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■iPS細胞、供給の担い手が代わる見通し 京大が新法人を設立へ [健康ダイジェスト]




   
 京都大学の山中伸弥教授らは、再生医療の切り札とされるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の製造や供給を担う新法人を今夏にも設立します。iPS細胞を使う再生医療では、治療が難しかった目の難病や脳の病気を治す臨床研究が始まっています。脊髄損傷などの治療も計画されており、iPS細胞を着実に治療現場へ届ける仕組みが必要だと判断しました。再生医療が研究段階から、普及期を目指す新たな局面に入ります。
 山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所からiPS細胞の製造などを担う約100人を分離し、公益法人を立ち上げます。名前は「京都大学iPS細胞研究財団」を軸に、調整しています。
 まずは一般財団法人として今夏にも国に設立を申請し、有識者による審議を受けて、2019年度中の認定を目指します。山中教授が非常勤の会長に就く予定で、オムロンなどの幹部らも加わる見通し。骨髄バンクのような公的な役割があるとみて、当面は国の予算を運営に充てる方針。
 iPS細胞を使う再生医療は、2014年に世界で初めて理化学研究所が目の難病「加齢黄斑変性」の患者で移植を試みました。その後、ほかの5人でも安全性を確かめました。
 2018年には、京大がiPS細胞から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳に移植しました。脊髄損傷や心臓病でも、国が臨床研究を認めています。
 いずれのiPS細胞も、京大iPS細胞研究所が製造などでかかわっています。さまざまな患者で免疫拒絶を防ぐため、相性のいいiPS細胞をそろえ、厳しく管理しているからです。
 ただ、再生医療の普及にあたり、京大がiPS細胞の安定供給にいつまでも責任を持つのは難しいため、iPS細胞研究所に基礎研究部門を残し、製造や管理の部門を分離して新法人に移す判断をしました。
 新法人は、品質のそろったiPS細胞を保管し、患者ら一人一人の体からそれぞれの再生医療に役立つiPS細胞を作製するなどの技術開発にも取り組みます。臨床研究を手掛ける大学や研究機関、企業に配るほか、再生医療製品の販売を目指す企業の求めにこたえた細胞の開発も視野に入れます。
 新法人の設立は、国の意向でもあります。一つは京大の負担を軽くする狙いであり、もう一つは再生医療を一般の医療に近付けて法人の自立を促し、国の予算負担を減らす思惑です。
 山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した2012年度以降、国は再生医療の実用化を目指す予算として10年間で1100億円の拠出を決めました。少なくとも年間10億円程度を、移植できる高品質のiPS細胞を広く配るための備蓄事業などに充ててきました。
 当時、政府は再生医療が実用化できるまでの10年程度は支える考えを示しました。2014年には関連の法律を施行し、新しい治療法を条件付きで患者に提供するなどして普及を後押ししてきました。10年程度の支援期間の終わりが近付き、京大に代わる担い手が必要になりました。
 再生医療の実用化は過渡期にあり、世界は必ずしもiPS細胞にこだわっていません。さまざまな組織に育つES細胞(胚性幹細胞)を脊髄損傷患者に使う臨床研究などが始まっており、再生能力は限られるものの体にもともと備わる細胞を治療に使う方法も知られています。
 新法人の設立を切っ掛けに、日本で再生医療が広く普及するかどうかは、なお見通せません。富士フイルムホールディングスなどがiPS細胞を使うがん免疫薬の開発を始めると発表し、企業の独自の動きも目に付きます。再生医療が前に進む期待はあるものの、新法人は難しいかじ取りを迫られます。
 山中教授は、「iPS細胞研究は世界的な競争の真っただ中にあり、実用化で欧米の後じんを拝することのないよう、ベストなiPS細胞を適正なコストで供給できる取り組みを前に進めたい」と話しています。

 2019年8月9日(金)
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