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■医療用保湿剤「ヒルドイド」、中医協で適正使用を議論 美肌目的の女性利用に対処へ [健康ダイジェスト]



 雑誌やインターネットで「美肌になれる」「高額な乳液より保湿力がある」との情報が広まり、化粧品代わりの不適切な使用が指摘されている「ヒルドイド」などの医療用保湿剤について、1回の受診で25グラム51本分以上と大量に処方された例が2016年度に1000回以上あったことが1日、厚生労働省の調査で明らかになりました。
 厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、医師の処方の上限設定など適正使用の在り方の議論を始めました。
 調査は、ヒルドイドの軟こうやクリーム、同様成分の後発薬などの医療用保湿剤について、1回の処方量を2016年度のレセプト(診療報酬明細書)から集計。その結果、多くは1回に4本分(100グラム)以内の処方でしたが、10本分(250グラム)以上の処方も100万回以上あり、中には51本分以上の処方もありました。
 厚労省は、「500グラムのボトルを処方されると25グラムチューブ20本分となる。必ずしも多量の本数を処方された例だけではない」としています。
 ヒルドイドは25グラム入り軟こうやクリームが1本約590円で、公的医療保険を適用すれば患者の支払額は3割負担で約180円となります。
 ヒルドイドは医師の診断と処方せんが必要な薬で、薬局などで直接購入することはできません。主に皮膚科や小児科でアトピー性皮膚炎、乾燥肌、ケロイドなどの治療に活用され、かゆみ止めの薬などと一緒に処方されるケースが多くなっています。しかし、健康保険組合連合会が124健保組合の加入者のレセプト(診療報酬明細書)で調べたところ、25~54歳における単独での処方額は2016年9月までの2年間で、男性の1・1億円に対し、女性が約5倍の5・6億円に上りました。
 中医協では、1回の処方量に上限を設けたり、単独での処方を保険から外したりする案が検討されています。健康保険組合連合会は「保険適用外とすべきだ」と提言し、日本皮膚科学会や製造元のマルホは適正な使用を呼び掛けています。

 2017年11月3日(金)
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■75歳以上の高齢ドライバー、「認知症の恐れ」が3万170人 改正道交法施行後、警察庁まとめ [健康ダイジェスト]



 75歳以上の高齢ドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法が3月12日に施行されてから9月末までの約6カ月半で、検査を受けた全国の111万7876人のうち、2・7%に当たる3万170人が認知症の恐れがある「第1分類」と判定されたことが2日、警察庁のまとめ(暫定値)で明らかになりました。
 第1分類は、医師による診断を受けることが義務付けられています。これまでに7673人が受診し、697人が免許取り消し、停止などの行政処分を受けました。ほかに、925人が免許取り消しなどに向けた手続き中といいます。
 都道府県別の免許取り消し、停止などの行政処分数は、神奈川県65人、福岡県62人、茨城県51人、北海道50人、長野県と愛知県47人の順に多くなっています。
 警察庁は、認知症の診断による免許取り消し、停止が年間1万5000人程度に上ると見込んでいました。人数が同庁の予想を下回っているのは、免許取り消しなどの処分を受ける前に自主返納する高齢者が多いことが要因。
 第1分類とされた人のうち、6391人が医師のアドバイスなどで自主返納しました。有効期限切れで免許が失効した人も1267人いました。
 自主返納した場合、身分証明書として使える「運転経歴証明書」を申請でき、商店などで優遇サービスを受けられるメリットがあります。75歳以上の自主返納は認知機能検査を受けていない人も含めて、今年1~9月に18万4897人と、年間で最多だった2016年の16万2341件をすでに超えています。
 認知機能検査で、認知機能低下の恐れがある「第2分類」は30万165人、問題がない「第3分類」は78万7541人。検査の機会は、105万6779人が免許の更新時、6万1097人は信号無視などの交通違反をした際の臨時検査でした。

 2017年11月2日(木)
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■筋強直性ジストロフィー、筋肉委縮の仕組みを解明 大阪大の研究チーム [健康ダイジェスト]





