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■赤ちゃんポスト、2018年度の預かりは7人 孤立出産が4人 [健康ダイジェスト]




 
 親が育てられない子供を匿名で預かる熊本市西区の慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に2018年度、預けられた子供は7人でした。熊本市が27日、公表しました。このうち4人は、母親が医療機関や助産師の助けを借りずに自宅などで産む「孤立出産」でした。2007年5月の開設以来、受け入れた人数は計144人になります。
 熊本市によると、預けられたのは男の子4人、女の子3人で過去2番目に少なくなりました。5人が生後1カ月未満の新生児で、うち3人が生後7日未満でした。ほかの2人は生後1年未満でした。
 親の居住地は近畿と中部が各2人、中国地方が1人、熊本県以外の九州が1人、不明が1人。父母などと事後に接触できたのは4人で、預けた理由(複数回答)は「生活困窮」3件、「育児不安・負担感」2件でした。虐待など刑法上の問題があるとみられるケースはなかったといいます。
 赤ちゃんポストには2008年度に最多の25人が預けられましたが、2011年度以降は年間10人前後で推移。過去最少は2016年度の5人、2017年度は7人でした。
 また、慈恵病院が24時間受け付けている妊娠や出産に関する電話相談の2018年度の件数は6031件で、前年度に比べて1413件減少しています。相談件数の減少について、熊本市は「他にもさまざまな相談機関ができたことが要因と考えられる」としています。

 2019年5月28日(火)
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■世界で最も高価な薬をアメリカで認可 2億3000万円 [健康ダイジェスト]




 
 アメリカの食品医薬品局(FDA)は24日、全身の筋力が低下する難病の脊髄性筋委縮症(SMA)について、スイス製薬大手ノバルティスの新たな遺伝子治療薬を認可したと発表しました。ロイター通信によると、1回分の価格は212万5000ドル(約2億3000万円)で、「世界で最も高価な薬」としています。
 SMAは体がまひし、呼吸困難などに陥る病気で、主に小児期に現れます。筋肉を動かす神経細胞にかかわる遺伝子の異常が原因とされます。難病情報センター(東京都)によると、小児期までに10万人に1~2人の割合で発症するといいます。
 承認された治療薬は、この遺伝子に異常があった2歳未満の乳児が対象。ウイルスを使って体内に正常な遺伝子を運び、筋肉を動かせるようにします。FDAは「臨床試験で明らかな症状の改善が見られた」として認可を決めました。
 SMAを巡っては、アメリカ国内で別の治療薬がすでに認可されていますが、継続的な投与が必要となります。一方、今回の新薬は1回の投与で効果が長期間続くとされます。ノバルティスは日本での認可も目指しています。

 2019年5月28日(火)
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■政府が初の生活満足度調査を発表 趣味や生きがいを持つ人ほど高く [健康ダイジェスト]




 
 内閣府は24日、「満足度・生活の質に関する調査」結果を発表しました。趣味や生きがいを持つ人ほど生活の満足度が高いことがわかりました。今回が初めての調査で、政府は国民生活の満足度向上に向けた政策立案に活用する方針。
 調査は今年2月、約1万人を対象にウェブでアンケートを実施しました。現在の生活について「非常に満足している」を10点、「全く満足していない」を0点とするなど10点満点で自己採点し、全体の平均値は5・89点でした。男女別では、男性が5・67点、女性が5・90点でした。
 健康状態が「よい」と答えた人の平均は7・08点で、「よくない」と答えた人の3・12点を大きく上回りました。趣味や生きがいを持つ人は6・18点、「ない」と回答した人は4・37点でした。「頼りになる人」の人数やボランティア活動の回数が増加するほど満足度の傾向は高くなりました。
 年齢別では15~59歳までは世代が上になるほど満足度は低くなりましたが、60~89歳の平均は6・36点と全世代で最も高くなりました。
 政府は昨年の「骨太の方針」で国民生活の向上のため、生活の満足度を示す指標の作成を決めており、内閣府が初めて満足度調査を行いました。調査は3年に一度実施します。

 2019年5月28日(火)
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■仙台地裁、旧優生保護法は憲法違反 強制不妊手術巡る訴訟で [健康ダイジェスト]




