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■用語 爪真菌症 [用語(そ)]





[足]カビの仲間である真菌の感染によって、爪に炎症が生じる疾患
 爪(そう)真菌症とは、カビの仲間である真菌の感染によって、爪(つめ)に炎症が生じる疾患。
 真菌は、カビ、酵母(イースト)、キノコなどからなる微生物の総称であり、菌類に含まれる一部門で、細菌と変形菌を除くものに相当します。葉緑素を持たない真核生物で、単細胞あるいは連なって糸状体をなし、胞子で増えます。主な真菌は、カンジダ、アスベルギルス、クリプトコックス、ムコールなど。
 これらの真菌が、爪の甲や、爪の基底部である爪床に感染して、爪真菌症を引き起こします。
 爪真菌症のうち最も多くみられる疾患は、皮膚糸状菌、特にトリコフィトンールブルムなどの白癬(はくせん)菌と呼ばれる一群の真菌の感染により生じる爪白癬で、爪真菌症の60〜80パーセントを占めるといわれています。
 残りの爪真菌症の多くは、皮膚糸状菌に属さないアスペルギルス、スコプラリオプシス、フサリウムなどの真菌で生じます。免疫の低下している人や慢性皮膚粘膜カンジダ症を発症している人では、カンジダ性の爪真菌症であるカンジダ性爪囲炎、カンジダ性爪炎、爪カンジダを生じることがあります。
 爪白癬は、いわゆる水虫、足白癬や手白癬が爪に発生したもの。爪の甲が白く濁り、爪の下が厚く、硬くなります。
 白癬は、皮膚糸状菌が皮膚に感染して起こる疾患。皮膚糸状菌の多くは一群の真菌である白癬菌で、高温多湿を好み、ケラチンという皮膚の蛋白(たんぱく)質を栄養源とするため、足の裏、足指の間などが最も住みやすい場所になり、足白癬を始めとして手白癬、頭部白癬、体部白癬などを生じます。
 この足白癬や手白癬を放置していると、白癬菌が爪の中に感染して、爪白癬になります。爪は表皮が変化して硬くなった皮膚の一部であり、白癬菌の栄養源となるケラチンでできていますから、爪もまた水虫にかかるというわけです。
 爪白癬は足指に多いのですが、手指の爪に生じることもあります。最近の統計によると、足白癬を持つ人の半分が爪白癬も持っていることがわかりました。日本国内に500万~1000万人の発症者がいるという統計も報告され、60歳以上の人の4割が発症しているとも推計されていますが、治療されずに放置されたままのケースがほとんどです。
 爪の症状の現れ方には、いくつかあります。最も多いのは、爪の甲の先端部が白色から黄色に濁って、爪の甲の下の角質部分が厚くもろくなり、全体として爪が厚くなるものです。爪の甲の先端部が楔(くさび)状に濁って、角質部分が厚くもろく全体として爪が厚くなるものも、よくみられます。そのほかに、爪の甲の表面が点状ないし斑(まだら)状に白濁するのみのものもあります。まれに、爪の甲の付け根が濁ることもあります。
 かゆみ、痛みなどの自覚症状は、ありません。陥入爪(かんにゅうそう)の原因の一つにもなりますが、爪の爪囲炎の合併はまれです。
 カンジダ性爪囲炎、カンジダ性爪炎、爪カンジダは、もともと人間が持っている常在菌で、腸管や膣(ちつ)内、口腔(こうこう)、皮膚などに存在している真菌の一つのカンジダが感染して生じます。
 健康であれば、体には何の影響も与えないカンジダですが、抵抗力や免疫力の低下、抗生物質の投与などによって増殖すると、さまざまな部位に炎症を引き起こし、爪や爪の周辺にも炎症を引き起こします。
 爪の回りに炎症が起きるカンジダ性爪囲炎の場合、症状が軽く、痛みも出ないことが多いものの、爪の生え際が赤みを帯びだり、はれたりします。この爪囲炎を繰り返していると、カンジダ性爪炎に移行し、爪が変色し、表面に凹凸ができる、横にすじができる、赤くなってはれ、痛むといった症状がみられます。
 カンジダ性爪囲炎とカンジダ性爪炎は、爪の表面だけがカンジダに感染している状態ですが、カンジダが爪の内部にまで寄生すると、爪カンジダになります。爪の先が皮膚から離れて浮き上がったような状態になり、爪が変形します。また、爪が厚くなることもあれば、逆にボロボロになって先端が欠けたりすることもあります。
 カンジダ性爪囲炎、カンジダ性爪炎、爪カンジダは、糖尿病患者、免疫機能が低下している人、または健康に問題はなくても手を頻繁にぬらしたり洗ったりする人によくみられます。
 爪真菌症のうち、成人の爪白癬の発症率は、かなり高いとされています。爪の肥厚や変形が高齢者の起立、歩行障害、転倒事故の原因になることも、指摘されています。重症になるとますます治療が難しくなるため、なるべく早く皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による治療を受けます。
[足]爪真菌症の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、通常、爪の外観に基づいて判断します。診断の確定には、爪の破片を顕微鏡で調べ、培養してどんな真菌による感染かを判断します。
 爪では皮膚と違って真菌を見付けにくく、真菌の形態が不整形で判定しにくいことが多いので、注意が必要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療は、爪真菌症は完治が難しいため、症状の重症度と本人が感じる不快さの程度に基づいて行われます。
 治療が望まれる場合は、内服薬のイトラコナゾールやグリセオフルビンなどを処方します。このような薬は、約3〜6カ月服用します。硬く厚くなった爪の外側から外用薬を塗っても、奥深く潜んでいる真菌まで薬の有効成分が行き渡りませんが、内服薬ならば血流に乗って直接真菌にダメージを与え、体の内側から治すことができるわけです。
 従来の内服薬は、1年以上服用しなければなりませんでした。近年開発された薬は、内服をやめた後も有効成分が爪の中にとどまって効果が持続しますので、従来に比べ治療期間が大幅に短縮されました。しかし、肝臓に負担がかかることもあるため、肝臓の弱い人は内服できません。内服中は1カ月に1回、肝機能検査を行います。
 マニキュア型製剤に含まれる抗真菌薬であるシクロピロクスは、単独で使った場合はあまり効果がありませんが、特に抵抗性の感染症の場合、内服薬に加えて使った場合は治癒率が高まることがあります。シクロピロクスは、ほかの健康上の理由により内服薬を服用できない人に役立つこともあります。
 再発の可能性を下げるためには、爪は常に短く切り、入浴後は足を乾いた状態に保ち、吸収性のよい靴下を履き、抗真菌薬の足用パウダーを使用するとよいでしょう。古い靴には真菌の胞子が多数いることがあるため、できれば履かないないようにします。




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