 全身の筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーの中で、最も患者数が多い「筋強直性ジストロフィー」が発症する仕組みを解明したと、大阪大学の中森雅之助教(神経内科)らの研究チームが発表しました。
 免疫にかかわるタンパク質が異常に分泌され、筋肉を委縮させていました。治療薬の開発につながる可能性があるといいます。論文は1日付で、アメリカの科学誌「セル・リポーツ」電子版に掲載されました。
 筋強直性ジストロフィーは成人後に発症し、全身の筋肉が委縮するほか、白内障などにもなることが多い難病で、患者数は国内で1万人以上とされますが、根本的な治療法はありません。患者からは、共通するDMPKという遺伝子の特徴が見付かっていましたが、筋肉が委縮する仕組みは不明でした。
 中森助教らは、重症患者10人から採取した筋肉の細胞を詳しく調べた結果、インターロイキン6(IL6)というタンパク質が大量に作られていることがわかりました。IL6には激しい免疫反応を引き起こす作用があり、筋肉を維持するバランスを崩していると見なされます。IL6の働きを抑える薬は、関節リウマチの治療で広く使われており、応用が期待できるといいます。
 国立精神・神経医療研究センターの木村円(えん)室長は、「難病のメカニズムを明らかにした重要な研究だ。ただ、一般的に難病については不明な点も多く、治療法の確立には時間がかかるだろう。産官学が協力して取り組むべきだ」と話しています。

 2017年11月2日(木)
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■薬害C型肝炎被害者救済法を延長へ 与党が議員改正法案を提出 [健康ダイジェスト]



 血液製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した患者などに国が給付金を支払う薬害C型肝炎被害者救済法が来年1月15日に給付金の請求期限を迎えることから、自民、公明両党は1日、議員立法で期限を延長する改正法案を特別国会に上程する方針を明らかにしました。患者や支援団体が延長を求めていました。
 薬害C型肝炎被害者救済法は、1994年以前に手術や出産の際、止血のための血液製剤「フィブリノゲン」などを投与されたことが原因でC型肝炎ウイルスに感染した患者や遺族を救済する内容。肝硬変・肝がん(死亡を含む)4000万円、慢性肝炎2000万円、未発症者1200万円の給付金を支払います。
 患者は1万人以上いるとされますが、厚生労働省によると、9月末時点で給付金が支給されたのは2293人で、2割程度にとどまっています。

 2017年11月2日(木)
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■臍帯血の無届け移植、松山地裁で公判始まる 仲介役が起訴内容認める [健康ダイジェスト]



 東京都や大阪府のクリニックで臍帯血(さいたいけつ)が国に無届けで移植されたとして、臍帯血を扱う会社社長や医師らが再生医療安全性確保法違反の罪で起訴された事件の公判が2日午前、松山地裁で始まりました。
 福岡市の臍帯血仲介会社「レクラン」(閉鎖)元社長の井上美奈子被告(59歳)は、「間違いありません」と起訴内容を認めました。検察側は懲役10カ月を求刑し、井上被告についてはこの日で結審しました。判決は12月14日。
 起訴されたのは計4人で、井上被告のほか、茨城県つくば市の臍帯血保管販売会社「ビー・ビー」(解散)社長で事件の中心的な役割をしたとされる篠崎庸雄被告(52歳)、東京都渋谷区の「表参道首藤クリニック」院長の首藤紳介被告(40歳)、大阪市の一般社団法人「さい帯血協会」理事の坪秀祐被告(60歳)。篠崎被告と坪両被告は、横領罪などでも起訴されています。残る3被告の初公判は、2日午後以降の予定。
 臍帯血は、へその緒や胎盤に含まれる血液。血液細胞の元になる幹細胞が多く含まれており、法律に基づく公的バンクが産婦から無償提供を受け、白血病の治療などに使われています。2014年に再生医療安全性確保法が施行され、2015年11月以降は他人の細胞を移植する場合は国に治療計画を提出することが原則、必要になりました。
 愛媛県など4府県警の合同捜査本部が摘発し、計4人が起訴された一連の事件で最初の公判では、検察側は冒頭陳述や論告で、実施された臍帯血の移植が国への治療計画の提出が必要なアンチエイジングや脳性まひなどの治療目的だったと指摘。
 井上被告は取引先のクリニックなどに対し、提出が不要な疾病の疑いがあるとカルテに書くよう助言して販売を続けたとして、「危険、悪質な犯行で再生医療の信頼を損ねた」と述べました。弁護側は「今後は再生医療にかかわらない」として、執行猶予付きの判決を求めました。
 起訴状によると、2016年7月28日~2017年4月12日の間、6回にわたり、篠崎庸雄被告や首藤被告らと共謀し、他人の臍帯血を患者3人に移植したとされます。

