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■眠りの知恵3 [健康コラム]





[夜]現代人の眠りについて
●現代社会と人間の眠り
 現代の日本においては、科学技術が発達し、社会が複雑化した結果、睡眠研究も加速度的に進展している。日常生活において不眠を訴える人が増え、睡眠を切実な問題として捕らえる場面が多くなったからである。
 最近では、デパートやフィットネスクラブなどに快眠コーナーが設けられるほどで、不眠症者ばかりでなく、一般の健康な人も睡眠に関心を払うようになったようである。
 新聞やテレビの報道によると、会員制フィットネスクラブなどでは、安眠をいざなうさまざまな仕掛けを設けているという。カプセルの中でリクライニングのいすに身を横たえ、アルファ波が出るとされる音楽を聞くクラブが多い。
 中には、音響を振動に変える音響体感装置付きのいすで体の緊張をほぐしたり、信号音を出すヘッドホンと点滅光を発するゴーグルで、脳や体のストレスを取り除いたりするところもある。
 このような施設がある世の中だから、真夜中に働く職場が増えている。二十四時間、地球をネットするコンピューター。速報態勢の情報化社会で、マネー戦争の金融業界をはじめ、さまざまな職場で、昼と夜との境界線が薄れつつある。交代制勤務や残業をする労働者ばかりか、子供の生活まで、夜へ夜へと傾いていく。
 昼間は起きて働き、夜は寝る。人類はずーっとそうしてきて、今、ほんの最近、夜と昼を逆転させてしまった。生き物としての人間は変わらないのに、私たちの生活は人類の長い歴史から急にはずれてきたのである。
 現代人はどうしてこうも、コウモリのようになりたがるのだろう。
 実は、近代文明とやらのお陰で、人間が徐々に夜行性になり始めてから、世の中がひどく乱れ、腐敗し、悪化してしまったのは周知の通りである。ほんの少し「なり始めた」ぐらいで、この始末だから、もし本格的に夜行性になってしまったら、いったいどんな悲惨な有り様になるか。
 大人ばかりでなく、今の現代っ子の生き方、あり方も、あまりに大自然という偉大な造物主の真理に背いている。
 小中学生は、体はまず健康に育っているのに、本人たちの心身の自覚症状は半病人並みだともいわれている。「朝からだるさや疲れを感じる」、「頭や腹が痛くなる」、「めまいを起こしやすい」と訴える子供が三分の一近くもあり、精神のひ弱い現代っ子を如実に浮き彫りにしている。
 これが、中高校生の約三割が、教師を殴りたいと思っているとか、四割が親に対して暴力を振るいたいと思ったといった、調査結果となって表れている。まさしく今の青少年は心身症まがいであり、現代社会の病魔をそのままに投影していることは、恐ろしいばかりである。
 こうした原因も、大人の社会を反映した夜型生活にあり、テレビ、ラジオ、ファミコンや漫画本で夜更かしをするためだという。夜更かしをして生きていては、健全な人間にはなれない。
●短くなりつつある睡眠時間
 「寝る子は育つ」、と昔からいう。だが、当節では眠ることもままならぬ。首都圏を中心にした調査では、中学生のほぼ三人に一人が、「今最もやりたいこと」と聞かれて、「もっと寝たい」と答えた。かわいそうな気がするが、子供の世界も忙しいのだろう。
 現代の子供は、習い事や塾から遅く帰宅する。受験勉強、テレビなどで遅くまで起きて夜食、翌朝は朝飯抜き。だから子供に動脈硬化、高血圧、糖尿病などの小児成人病が増えているのである。
 最近は、大人も夜型の生活が都会では多い。ある調査では、三十年間で、主婦の睡眠時間が三十分減って七時間十一分になったという。会社員を対象にストレスの実態を調べ、解消法を尋ねたら、男女とも「十分な睡眠」が首位だった。
 会社員の中には週末に睡眠貯金をして、日々の短い睡眠時間のつじつまを合わせている人も多い。睡眠時間は平日六時間四十六分、土曜日八時間五分。明日からの仕事を考える精神的重圧のために、日曜日の夜は寝つけないという。これでは、すっかり疲労が回復して、すがすがしい気分で仕事に取り組む日は、一日たりとないわけだ。