 
 旧優生保護法(1948~1996年)下で不妊手術を強制されたとして、宮城県の60歳代と70歳代の女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地方裁判所(中島基至裁判長)は28日、「旧法の規定は憲法13条に違反し、無効」との判断を示しました。賠償請求については、すでに請求権が失われているとして棄却しました。
 同種訴訟は札幌や東京など全国の7地裁で起こされており、判決が出たのは初めて。
 中島裁判長は、子供を産み育てるかどうかを意思決定する権利(リプロダクティブ権)は憲法で保障される個人の基本的権利に相当すると指摘しました。「不妊手術は子供を望む者にとっての幸福を一方的に奪うもので、権利侵害は甚大だ」と述べ、幸福追求権を定めた憲法13条に違反するとしました。
 計7150万円の損害賠償請求については、不法行為から20年で損害賠償請求ができなくなるとする民法の除斥期間の規定を適用して退けました。
 原告側は、国が長年にわたって救済の立法措置を怠ったとも主張していました。中島裁判長は、日本ではリプロダクティブ権に関する法的な議論の蓄積が少なく、旧法の規定に関する司法判断もされてこなかった経緯に言及。「立法措置をとることが必要不可欠であることが明白だったとはいえない」として、国の対応は違法とはいえないと結論付けました。
 判決を受け、弁護団の新里宏二団長は、「違憲という憲法判断が下るところまできたという思いだが、救済につながらなければ十分な意味がない。被害者の声を聞いて判断していただけると期待していたので、失望も大きい。当事者と相談の上、基本的には控訴という方向になると思う」と話しました。
 判決の後、原告の70歳代の女性は「20年た闘ってきたのにこんな結果になってしまって言葉が出ない」と話していました。
 60歳代女性の原告の義理の姉は、「裁判は難しくすべて理解はできなかったが、過去に判例がないから訴えを退けるというのは理解できない。言い渡しでは令和の時代がよくなるようにとあったが、令和ではなく今まで苦しめられていた人の声に耳を傾けてほしかった。自分では納得できないので、妹には日をおいて報告する。控訴は弁護団と相談して考えるが機会があればまた頑張りたい」と話していました。

 2019年5月28日(火)
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☐用語 胃石 [用語(い)]





[バー]摂取した食物成分や異物が凝固して硬くなり、胃から排出されない塊
 胃石(いせき)とは、胃内異物の1つで、摂取した食物成分や異物が部分的に消化されたり、全く消化されなかったりして緊密に凝固して、石のように硬くなっ塊。
 この胃石は直径10センチくらいにまでなることもあり、胃から排出されません。
 胃は、胃石や異物が集まりやすい部位です。理由としては、胃の形が湾曲していること、胃の内容物が小腸の始まりの部分である十二指腸に入る際に必ず通る幽門と呼ばれる出口が狭いことなどが挙げられます。胃石や異物の直径が約2センチを超えると、ほとんどの場合は幽門を通過することができません。
 胃石は内容により、果物や野菜や海草の繊維が集まった植物胃石、飲み込んだ髪の毛が部分的に消化された毛髪胃石、制酸薬などの薬が固まって塊状になった薬物胃石に分類されます。
 植物胃石には、空腹時に果物の柿(かき)を大量に食べて生じる柿胃石、植物の一種であるコンフリー(ヒレハリソウ)を食べて生じるコンフリー胃石(いせき)があります。毛髪胃石は、自分の髪の毛を飲み込む癖のある人に生じるもので、ほとんどが女性にみられ、大抵は精神的なストレスなどで髪の毛をかんで飲み込むことにより、胃の中で凝固して胃石となります。
 柿胃石は形成が速く健常な人の胃の中にも形成されますが、ほかの植物胃石は手術で胃を部分切除した人や糖尿病などで自律神経障害がある人など、胃の運動機能の低下や排出機能の障害がある場合に形成されやすくなります。
 柿胃石の形成システムはいまだにはっきりしていませんが、柿渋の主成分であるシブオールというタンニンが胃酸により可溶性から不溶性に変化し、これが食物のかすと一緒に凝固してできるといわれています。柿胃石は、柿の栽培地域でしばしば流行します。
 柿胃石は、吐き気、嘔吐(おうと)、上腹部痛などの急性症状を現し、上腹部に移動性のしこりを触れます。便や吐物(とぶつ)に胃石が混じることもあります。また、胃石によって胃粘膜が傷付き、びらんや潰瘍(かいよう)となることがあります。
 柿胃石以外では、無症状、あるいは胃の不快感など軽度の症状で、慢性的です。まれには幽門閉塞(へいそく)の症状を引き起こす場合もあり、通常量の食事の後に非常に満腹感を覚えたり、悪心、吐き気、嘔吐、痛み、消化管出血が現れたりすることもあります。
[バー]胃石の検査と診断と治療
 内科、消化器科、外科などの医師による診断では、柿を食べたことや、毛髪を飲み込む癖などを聞き出す問診を行った上、腹部単純X線(レントゲン)検査、腹部超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、時に胃内視鏡検査に基づいて判断します。胃内視鏡検査の際、胃石を採取し、顕微鏡で調べて毛髪や植物性物質を探すこともあります。
 内科、消化器科、外科などの医師による治療では、胃石は胃潰瘍(かいよう)や腸閉塞を合併することがあるので、胃石を溶解して縮小させる試みとして胃洗浄、炭酸水素ナトリウム剤、パパイン製剤、分解酵素剤などを使用します。
 溶解療法が不成功に終わった場合と症状がみられる場合は、内視鏡を用いて鉗子(かんし)、ワイヤースネア、ジェットスプレー、レーザーなどで胃石を破砕し、小片として十二指腸より肛側へ排出させるか、内視鏡を介して回収します。
 内視鏡下での胃石の排出や回収が不可能な岩石様の凝固物および毛髪胃石に対しては通常、開腹を要する外科的手術を行います。
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☐用語 異所性膵 [用語(い)]





