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■新しいがん治療薬の副作用で皮膚障害 スキンケアで症状軽減へ [健康ダイジェスト]





 がん細胞を狙い撃ちする「分子標的薬」や、がんに対する免疫の攻撃力を活性化する「免疫チェックポイント阻害薬」。次々と登場するがん治療薬は、効果が高い一方、副作用の皮膚障害に悩む人も多く、治療を続けるための対策が欠かせません。
 2000年代に入って使われ始めた分子標的薬は、がん細胞の増殖などにかかわる特定の分子の働きを妨げます。ところが、同じ分子がある皮膚も薬の攻撃対象となってしまうことなどから、高い確率で皮膚障害が出てしまいます。
 主な症状は、顔や背中、胸などに、にきびのような出来物が広がる「ざそう様皮疹」、爪の周りに炎症が起き、重いと肉の塊(肉芽腫)ができる「 爪囲(そうい)炎」、手のひらや足の裏に水膨れが生じる「手足症候群」などで、薬が効いている人ほど症状が出やすい傾向があるといいます。
 近畿地方に住む80歳代女性は、肺がんの治療で和歌山県立医大病院(和歌山市)に通っています。2013年に分子標的薬「イレッサ」を飲み始めたところ、ざそう様皮疹で両手が真っ赤にはれました。背中や尻などにも同様の症状があり、痛みも強く、主治医で腫瘍センター長の山本信之さんに「薬をやめたい」と訴えました。
 女性はすぐに同病院の皮膚科を紹介され、ステロイドの塗り薬や保湿剤を使ったスキンケアの指導を受けると、症状は軽くなりました。薬を中断することなく、今も皮膚障害を抑えながら、服薬治療を続けています。
 山本さんは、「分子標的薬を使う患者には、事前に皮膚科でスキンケアなどの指導を受けてもらう。薬剤師や看護師らとも連携し、早期からの取り組みが欠かせない」と話しています。
 山本さんは腫瘍内科医や皮膚科医、薬剤師らの有志と症例の研究を重ね、この「イレッサ」による皮膚障害の症状や重症度別の治療法などをまとめた手引きを作っており、日本皮膚科学会のホームページで見ることができます。
 患者が日常生活の中で行うスキンケアも重要です。常に清潔を保ち、過度の刺激を与えないように気を付けます。シャワーや風呂は熱い湯を避け、せっけんは泡立てて優しく体を洗います。入浴や水仕事の後は、保湿剤を欠かさず塗るようにします。
 同大皮膚科准教授の山本有紀さんは、「薬による治療を続けるためにも、スキンケアや生活習慣の改善に取り組むことが大事。皮膚障害が出てもあきらめず、専門医に相談してほしい」と呼び掛けています。
 このほか、2014年以降に登場した「オプジーボ」など、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる新しいタイプのがん治療薬でも、副作用の問題が浮上しています。
 この免疫チェックポイント阻害薬から別のがん治療薬に変更したり、投与後に抗菌薬や胃薬などを使ったりした時、皮膚に症状が出ることがあります。これまでに、唇や口の中がただれる、全身が真っ赤にはれて熱が出る、輪っか状の出来物があちこちにできるなど、皮膚や粘膜の重い障害が報告されています。
 いずれも、後から使った薬の使用をやめたり、ステロイドを投与したりするなど、対症療法で一定の効果を上げています。免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害についても、手引きの作成が進められています。

 2019年4月29日(月)
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