 日本人の全体的な流れとしても、睡眠時間は以前に比べて、徐々に短縮化の傾向を示している。
 NHKが五年ごとに実施している「日本人の生活時間調査」でも、その点は明らかである。昭和四十五年、日本人の一日の平均睡眠時間は七時間五十七分で、ほぼ八時間睡眠だった。それが十年後の五十五年には、七時間五十二分になり、五分短くなっている。さらに六十年には、七時間四十三分と急速に短縮化が進んだ。平成十二年には、七時間二十三分となり、調査の開始以来四十年間で五十分も短くなったのである。
 二十一世紀には、七時間睡眠時代が到来するかもしれない。スポーツ、文化施設の営業時間の深夜化、テレビ放送のオールナイト化。現代人を取り巻く環境は、いっそう睡眠時間の短縮化を促進する方向にある。
●睡眠はどれくらい必要か
 では、私たち人間は、どのくらい眠ったら、脳細胞の要求を満たしたことになるのだろうか。
 一日に七、八時間ほど眠る人が多いからといって、誰もが七、八時間以下では睡眠不足だといい切れない。
 ナポレオンやエジソンが一日四時間という短眠家であったことは、あまりに有名である。発明王エジソンなどは、一日に約三十分ずつ仮眠、これを三、四回繰り返すだけだったともいう。特に一八八八年、世界ではじめて蓄音機を発明した時などは、超人的な断眠を続けている。五日間、仮眠もとらずに徹夜で発明に打ち込んだと聞く。
 それほど昔の例を持ち出さなくても、短眠家はたくさんいる。売れっ子の芸能人には、四、五時間しか眠る暇のない人がよくあるそうである。
 必要な睡眠の量は、時間の長さだけでは示せない。眠りの深さが問題になる。かなり十分眠ったつもりでも、なかなか目が覚めにくいとか、頭がすっきりしないことがあるのは、この深さが足りないということである。
 もっとも、『人間の眠りの科学』でも触れたように眠りにも型があって、午前五時頃から七時頃の明け方にかけて、ぐっすり眠る朝型の人に、こういうことが多いのは当然である。朝型はあまり健康でない人、神経質な人によく見られる。いい換えれば、寝つきが悪いと同時に、寝起きが悪いのが朝型の特徴。
 これに対して、床に入るとすぐ寝つけ、一、二時間で深く眠るのは宵型といい、健康な人に多い型であった。
 毎朝、目覚めとともに、頭がすっきりしているのと、ボーッとしているのとは、気分的に大きな違いがある。とにかく、深く眠ることこそが大切である。果たしてあなたは朝型か、宵型か。現在の健康度のバロメーターになることだから、自己診断してみてほしい。
 最近、医学的によくいわれているところでは、質のよい眠りをとっていれば、睡眠時間は五時間ぐらいあればいいそうだ。
 個人差はあるが、今まで一日八時間寝ていた人なら、訓練で五時間までは支障もなく、比較的簡単に減らすことができる。ところが、五時間を切ると快適な生活は送れない。四時間ぐらいに減らすと、つらくて、日中のミスも多くなる。睡眠は夜にまとめてとる必要はなく、合計で一日五時間あればいいともいう。
●早寝早起きがもたらす快さ
 しかし、大自然の摂理に従うならば、睡眠は単に何時間眠ればいいというものではない。
 夜中の零時を中心にした前後四時間、その八時間こそが安息の世界であり、零時という真夜中に、幸福の神が訪れてくるのである。幸福の神とは、生命の根源である。
 「早寝早起きする幼児は健康児、遅寝遅起き子は大脳の活動が低く、活動のリズムが乱れるぼんやりっ子」ということが、徳島大学の教授の研究によって証明されてもいる。
 三~五才児を対象にした研究では、午後九時半就寝、午前七時半起床といった「遅寝・遅起きグループ」は、午前中、大脳の働きが鈍く、夕方になってようやく働き出すが、その働きの乱れが大きく、これは自律神経失調状態だと、危険性を指摘している。
 ところが、午後八時半までに就寝、午前六時半までに起床する「早寝・早起きグループ」は、フリッカー値という大脳の働きの検査でも、体温測定でも、正常な働きをする。
