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■スギ花粉症、抗体医薬で症状を大幅に軽減 ノバルティスが新薬 [健康ダイジェスト]





 今年は6年ぶりにスギ花粉が大量飛散し、多くの人達が花粉症に悩まされそうな中、抗体医薬と呼ぶ新しいタイプの治療薬が登場しました。スイス製薬大手のノバルティスが2月に臨床試験(治験)で有効性を確かめたと発表しました。世界に先駆けて日本で製造販売承認を昨年12月6日に申請しており、2019年秋にも医療現場での使用が可能になりそうです。
 花粉症は植物の花粉が原因で発症し、くしゃみや鼻水、目の充血といった症状が現れます。花粉症は世界各国に患者がいますが、スギ花粉症は日本に多く、欧米ではブタクサが原因の患者が急増しています。
 患者は、国内に2000万人ほどいるとされています。春先のスギ、ヒノキだけでなく、初夏はイネ、秋はヨモギやブタクサなども花粉症の原因です。厚生労働省は花粉症を中心としたアレルギー性鼻炎で病院を訪れた患者を2017年で66万人弱と推計しており、1996年の1・5倍近くになりました。
 花粉は体にとってウイルスや細菌などと同じ異物で、排除するのは自然な免疫反応ですが、ひどくなるとアレルギー反応を引き起こします。
 花粉が鼻の粘膜などにくっ付くと、免疫細胞は「免疫グロブリンE(IgE)」というタンパク質をつくります。IgEは粘膜の下などにある肥満細胞(マスト細胞)の表面にくっ付きます。肥満といっても太ることとは無関係で、IgEが表面に結合した肥満細胞は、再び花粉が侵入した際に素早く免疫反応を起こせる状態で、言い方を換えれば、アレルギーを起こす準備が整ったことになります。
 花粉が再び体内に入ってIgEにくっ付くのを合図に、さまざまな物質を大量に放出します。神経を刺激してくしゃみや鼻水を出させるヒスタミン、花粉の侵入を防ぐため血管を膨らませて鼻詰まりや目の充血を起こすロイコトリエンやトロンボキサンなどです。花粉を繰り返し吸い込むと、鼻の中で炎症が起き、さらに過敏な状態になります。
 現在の治療薬はヒスタミンの働きを邪魔したり、神経や血管への働きを抑えたり、アレルギー反応による炎症を和らげたりするやり方。これに対し、抗体医薬はIgEの働きを邪魔することでアレルギー反応そのものを止め、発症を抑えることを狙っています。従来よりも効果的な治療薬になると期待を集めています。
 ノバルティスの抗体医薬「オマリズマブ(一般名)」は、アレルギー性ぜんそくの治療薬として開発されました。投与すると、IgEが肥満細胞に結合できなくなり、活性化するのを防ぎます。国内の治験では、既存の治療薬が効かない重症または最重症のスギ花粉症患者で症状が大幅に軽くなりました。
 抗体医薬でアレルギーを抑える治験は、フランスの製薬大手サノフィなども進めています。デュピルマブ(一般名)」も、もともとはアトピー性皮膚炎の治療用に開発されました。免疫細胞にIgEをつくるよう促す物質の働きを邪魔し、植物の花粉が原因のアレルギー性鼻炎の発症を抑えます。
 「花粉症はもちろん、ぜんそくや食物などさまざまなアレルギー症状に対して抗体医薬の治療法は有効だろう」と指摘する順天堂大学専任准教授の北浦次郎さんの研究チームは、肥満細胞に結合したIgEに働き掛け、その機能を押さえ込む物質を発見しました。抗体医薬に応用すれば、オマリズマブを上回る治療効果があるといわれています。
 厚生労働省が1月にまとめた「免疫アレルギー疾患研究10カ年戦略」では、アレルギー疾患を抱える患者は増えており、先制的な治療法の開発の重要性が盛り込まれました。さまざまなアレルギーにかかわるIgEに働き掛ける抗体医薬は、そうした治療の柱になると期待されています。

 2019年3月30日(土)
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