 2017年11月2日(木)
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■臍帯血の民間バンク2社、厚労省のHPで情報公開を開始 4社は廃業を決める [健康ダイジェスト]



 厚生労働省は1日、民間の臍帯血(さいたいけつ)バンク2社について、同省のホームページ(HP)で情報公開を始めました。「赤ちゃんを出産予定のお母さんへ」というタイトルで、臍帯血移植の説明や公的バンクと民間バンクの違いとともに、2社が同省に提出した書類を掲載しています。
 厚労省は東京都や大阪府のクリニックで臍帯血が国に無届けで移植された事件を機に、民間バンクの実態調査を実施。親が生まれた子供の病気に備え、臍帯血を有料で保管して凍結保存する民間バンクが9月時点で、少なくとも7社あることが判明しました。
 同省はこのうち、ステムセル研究所(東京都港区)とアイル(東京都板橋区)について、事業の届け出書類や契約書などの公開を始めました。同省は、届け出内容の審査や承認はしていません。
 ほかの民間バンク5社のうち1社は届け出準備中で、4社は廃業ずみか廃業予定だといいます。厚労省は4社に対して、廃業に当たり、保管中の臍帯血の取り扱いは契約者の意向に沿って決めるよう指導しています。 
 稼働中の民間バンクは3社になり、すでに2社の情報は利用希望者が厚労省のHPで確認できるようになり、もう1社の情報も届け出があり次第、確認できるようになります。

 2017年11月2日(木)
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■用語 尿漏れ [用語(な行)]