[位置情報]本来の膵臓から全く違う臓器に膵臓の組織が存在する形成異常
 異所性膵(すい)とは、膵臓と全く違う臓器に膵臓の組織が紛れ込む形成異常。迷入膵、副膵とも呼ばれます。
 8割は胃の出口付近の幽門部、十二指腸、小腸の上半分の空腸に存在しますが、まれに小腸の下半分の回腸、腸間膜、胆道、肝臓、脾臓(ひぞう)、メッケル憩室、虫垂などにもみられることがあります。
 膵臓は胃の背側にある臓器で、胎児期に胃と膵臓の組織が別れてそれぞれの臓器に分化してくのですが、膵臓の組織のごく一部が胃などの筋肉の層に誤って入り込んだ状態で、胃と膵臓が別れてしまうことがあります。この誤って胃などに入り込んだ膵臓組織が異所性膵で、胃の粘膜の下にある筋肉の層に入り込んでいる場合は胃粘膜下腫瘍(しゅよう)と呼ばれる形態をとり、十二指腸、小腸などの粘膜の下にある筋肉の層に入り込んでいる場合は消化管粘膜下腫瘍と呼ばれる形態をとります。
 大きさは0・2ミリから5ミリ程度であり、その多くは1つだけで存在します。
 組織学的には正常な膵臓と同じで、腸管内に膵液を出せる構造になっている場合もある一方、腸管内に膵液を出せる構造になっていなかったり、インシュリンを製造するランゲルハンス島がないものだったりと、完全な膵臓としては機能していない場合もあります。
 多くは無症状であり、多くの人は異所性膵の存在に気付いていませんが、内視鏡の検査でたまたま見付かることがあります。
 ただ、膵臓に発生し得る病変はすべて発生する可能性があり、異所性膵が胃や小腸の潰瘍(かいよう)や出血の原因になることもあり、腹痛や腹部不快感を伴うこともあります。
 膵管が腸管につながらずに閉じている場合は、異所性膵炎を発症することもあり得ます。ごくまれに異所性膵が炎症を起こして異所性膵炎を発症すると、みぞおちや背部の強い痛みを感じます。
 異所性膵がんの発症もあり得ることで、膵臓がんの検査で本来の膵臓に異常が全く見付からない場合には、本来の膵臓と連続性を欠き血行支配も異なる異所性膵の病変を疑うことも重要で、それにより異所性膵がんを発見することに成功した例もあります。
 検査で異所性膵の存在を指摘されたら、まず内科か外科を受診して、手術が必要なのか、それとも経過観察でよいのかどうかを診断してもらいます。
[位置情報]異所性膵の検査と診断と治療
 内科、外科の医師による診断では、通常、血液検査、腹部X線(レントゲン)検査、腹部造影CT(コンピュータ断層撮影)検査、内視鏡検査などを行います。潰瘍性病変を認める場合は、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検で、腫瘍の種類やがんの有無を調べます。
 内科、外科の医師による治療では、基本的には無症状で特に害もないので、小さいものは年に1、2回、内視鏡による精密検査を行って、経過を観察します。
 大きいものや、出血するもの、悪性腫瘍が疑われるものは、内視鏡下に、あるいは外科的に手術をして摘出します。異所性膵がんは全摘出しても重大な影響が全く出ないので、手術は本来の膵臓がんよりも格段に簡単です。小さいものの経過観察中に、大きさや形態に変化がみられるようであれば、手術も考慮します。
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☐用語 アッシャー症候群 [用語(あ)]





