法です。
 先天性房室ブロックを随伴している新生児エリテマトーデスの新生児に対しては、出生直後から発症する高度の呼吸循環不全を乗り切るため、産科、新生児科、循環器科、心臓外科が連携して、呼吸管理、抗心不全療法を行います。房室ブロックを伴う新生児エリテマトーデスの新生児の死亡率は15~22%で、新生児の時期を乗り越えると予後はよくなります。
[天秤座]新生児エリテマトーデスの検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、免疫血清や血液の検査を行います。免疫血清検査では、高頻度にみられる血清中の抗SS-A抗体、抗SS-B抗体を調べます。また、血液検査によって 貧血の程度や白血球減少、血小板減少の有無を調べます。
 併せて、皮膚生検も行います。顔面の頬(ほお)などの紅斑の皮膚症状が出ている部位から米粒大の皮膚組織を採取して顕微鏡を用いて判断する病理組織検査で、事前に眠り薬を点滴で投与してから、組織を採取します。
 母親由来の自己抗体が発症の原因と見なされているので、母親の問診、血液検査をすることもあります。自覚症状を認めていない母親に、採血にて抗SS-A抗体と抗SS-B抗体陽性が指摘されたり、膠原病である全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群の可能性が指摘されることもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、基本的には皮膚症状、全身症状ともに、対症療法を中心に行います。皮膚症状に対しては、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。
 全身性エリテマトーデスを合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。
 円板状の紅斑の悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。
 先天性房室ブロックに対しては、恒久型ペースメーカーの植え込みが適用されることもあります。ペースメーカーは、正常よりも脈が遅くなる徐脈時には電気刺激を出して心臓の拍動を調整するもので、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。手術で、ライターほどの大きさのペースメーカーを鎖骨の下に埋め込みます。




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