[トイレ]無意識に尿が漏れて、日常生活に支障を来す状態
 尿漏れとは、膀胱(ぼうこう)や尿道、その筋肉や神経に問題がある場合に、自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れる状態。尿失禁とも呼ばれます。
 尿漏れのうち、一時的な漏れではなく、一日中、常に漏れ続ける尿漏れを真性尿漏れ、または全尿尿漏れと呼びます。真性尿漏れ、全尿尿漏れの代表例として挙げられるのは、尿管開口異常などの先天性尿路奇形によって常に尿が漏れているもの、または手術などの際、尿道括約筋を完全に損傷したものです。
 一時的な漏れを示す尿漏れのほうは、腹圧性尿漏れ(緊張性尿漏れ)、切迫性尿漏れ(急迫性尿漏れ)、溢流(いつりゅう)性尿漏れ(奇異尿漏れ)、反射性尿漏れの4タイプに大別されます。
腹圧性尿漏れ
 腹圧性尿漏れは、せきやくしゃみ、運動時など、腹部に急な圧迫が加わった時に尿が漏れます。尿意とは無関係に、膀胱にたまった尿が一時的に漏れるもので、その程度はさまざまで、軽度の時は少量の一方で、重度になると多量に尿が漏れることもあります。
 腹圧性尿漏れは頻度が高く、中年以降の出産回数の多い女性にしばしば認められるほか、比較的若い女性にもみられます。起こる原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群が加齢や出産、肥満などで緩んで、弱くなったためです。骨盤底筋群の緩みが進むと、子宮脱、膀胱瘤(りゅう)、直腸脱などを合併することもあります。
 まれに、放射線治療やがんの手術によって、尿道を締める神経が傷付くことが原因となることもあります。
 腹部に急な圧迫が加わるような動作をした時、例えばせきやくしゃみをした時、笑った時、階段や坂道を上り下りした時、重い荷物を持ち上げた時、急に立ち上がった時、走り出した時、テニスやゴルフなどの運動をした時、性交時などに、一時的に尿が漏れます。通常、睡眠中にはみられません。
 この骨盤底筋の衰えによる腹圧性尿漏れと、急に強い尿意を感じてトイレに間に合わず尿を漏らしてしまう切迫性尿漏れの両方の症状がみられる場合もあり、混合性尿漏れ(混合型尿漏れ)と呼ばれます。混合性漏れは骨盤底筋群の緩みがベースにあり、膀胱と尿道の両方の機能低下が加わることで起こりやすくなります。そうした症状は加齢により増えてくるので、閉経期から後の高齢の女性に次第に生じる率が高くなります。
切迫性尿漏れ
 切迫性尿漏れは、急な強い尿意を催し、トイレにゆく途中やトイレで準備をする間に、尿が漏れます。トイレが近くなる頻尿、夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿が、同時に生じることもあります。
 この切迫性尿漏れは、自分の意思に反して勝手に膀胱が収縮する過活動膀胱が主な原因です。普通、膀胱が正常であれば400~500mlの尿をためることが可能で、尿が250~300mlくらいになると尿意を感じて排尿が始まりますが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮するために、突然の尿意を催して、我慢できなくなるのが特徴です。膀胱が正常であれば、尿意を感じ始めて10~15分ぐらいは我慢できることもありますが、過活動膀胱ではそれも難しいとされています。
 過活動膀胱の人はとても多く、日本では40歳以上の男女のうち8人に1人は過活動膀胱の症状があり、その約半数に切迫性尿漏れの症状があると報告されています。近年40歳以下でも、過活動膀胱の症状に悩まされている人が大変多くなってきています。
 女性が過活動膀胱になる最も多い原因は、膀胱を支え、尿道を締めている骨盤底筋群や骨盤底を構成する靱帯(じんたい)が弱まる骨盤底障害です。骨盤底筋群や靱帯が弱まってたるむと、膀胱の底にある副交感神経の末端が膀胱に尿が十分にたまらないうちから活性化して、突然強い尿意が出るようになるのです。
 女性は若い時は妊娠や出産で、また、更年期以降は老化と女性ホルモン低下の影響で骨盤底障害になりやすいので、男性よりも多くの発症者がいます。男性の場合も、老化や運動不足で骨盤底筋や尿道括約筋が衰えることによって過活動膀胱になることがあります。
 また、男女ともに、脳と膀胱や尿道を結ぶ神経のトラブルで起こる過活動膀胱も増えています。こちらは、脳卒中や脳梗塞(こうそく)などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄(せきずい)損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害が原因となります。
 過活動膀胱のほか、切迫性尿漏れは膀胱炎、結石などによって膀胱の刺激性が高まって起こるものもあります。
溢流性尿漏れ
 溢流性尿漏れは、排尿障害があって十分に排尿できず、常に膀胱が伸展しているために、一時的な少量の漏れを示す尿漏れ。
 排尿障害があって尿が出にくい状態になっていても、新しい尿は腎臓(じんぞう)から次々に膀胱に送られてくるのでたまっていき、膀胱がいっぱいになると尿がチョロチョロと少量ずつあふれて出てきます。
 この症状は、前立腺(ぜんりつせん)肥大症による下部尿路閉塞(へいそく)が原因となることが多いので、中高年男性に多くみられます。
 前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道を取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなり、夜中に何度も排尿のために起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰(えいん)部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。
 次に、排尿に際して尿が出切らずに、膀胱にたまる残尿が発生するようになります。この段階では排尿障害が次第に強くなり、息んで腹圧をかけないと出ないようになってきます。さらに、肥大した前立腺によって尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、尿意を感じなくなって気付かないうちに尿が少量ずつあふれて漏れる溢流性漏れの状態になります。
 ほかには、女性が子宮がんを手術した後、糖尿病や脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に、溢流性尿漏れがみられます。
 女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に比べて溢流性尿漏れの状態になるケースはまれですが、子宮がんや直腸がんの手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなった場合、大きな子宮筋腫(きんしゅ)で膀胱の出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮脱や子宮下垂などで尿道が開きづらくなった場合に、溢流性尿漏れがみられます。