[耳]難聴と視力障害を合併し、常染色体劣性遺伝を示す疾患
 アッシャー症候群とは、先天的な遺伝子異常を原因として発症する難聴と、網膜色素変性症という視力障害を主要症状とする疾患。
 難聴は生まれ付きである場合がほとんどで、その程度は軽度から重度までさまざまです。網膜色素変性症は10歳ぐらいから発症し、暗い所での見え方が悪くなる夜盲に始まり、徐々に進行して視野が狭くなっていきます。難聴と視力障害は、社会生活を送る上で大きく影響をおよぼす場合もあります。
 難聴と視力障害との合併を特徴する疾患は約40種類と多岐にわたりますが、アッシャー症候群はその中でも最も頻度が高いものと考えられています。日本における調査によると、約10万人当たりにつき6・7人がアッシャー症候群に罹患しています。
 アッシャー症候群は原因遺伝子によっていくつかに分類され、発症し得る遺伝子異常は現在までのところ10個のものが同定されています。
 アッシャー症候群は3つのタイプに分類されますが、タイプ1を引き起こす原因遺伝子としてはMYO7A遺伝子異常が最も多く、次にCDH23遺伝子異常です。タイプ2を引き起こす原因遺伝子としてはUSH2A遺伝子異常が最も頻度が高く、タイプ3を引き起こす原因遺伝子としてはCLRN1遺伝子異常が最も頻度が高くなっています。
 アッシャー症候群に関与する遺伝子は、聴覚、平衡感覚、視力にかかわる蛋白(たんぱく)質の産生に深く関与しています。耳の構造は外耳、中耳、内耳と分かれていますが、アッシャー症候群に関与する遺伝子は、内耳中に存在する有毛細胞が正常に働くために重要です。有毛細胞は、音の振動を電気信号に変えて脳に情報を伝えたり、体の傾きを感知するのに重要な働きを持っています。
 また、眼球の構造の中で、網膜は視力を決定するのにとても重要なものです。網膜には光や色を感知する役割を持つ視細胞が存在しており、アッシャー症候群に関与する遺伝子は視細胞が正常に働くのに重要な役割を果たします。アッシャー症候群でみられる遺伝子異常があると、内耳の有毛細胞や網膜の視細胞が正常に機能をすることができなくなり、難聴や平衡感覚障害、網膜色素変性症が出現すると考えられています。
 アッシャー症候群の遺伝形式は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式です。この遺伝形式では、両親は症状を発症していないものの遺伝子異常を有しており、異常な遺伝子がそれぞれ両親から子供に遺伝すると、子供が発症することになります。兄弟姉妹に同時に発症することもあります。
 アッシャー症候群の主要症状は、難聴と平衡感覚障害、網膜色素変性症です。遺伝子異常の違いにより、発症時期、症状の程度、症状の進行の仕方は異なることが知られており、タイプ1、タイプ2、タイプ3に分類されています。
 タイプ1は、 生まれ付き重度の感音性難聴がみられます。目の夜盲の症状は10歳前後より生じ始め、物の見える範囲が狭くなったり、光は感じられるが物が読めないなどの症状が出現します。平衡感覚の障害も伴う場合が多く、一人で座ったり歩いたりするのが正常よりも遅れます。また、自転車に乗るのに困難を覚えることもあります。
 タイプ2は、生まれ付き高音障害型難聴という高い音になるにつれて程度が重くなる難聴がみられます。目の症状は思春期以降よりみられることが多いとされています。また、平衡感覚は正常である場合が多いです。
 タイプ3は、アッシャー症候群の中では比較的まれなものであり、進行性の難聴が特徴です。平衡感覚障害と視力障害の発症時期は、さまざまです。
 タイプ1、タイプ2の場合には、生後受けることのできる新生児聴覚スクリーニング検査によって見付かることが多く、その後の精密検査で難聴の程度がわかります。難聴は基本的には進行しないとされますが、進行するケースもあります。
 難聴の診断のためには、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、聴力検査と遺伝子検査を受ける必要があります。網膜色素変性症に対する診察および治療に関しては、アッシャー症候群であってもなくても特別変わりがありませんので、眼科で診察は可能です。
[耳]アッシャー症候群の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科、ないし眼科の医師による診断では、アッシャー症候群は遺伝子異常であり、タイプに応じた原因遺伝子が特定されているものもあり、遺伝子異常を検出するための遺伝子検査が行われることがあります。また、内耳障害(聴覚や平衡感覚障害)、視力障害(網膜色素変性症)を検出するための検査が行われます。耳の聞こえを聴力検査で行ったり、人為的にめまいが生じるかどうかを誘導することもあります。
 網膜色素変性症では眼底検査を行いますし、そのほか視野検査、網膜電図が併用されます。
 耳鼻咽喉科、ないし眼科の医師による治療では、内耳機能の保持と網膜色素変性症の治療が中心となります。これらの症状は先天的な部分もありますが、社会生活を送るにつれて徐々に困難を覚えるようにもなるため、早期の治療介入が大切です。
 難聴に対しては症状の程度に応じて、聴力を補う補聴器や人工内耳の早期からの使用、およびリハビリテーションの開始が検討されます。特にタイプ1の場合には、言葉を覚えるために早期から人工内耳を使用して聴力を補うことが重要で、場合によっては言葉のトレーニングが必要になることもあります。タイプ2の高度障害型難聴の場合には、人工内耳の使用により聴力の大幅な改善が可能であることが確かめられつつあります。
 視力障害に対しては対症療法として、遮光眼鏡の使用、ビタミンAや循環改善薬の内服、低視力者用に開発された各種補助器具の使用などが行われます。より根治的な治療方法として、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた治療や人工網膜の使用なども実用段階に近付いており、予後の改善につながることが期待されています。
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☐用語 アセトン血性嘔吐症 [用語(あ)]