 昼間の生活のリズムが、睡眠と表裏一体の関係にあり、特に育ち盛りの幼児の発達の上で重要だ、というこの研究は、きわめて大きな意義がある。
 今の子供を見ると、朝からあくびをする、背中がグニャッとしている。すぐ疲れたという、ぞうきんが絞れない、立ちくらみや、めまいを起こしやすい。そういった虚弱な子が多いといわれているが、その原因として、幼児時代から大自然の摂理に反した睡眠をとっていたのが大きいことが、証明されたわけである。
 睡眠がいかに生体のリズムに影響があるか、まして幼児の場合、異常な睡眠を続けると、ボケ人間になってしまうことも考えられる。若者の間で問題になっている起立失調症候群の原因の一端も、異常睡眠に由来するのではないか。
 子供は、宇宙大自然に生かされるままに、自然に、肉体的に育てるべし。正しい眠りは体の疲れをいやし、人生の苦悩までも浄化し、肉体と精神を宇宙に還元する作用があるのである。
●短眠奨励説への反論
 「早寝早起き」、とりわけ「早く寝る」という言葉に、ずいぶんと違和感を覚えるという方もおられよう。
 なぜなら、いわゆる成功法の本の中には、眠りを減らすためのノウハウ書が少なからずあり、その内容は一律に「とにかく活動の時間を物理的に増加させること、それが成功への近道であり、眠るのははっきりいって時間の無駄」というものだからである。
 こうした短眠のノウハウをいろいろ試したという人によると、どれも長続きするものではないようだ。
 「意志の力」などというが、我々の意識しない部分で肉体がちゃんと正しい方向に向かっている時は、意志と肉体は相まって大きな力となるが、肉体に逆らおうとして意志の力を使っても、結局は無理があり、長続きしないようである。
 肉体の本来持っている機能を自然なものに修正するため、「眠くなったら寝る」、「八時間寝る」という、単純な生活を実践してほしい。
 また、短眠法においては、時間を計量している。時間が量的な損得勘定のレベルで捕らえられていると思われる。
 だいたい、夜更かしや午前様になって睡眠が不足すると、その日の疲れは当然、翌日に残ることになり、この疲労の蓄積は、やがて健康にも、事業にもよくない結果を招来することになる。
 周囲からはあれほど頑健に見えた人や、働き盛りといわれる年齢の人が、突然ガンを発病し、心臓病に襲われて、この世を去るというようなことがしばしば起こるのも、これは例外なく眠りが不足していることが、大きな原因になっているものである。
 照明文化に幻惑されて、早寝早起きを忘れた現代人は、早く疲れて早く死ぬ。ガンも心臓病も中風も老衰も、みな睡眠不足の差引勘定と知るべきである。
 人間の体というのは、例えてみればバッテリーのようなものだ。生きるためには無論、放電が必要だから、睡眠というチャージが十分に行われないと、バッテリーが上がってしまうことはいうまでもない。
 そもそも、人間には一日八時間の睡眠が理想的とされているのであって、忙しくて時間がとれないということで睡眠不足の人は、万難を排して昼寝を実行されたい。
 昼は、自力で働く、生きるという面の社会的人生。夜は、静かに休むという生かされの面の他力世界である。人間は夜つくられ、夜育つ。宇宙生命の他力を仰ぐ睡眠時間を軽んずる者は、命を縮め、不幸になる。
 元来、人間の苦悩や病気は自己意識の作るもの。自己意識で働き、環境からも動かされ、経済生活などからも大きく左右されて、心労、過労に陥りやすく、生命の原則からいえば、その生活ぶりは実に乱暴も、はなはだしいものである。
 ことに現代人には、苦楽の感情や好き嫌いがありすぎるから、休養日にも遊び疲れて、病院と裁判所とは満員になる。そして、自ら裁き切れない人生の矛盾と不合理が、心のガンとなり、肉体に投影して病気のガンを作るのである。
 その心を真空の中で浄化し、肉体を宇宙生命の大プールに任せて、充電し変える睡眠の重要性を忘れてはならない。