 また、糖尿病や脊髄(せきずい)損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする末梢(まっしょう)神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となり、たまった尿があふれて漏れる溢流性尿漏れがみられます。糖尿病では知覚がまひするために、尿意を感じないまま膀胱が膨らんで、1000ミリリットルもたまることがあります。
 溢流性尿漏れがみられると、下着がぬれる、臭いが気になるなど、しばしば不快感を覚えることになります。また、溢流性尿漏れを放置していると、膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して尿路感染症や腎機能障害などを起こしたり、腎不全になることもあります。
反射性尿漏れ
 反射性尿漏れは、尿意を感じることができないまま、膀胱に尿が一定量たまると反射的に排尿が起こる状態。
 尿意を感じることができないため排尿の抑制ができず、腎臓から尿が膀胱に送られた時に刺激が加わると、膀胱壁の筋肉である排尿筋が反射的に収縮して、自分の意思とは無関係に、不意に尿漏れが起こります。
 脳、脊髄など中枢神経系の障害や、交通事故などによる脊髄の損傷などによる後遺症の一つとして、脳の排尿中枢による抑制路が遮断されてしまうことによって起こります。膀胱には物理的に十分な量の尿がたまっているにもかかわらず、尿意が大脳まで伝わらないので尿意を催すことがなく、排尿を自分でコントロールすることができません。
 膀胱からの感覚は、脊髄反射により直接的に膀胱括約筋を刺激して、反射的に膀胱収縮を起こして排尿を起こします。漏れ出る尿量は多いことが、特徴です。
 逆に、排尿筋が反射的に収縮して膀胱が収縮する時に、外尿道括約筋が弛緩(しかん)せず尿道が閉鎖したままになると、膀胱内の圧力が異常に高くなり、腎臓に尿が逆流する膀胱尿管逆流症を起こします。尿の逆流を放置して進行すると、腎機能障害が起こりやすくなります。
 尿漏れは恥ずかしさのため医療機関への受診がためらわれ、尿パッドなどで対処している人も多いようですが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。尿漏れの4タイプによる自分の意思と関係なく尿が一時的に漏れる症状が続くようであれば、泌尿器科を受診することが勧められます。
[トイレ]尿漏れの検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、尿漏れの原因を確定します。
 一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿失禁定量テスト(パッドテスト)、尿失禁負荷テスト(ストレステスト)、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定、残尿測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、尿漏れの原因を探ります。
 問診では、出産歴、手術歴、婦人科疾患の有無、便秘の有無、尿漏れの状況などを質問します。切迫性尿漏れの主な原因となる過活動膀胱かどうかを調べるための過活動膀胱スクリーニング質問票(リンク)や、過活動膀胱の症状の程度を調べるための過活動膀胱症状質問票(OABSS)という簡単な質問票を、問診のために使うこともあります。
 尿失禁定量テスト(パッドテスト)では、パッドをつけた状態で水分を取ってもらい、せき、くしゃみ、手洗い、足踏みなど腹部に圧迫が加わりやすい動作を行ってもらい、1時間後のパッドの重量増加で尿漏れの程度を確認します。
 泌尿器科の医師による治療では、難産を経験した女性、40歳を過ぎた女性で腹圧性尿漏れ、切迫性尿漏れ、その2つが重なる混合性尿漏れを起こしている場合には、尿道、膣(ちつ)、肛門(こうもん)を締める骨盤底筋体操が割合効果的です。肛門の周囲の筋肉を5秒間強く締め、次に緩める簡単な運動で、仰向けの姿勢、いすに座った姿勢、ひじ・ひざをついた姿勢、机に手をついた姿勢、仰向けになり背筋を伸ばした姿勢という5つの姿勢で、20回ずつ繰り返します。
 朝、昼、夕、就寝前の4回に分けて、根気よく毎日続けて行うのが理想的です。3カ月以上続けても効果のない場合には、手術が必要となる可能性が高くなります。
 骨盤底筋の強化を目的として、電気刺激によって骨盤底筋や尿道括約筋など必要な筋肉を収縮させる電気刺激療法もあります。また、腟内コーンという器具を腟内に15分程度、1日2回ほど保持し、それを徐々に重たいものに変えていくことで骨盤底筋を強化し、症状を軽減する方法もあります。
 切迫性尿漏れの主な原因となる過活動膀胱の場合には、できるだけ尿意を我慢して、膀胱を拡大するための訓練をします。毎日訓練すると、膀胱が少しずつ大きくなって尿がためられるようになりますので、200~400mlくらいまでためられるように訓練します。排尿間隔を少しずつ延長させ、2時間くらいは我慢できるようになれば成功です。尿道を締める筋肉の訓練も必要です。
 薬物による治療としては、交感神経に働いて膀胱壁の筋肉である排尿筋の収縮を阻止し、尿道括約筋を収縮させる作用のある抗コリン剤(ポラキス、BUP−4)、または排尿筋を弛緩(しかん)させるカルシウム拮抗(きっこう)剤(アダラート、ヘルベッサー、ペルジピン)を用います。抗コリン剤を1~2カ月内服すると、過活動膀胱の80パーセントの発症者で改善されます。状況に応じて、抗うつ薬を用いることもあります。閉経後の女性に対しては、女性ホルモン剤を用いることもあります。
 重症例や希望の強い場合などには、手術による治療を行います。尿道括約筋の機能が低下している場合には、尿道の周囲にコラーゲンを注入する治療や、尿道括約筋を圧迫するように腹部の組織や人工線維で尿道を支えるスリング手術、日本ではあまり行われていない人工括約筋埋め込み術などがあります。
 溢流性尿漏れの場合は、原因になる疾患の種類によって異なり、基礎疾患があればその治療が第一です。前立腺肥大症や子宮脱、子宮下垂と診断すれば、その治療を行います。また、必要に応じて膀胱を収縮させる薬を用いることもあります。
 前立腺肥大症が溢流性尿漏れの原因の場合は、症状が軽い場合は薬物療法から始め、症状がひどい場合や合併症を引き起こしている場合は手術療法を行います。
 神経因性膀胱が溢流性尿漏れの原因の場合は、治療が可能ならばまず基礎疾患に対して行いますが、神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、薬物療法、排尿誘発、自己導尿法などで排尿効率を高めることになります。
 自己導尿法は、尿が出にくく残尿が多い場合に、1日に1〜2回、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。 これで、とりあえず症状は改善し、外出も容易になります。
 反射性尿漏れの場合は、原因となる脊髄損傷がある時に機能を回復させる手術を行うことで、失禁を起こさないようにします。神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、尿道括約筋の機能が低下している場合には、内視鏡によるコラーゲンなどの注入療法、各種の尿漏れ防止手術を行うこともあります。