[喫茶店]ほかに原因となる疾患がなく、かつ周期的に嘔吐の症状を繰り返す疾患
 アセトン血性嘔吐(おうと)症とは、激しい嘔吐が数時間もしくは数日間継続し、こうした嘔吐の症状を周期的に繰り返し示す疾患。周期性嘔吐症、自家中毒とも呼ばれます。
 繰り返す間隔は人によってまちまちですが、1カ月に何度も繰り返すこともあれば、年に数回程度ということもあります。嘔吐の症状がない間は、ほかに特別な症状はなく、日常生活にも支障はありません。
 アセトン血性嘔吐症はしばしば、胃腸炎や食中毒、摂食障害などと間違われることがあり、正確な診断が遅れることも多々あります。以前は、発症ピークを5歳前後とする幼児期から学童期にかけての疾患の一種類と考えられていましたが、近年は成人でも発症する疾患であるとの認識が広まりつつあります。
 アセトン血性嘔吐症の頻度は、5~10歳の小児においては2%ほどと報告されていますが、成人においては不明です。嘔吐の症状は非常に激しく、周期的に何度も繰り返すという性質から、発症者にとっては嘔吐症状が起こる度に日常生活に支障が出ることになります。早期の段階で適切に治療を施すことができないと、脱水や低血糖を引き起こすこともあり、より重症化することもあります。
 消化管の働きは自律神経や内分泌で調節されており、通常であれば脳からの指令により適切なタイミングで適切な消化活動が行われます。しかし、アセトン血性嘔吐症においては、脳と消化管の連絡体系に異常が生じているために、嘔吐症状が引き起こされていると想定されています。
 内分泌については、視床下部ー下垂体ー副腎(ふくじん)系と呼ばれる経路に関与するホルモンが、アセトン血性嘔吐症では異常を来していると想定されています。また、発症者には、片頭痛持ちが多いことも知られており、両者の発症の仕方に共通点があることも推定されています。
 家族歴があることもあり、この場合においては遺伝的な要因が関与することも示唆されます。さらに、細胞でエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能異常との関連性も提唱されています。
 嘔吐症状を来す切っ掛けには、さまざまなものがあり、感染症、精神的ストレス、チョコレート・チーズ・アイスクリームなど刺激の強い物の摂取、月経、乗り物酔い、飢餓状態、身体の動かしすぎなど多岐にわたります。子供であれば、風邪やインフルエンザを切っ掛けにして、アセトン血性嘔吐症を発症することが多くみられます。また、不安や緊張を伴うようなイベントの前、例えば試験や遠足、発表会、誕生日会の前などに、突然、嘔吐症状を示すことも多くみられます。
 そのほか、子供の体内には糖分の蓄えが少なく、遊びに夢中になってご飯を食べなかったり、胃腸炎などを切っ掛けにして糖分摂取ができなかった場合に、容易に糖分が不足します。体内の糖分が不足すると、脂肪がエネルギー源として使用されますが、その過程でケトン体と呼ばれる酸性の物質が体内で産生されます。ケトン体の一種類としてアセトン体も血液中にみられるようになるため、アセトン血性嘔吐症の名称がついています。血液中に増えたアセトン体の臭いを反映して、吐物(とぶつ)はリンゴの腐ったような臭いがします。
 アセトン血性嘔吐症の症状は、吐き気や顔色不良などの前兆の後に、数時間から数日持続する激しい嘔吐が特徴的です。嘔吐症状は噴水様になることも多く、胆汁や血液が少量混入することもあります。嘔吐をした後にも、吐き気は持続します。
 そのほかの消化管症状として、胃のむかつき、食欲不振、腹痛なども伴うことがあります。さらに、自律神経症状として発汗や低体温、下痢、頭痛などを認めることもあります。アセトン血性嘔吐症では、一度症状が治まった後も、時間を空けて反復することも特徴です。合併症としては、水分摂取が不十分となり脱水になることが挙げられます。
 嘔吐症状ごとの間隔は、数日のこともあれば数カ月のこともあります。人によって症状の出方は異なるのですが、個人個人をみると、症状が出た切っ掛け、嘔吐症状の強さ、嘔吐症状の持続時間などは、比較的似ることが多くなります。
 小児の嘔吐症状が何日も続き、症状が改善しない場合は、小児科を受診することが勧められます。
[喫茶店]アセトン血性嘔吐症の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、ほかに原因となる疾患がなく、かつ周期的に嘔吐の症状が起こることを基準として、アセトン血性嘔吐症と判断します。
 尿検査と血液検査を行うと、ケトン体が体内で産生されていることを反映し、尿中にケトン体、血中にアセトン体を認めます。しかし、こうした検査結果は長時間の空腹や体調不良でも認めることがあり、診断の確定にはつながりません。
 また、アセトン血性嘔吐症が進行すると、低血糖をみることもあります。さらに、脱水を反映した検査結果をみることもあります。
 小児科の医師による治療では、前兆の段階での治療、嘔吐症状がある時の治療、嘔吐症状がない時の治療に大きく分けて考えることができます。前兆の段階では、吐き気や頭痛、腹痛などを感じることがあり、これらに早期介入することで、その後に引き続く嘔吐症状を予防することが期待できます。
 そのため、吐き気止めや痛み止めを処方ます。また、糖分が不足して嘔吐症状が誘発されていることもあるため、糖分を摂取することが有効な場合もあります。
 嘔吐症状が始まると、経口摂取がうまくいかないこともあります。胃腸炎の場合と同様に少量ずつ経口補液を行うことが必要であったり、症状が強い場合には点滴での水分補給も必要になります。
 症状が改善した時には、人によって片頭痛の予防のための薬を処方することもあります。嘔吐症状を引き起こす切っ掛けがわかった時には、それを避けるような生活スタイルも必要です。例えば、夕食を抜いた後、翌日に嘔吐症状を起こすことが多い場合には、しっかりと夕食を摂取するよう心掛け、長時間空腹にしないことが必要です。チョコレート・チーズ・アイスクリームなど刺激の強い物を食べることが切っ掛けになる場合には、それを避ける努力も必要です。
 心理的な要因が強い時は、心理テストやカウンセリングを行うこともあります。
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☐用語 足関節脱臼骨折 [用語(あ)]