 老子は「無為にして化す」といった。何にもしない働き、宇宙生命は人間の休んでいる時、一番よく働いて、疲れや病気を治してくれる。睡眠は、薬や栄養に勝る肉体への絶対条件である。
●過ぎたるは及ばざるがごとし
 安眠は、健康作りの大切な要件である。だが、うっかりすると長時間眠るほど健康によいと、錯覚しがちではないだろうか。
 人間は起きる必然性がなければ、いつまでも眠っていられるともいうが、成長時期の子供や少年少女には、発育を促す意味でも十分な睡眠時間が必要にしても、成人に関していえば、長ければいいというものでもないようだ。
 一九七九年、アメリカのD・ワリプケが報告したレポートは、睡眠時間の過少だけでなく、睡眠時間のとりすぎにも警鐘を鳴らし注目された。
 ワリプケはアメリカ・ガン学会の協力を得て、百万人を超える成人の睡眠時間を調査して、六年後の死亡率との関係に一つの相関関係を見いだした。睡眠時間が七~八時間の人の死亡率は最も低く、それより長くても短くても死亡率が高くなる、というU字型の関係を発見したのである。
 死亡率の高い病気を患っている人は、睡眠障害を引き起こしやすいことなども考えられるが、とりわけ睡眠過多と死亡率の関係は、原因がわかっていない。睡眠時間も、過ぎたるは及ばざるがごとしということだけは確かであろう。
 睡眠が多すぎるほうでも、睡眠不足と同様に、治療の必要な過眠症がある。この病的なものでなくとも、「何となく、長く寝ているほうが健康によいと思い込む」ことの危険もあるらしい。
 アメリカの空軍基地の航空宇宙医学研究所でも、八人の健康な青年男子について、長く安静に横たわる影響を調べた。すると、脳波に重症の知覚欠損に似た変化を起こしたという。
 この点はともかく、興味を引かれるのは、寝たきりで下肢の運動を全然させなかった群で、レム睡眠の割合がだんだん小さくなり、生理的な睡眠に変調をきたした点である。対して、寝たまま下肢運動を行わせたら、変化がなかったという。
 つまり、長時間睡眠は、横になる時間の長さの悪影響も入る危険がある。やることがないから体を横にしていたら、ウトウトと眠ってしまったというのが、癖になると問題だろう。
 一般的にいって、睡眠が長い人は、内向的で神経質な人に多い。すぐに考え込んで、脳細胞を酷使しているからである。逆に、くよくよしない人、責任をすぐに他人に押しつける人は、睡眠が短くてすむ。
 ともかく、睡眠時間の長い人も短い人も、できる限り、毎日規則正しい睡眠をとる努力はしたいものだ。
 「睡眠中、よく夢を見る」ということを悩んでいる現代人もいるようであるが、結論から先にいえば、夢を毎夜見ても、快眠でき体調がよければ安心である。
 夢というものは、誰でも一晩に一、二時間は見ている。芸術家、発明家などのように直観的なイメージを大切にしている人は、夢をよく覚えているものである。
 普通の人が見ていないと思うのは、目が覚めた時に忘れてしまうからである。睡眠は一晩のうちに、深くなったり浅くなったりを繰り返すが、脳の眠りとしては浅いレム睡眠という状態で、夢を見ているのである。
 なぜ忘れるのか。脳は、左脳と右脳に分かれていて、いわゆる読み、書き、ソロバンは左脳の働きである。それに対して、右脳は言葉であまり表現できない直観的な判断をしている。夢には主に右の脳が使われるので、起きてから左脳で言葉に翻訳しないと、スーッと消えてしまうのだ。
 では、なぜ忘れてしまう夢を見るのか。人間の体は巧妙にできており、昼間に意識されたものがみな、潜在性意識の中に記録されているものである。その記録されているものが、寝ている時に夢となって出てくるのである。
 とにかく、体や脳の健康の根底を培うには、夜、十分に、安らかに眠らなくてはいけない。夜、安らかに寝るということは、昼間の働きになる。昼間の働きはまた、夜の眠りに関係をする。これは、切っても切れない、大切なつながりを持つということがいえるわけである。




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