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■他人のiPS細胞移植、5人への手術を終える 理研などが目の難病で臨床研究 [健康ダイジェスト]



 他人由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を目の難病の治療に用いる世界初の臨床研究を進めている理化学研究所などの研究チームは1日、当初の計画通り5人の患者への移植手術を終えたと発表しました。
 患者の経過などは「研究に支障が出る恐れがあり、現段階では公表を控えたい」としています。早ければ2018年度中にも、研究結果をまとめる方針。
 臨床研究は、網膜の細胞の異常によって視野の中心が暗くなり、悪化すれば失明の恐れもある「滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)」の患者が対象。
 京都大学iPS細胞研究所がストックしている他人に移植しても拒絶反応を起こしにくい特殊なiPS細胞から網膜の細胞を作製し、今年3月の兵庫県在住の男性から順次、神戸市立医療センター中央市民病院と大阪大学病院で移植手術を実施しました。
 術後1年間の経過観察で、大きな拒絶反応がないかなどの安全性を確かめます。今後の患者募集は終了しました。
 iPS細胞を使う目の難病治療は、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーが研究を率いています。2014年には患者本人の細胞からできたiPS細胞で、世界初の手術をしました。
 患者本人の細胞は拒絶反応の心配が少ないものの、細胞ががんにならないかを調べる検査などに約1億円かかったとされます。あらかじめ安全性を確かめた他人のストックiPS細胞を使えば、1人当たりの費用を大幅に削減できます。

 2017年11月2日(木)
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