[足]足関節を構成する骨が骨折し、靭帯も損傷を受けて関節が外れた状態
 足関節脱臼(だっきゅう)骨折とは、足関節すなわち足首の関節を構成する脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)が骨折し、それぞれの骨をつなぐ靭帯(じんたい)が強く損傷を受け、足関節が外れてしまった状態。
 足関節脱臼骨折は、足関節に対しての直接的な外力や重度の捻挫(ねんざ)などを切っ掛けとして発症します。具体的には、交通事故やスポーツ外傷、足の踏み違え、道路の穴や段差による転倒、階段や高い所からの転落などに関連して生じることがあります。
 また、内側に足をひねるのか、外側に足をひねるのか、足関節に対してどの方向から衝撃が加わるかによって、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位は異なってきます。
 発症すると、足関節の痛みやはれ、皮下出血、変形などの症状が現れます。特に変形は見た目にもわかるほどであり、足の真っすぐさが失われてしまい、障害を受けた部位がゆがんで見えます。骨折がひどいと、骨片の端が皮膚を突き破って外に出て、出血することもあります。はれがあまりに強くなると、血の巡りが悪くなって悪循環を起こし、血の流れが止まって筋肉や神経が死んでしまうことがあります。
 足関節は体重が多くかかり、歩行に際して重要な役割を果たす関節であるため、足関節脱臼骨折を生じると、痛みや変形のために、体重をかけて歩行することができなくなってしまいます。
 後遺症を減らすためには、早期のギプス固定や手術が重要です。長期的にみると、骨折と脱臼の治癒過程においても後遺症が生じることが少なくなく、変形性関節症に至るケースもあります。その場合には、疼痛(とうつう)が持続しさらなる治療が必要になります。
 自身の症状が足関節脱臼骨折でないかと危ぶまれる際は、整形外科のクリニックか、近くの総合病院の救急外来を受診することが勧められます。痛みで全く立ち上がれない際には、救急車での受診が適切です。
 実際に整形外科のクリニックを受診した場合には、足関節脱臼骨折の診断は診察とX線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で行います。診断が足関節脱臼骨折で手術が必要な場合には、行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。結果的に足関節脱臼骨折ではなく筋肉の問題であれば、整形外科のクリニックで対応が可能です。
 総合病院の救急外来を受診した場合は、相対的に待ち時間が少ないというメリットがある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多くて、待ち時間が長く、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
[足]足関節脱臼骨折の検査と診断と治療
 整形外科、救急外来などの医師による診断では、内側に足をひねったのか、外側に足をひねったのかによっても、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位が異なるため、いつ、どこでどのように発生したのかなど受傷機転を含めて、詳細な身体診察をして障害部位を特定します。動脈損傷や神経損傷がないかどうかの確認も行います。(動脈が触れるか、感覚は残っているかなど)も行われます。
 また、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査といった画像検査も行うことで、骨や靭帯などの損傷の程度、骨のずれ具合などを評価します。
 整形外科、救急外来などの医師による治療では、骨折で生じている骨のずれ(転位)が少ない場合や、徒手整復で整復位が得られれば、ギプスによる外固定で保存的に処置します。
 整復位が得られても保持が難しく不安定性が強い例や、十分な整復位が得られない場合は、少しでも骨のずれがあれば手術を行います。骨のずれや脱臼を元の位置に戻しつつ、骨折部の固定や靭帯損傷の修復などを手術的に行います。
 骨がずれたまま固定されると、足関節のすり合わせが悪くなり、将来、関節の軟骨が片減りして、痛くて動きが悪くなり歩けなくなります。軟骨がなくなってからでは、手術で関節を固定して動かなくするしか方法がなくなるので、正確に骨を戻して整復し、早くから関節を動かす訓練ができるように、しっかりと金属のスクリュー(ネジ)や金属のプレート(板)で固定し、ギプスで外固定することになります。
 手術後には、症状や病状の回復状態をみながら、徐々に足に荷重をかけつつ運動負荷を上げていきます。この際、自己流のリハビリテーションを行うのではなく、専門的知識を持った理学療法士といった医療従事者の下で運動を行うことが重要です。
 骨が付くには6週間かかりますが、ギプスでの外固定は3週間程度にとどめ、その後は取り外しのできる固定装具に変えて、痛みに耐えられる範囲で足関節の運動を開始します。X線検査の写真で骨が付いたことを確認したら、体重をかけた運動を開始します。最初はプールの中で歩く練習から始めるのが理想的です。
 長期的後遺症として、関節の軟骨が片減りして痛くて動きが悪くなる変形性関節症を生じた場合は、症状により関節内注射や、骨切り術や関節形成術などの手術を選択することになります。
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☐用語 アイカルディ症候群 [用語(あ)]





[バー]脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんを特徴とする神経発達疾患
 アイカルディ症候群とは、背景に神経系の発達の不具合があると想定されている神経発達疾患。脳梁(のうりょう)欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんという3つの症状を特徴とし、日本では特定疾患(難病)の一つとして厚生労働省から指定されています。 
 罹患(りかん)率については正確な人数は不明ですが、およそ9万~17万人に1人の割合で発症すると見なされてます。また、発症者のほとんどは女性です。
 原因については、明らかになっていません。基本的には、突然変異と呼ばれるランダムに突然起こる遺伝子の異常が原因ではないかと想定されています。
 アイカルディ症候群が発症する仕組みや、発症者のほとんどが女性である理由についても、明らかになっていません。しかし、突然変異が原因ということを想定した上で、いくつかの仮説が立てられています。
 まず、アイカルディ症候群は、X染色体上の遺伝子の変異により発症するのではないかと推測されています。X染色体は、性別を決める役割を持つ性染色体の1つです。女性はX染色体を2本持っていますが、男性は1本しか持っていません。そのため、男性では、X染色体の異常が起こった場合にその影響を受けやすいといわれています。アイカルディ症候群を発症した男性は、1本だけ持っているX染色体に異常が起きることにより、生まれる前に命を落とすのではないかと考えられています。
 ただし、非常にまれですが男性の報告例はあります。そのメカニズムとして、男性でX染色体が2本以上あることを特徴とするクラインフェルター症候群という疾患の発症者の場合では、アイカルディ症候群を発症しても生存できるのではないかと推測されています。
 また、アイカルディ症候群は、性染色体以外の染色体である常染色体上の遺伝子の変異により発症するという仮説も立てられています。常染色体は、基本的には男女ともに22対(44本)ずつ持っている染色体のことで、常染色体上の遺伝子に変異が起こると、新生児が先天異常を持って生まれてくることがあります。アイカルディ症候群もこのような仕組みで起こるという可能性が考えられています。
 アイカルディ症候群を親子で発症した例は報告がなく、遺伝する可能性について正確なことは明らかになっていません。アイカルディ症候群の子供が生まれた場合は、基本的に突然変異により発症したと想定されます。また、兄弟姉妹で発症したという報告は今までに1姉妹例しかなく、次の子供もアイカルディ症候群を発症する確率は非常に低いと考えられています。
 アイカルディ症候群の主な症状は、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんです。脳梁欠損は生まれ付き起こる脳の奇形の1つで、右脳と左脳をつなぐ繊維の束である脳梁が部分欠損したり、完全欠損したりした状態を指します。網脈絡膜裂孔は、網膜や脈絡膜という目の奥に広がる膜状の組織に、裂け目ができることを指します。
 点頭てんかんは、てんかんの一種で、うなずくような動作に見える首、体幹、四肢の筋肉の瞬間的な収縮を伴うスパズム発作が特徴です。アイカルディ症候群では多くの場合、生後1年ころまでに最初の発作が起こるとされています。
 そのほか、ほとんどのアイカルディ症候群の発症者に発達の遅れがみられます。発達の遅れには個人差があり、脳の奇形の程度やてんかんの重さが関係していると考えられています。
 網脈絡膜裂孔以外にも、生まれ付き眼球が小さい状態である小眼球症や、持続的な眼球運動がみられる状態である眼振などの症状がみられることもあります。小頭症、背骨や肋骨(ろっこつ)の異常、まれに口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などの症状もみられることもあります。
 海外から報告では、生存率にはかなりばらつきがあり、平均死亡年齢は約8・3歳で、死亡年齢の中央値は約18・5歳となっています。
 アイカルディ症候群は、多くの場合は小児科で診断されます。その上で詳しい検査が必要であれば、設備が整った病院に紹介される場合もあります。
[バー]アイカルディ症候群の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんの症状が併発しているかどうかを調べることにより判断されます。
 ただし、脳梁欠損と点頭てんかんはそれぞれ単独で発症する場合や、ほかの疾患でもみられる場合があります。そこで、個別の症状ではなく3つの症状が併発していることに注目しなければならないため、診断されるまでに時間がかかることがあります。
 脳梁欠損を調べるためには、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査が検討されます。網脈絡膜裂孔を調べるためには、眼底検査などの眼科的な検査が検討されます。てんかんの有無を調べるためには、けいれん発作時の様子の確認や、頭に電極をつけて脳波を記録し脳の活動の状態を調べる脳波検査の実施も検討されます。
 小児科の医師による治療では、アイカルディ症候群の根本的な治療法がないため、てんかん発作など実際に現れた症状を緩和する対症療法が主となります。
 てんかんの治療では、抗てんかん薬の投与が検討されます。しかし、アイカルディ症候群でみられるてんかんは、治療しても治りにくい難治性といわれています。すべての発症者に効果が現れるとは限らず、発作を繰り返すケースが多くみられます。
 また、てんかんの治療として手術療法が選択されることもありますが、アイカルディ症候群の治療としてはほとんど実施されていません。
 アイカルディ症候群に共通してみられる症状そのものが命にかかわるわけではありませんが、長生きするのは難しい疾患であると考えられています。しかし、世界では、30歳代の発症者や、症状が軽度で40歳代まで生きている発症者がいるという報告があります。医療的ケアや管理が向上していることから、少しずつ生存率が改善してきているのではないかと考えられています。
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☐用語 遺伝性球状赤血球症 [用語(い)]





[バー]赤血球が先天的に球状に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患
 遺伝性球状赤血球症とは、血液を構成する細胞のうち、各臓器や組織への酸素運搬を担う赤血球という細胞の遺伝的な異常によって、形状が球状に変形して本来の機能が低下し、壊れやすくなる疾患。常染色体優勢遺伝という形式で遺伝することが多く、常染色体劣性遺伝という形式で遺伝することもあり、突然変異による弧発例も存在します。
 日本で発見される遺伝性溶血性貧血の中で最も頻度が高い疾患で、人口5〜10万人に1人の頻度とされています。主要な症状は貧血、黄疸(おうだん)、脾臓(ひぞう)のはれですが、症状の程度は個人差が大変強く、新生児期に重篤な症状を起こす場合もあれば、成人してから検査結果の異常で偶然発見される場合もあります。
 赤血球は体内で狭い血管をも通過できるように、正常では中央部分がへこんだ円盤状の形をしています。この形態によって、狭い部分を通過する際に細胞が折り畳まれることで細胞を傷付けずにより先に流れていくことができます。
 遺伝性球状赤血球症では、この特殊な形を保つための細胞骨格を作り上げる蛋白(たんぱく)質の遺伝子異常があるため、赤血球が通常通り変形することができず、細い血管や脾臓を通過するたびにその抵抗により細胞膜がどんどん削り取られてゆきます。細胞膜の面積が減っても細胞の中身の量は変わらないため、同じ表面積で最も体積を多くできる球状に赤血球が近付いてゆきます。それでも最終的には、細胞膜が薄くなることで形を保てずに赤血球が壊れてしまい、血色素(ヘモグロビン)が多量に赤血球外に出される溶血という現象が発生します。
 細胞骨格にかかわる蛋白質には多くの種類があり、どの蛋白質にどのような異常が出るかによっても疾患の深刻さは異なってきます。
 最重症の場合は、胎児期に高度の貧血のため、胎児水腫(すいしゅ)という状態を起こし得ます。新生児期に症状が出る場合の多くは、溶血のために血液中にビリルビン(胆汁色素)が増え新生児黄疸を起こして発見されます。黄疸の程度がひどい場合は、脳へのビリルビンの沈着とそれによる発達障害を起こすこともありますが、貧血による症状が深刻なことはまれです。新生児期をすぎると、皮膚の黄疸が問題となることは少なくなります。
 遺伝性球状赤血球症の発症者では、赤血球が壊れずに体内を循環できる期間が疾患のない人と比べて少ないため、常に骨髄が活性化して多めに赤血球を作り続けている状態です。そのため、俗にリンゴ病と呼ばれる伝染性紅斑(こうはん)の原因になるヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染への感染、赤血球を作る際に必要なビタミンB12や葉酸の不足など、骨髄の活動を抑制するような出来事があると急激に貧血が進行して症状を起こす可能性が高くなります。
 また、皮膚の黄疸を起こすほどではないにしろ、溶血によって赤血球からビリルビンが漏れ出続けているため肝臓がそれを処理し切れずに、ビリルビンが胆石を作りそれによる胆石疝痛(せんつう)発作を起こす可能性が高くなります。
[バー]遺伝性球状赤血球症の検査と診断と治療
 小児科、ないし血液内科の医師による診断では、足の裏などから末梢(まっしょう)血を採取して、赤血球の形態観察で球状赤血球や小型球状赤血球の増加、赤血球の浸透圧抵抗の低下、血液中の間接型ビリルビン値の上昇、脾臓のはれなどを総合して診断します。可能であれば、赤血球膜の蛋白質を電気泳動で解析し、遺伝的異常を同定します。
 なお、新生児期には赤血球の形態、赤血球の浸透圧抵抗ともに典型的な所見を示さないことも多いため、診断が難しいことがあります。
 小児科、ないし血液内科の医師による治療では、疾患の原因が遺伝的な蛋白質の異常であるため、ほかの遺伝性溶血性貧血症と同様に根本的な治療法はありません。
 対症療法として、正常より多くの量が必要となる葉酸を経口で補充します。まれに新生児期から貧血による症状が出る場合は、成熟に伴って骨髄が赤血球の消費を補えるだけ新たに赤血球を生産できるようになるまで、赤血球輸血や、エリスロポエチンという赤血球の生産を増やすホルモンの投与などを行います。
 また、溶血や貧血に伴う症状が高度な場合や、これらの症状が軽度でも胆石が認められる場合などでは、赤血球は主に壊している脾臓を外科手術、あるいは腹腔(ふくくう)鏡下手術によって取り除く脾摘が治療法となります。元々の症状の程度によってどの程度の改善がみられるか個人差はありますが、軽症の場合はビリルビンなどの検査値がほぼ正常範囲になり、重症の場合でも輸血を必要とする頻度がかなり改善するなど大きな効果が見込めます。
 しかし、脾臓という臓器が肺炎球菌など一部の細菌感染に対抗する上で重要な役割を持っているため、脾摘後はこれらの感染症に対して抵抗力が弱くなってしまいます。そのため脾摘の前にワクチン接種を受けることが推奨されます。また、脾摘を受けた発症者は脾摘を受けない遺伝性球状赤血球症の発症者と比べて、動脈/静脈塞栓(そくせん)の危険性が上がるという報告もあるため、元々の危険性が高い発症者では注意が必要になります。
 特に乳幼児期は脾摘後に重症細菌感染症にかかりやすくなるため、重症の場合でも6歳になるまで脾摘は待つほうが安全とされます。軽症の場合は、青年期まで待機可能なこともあります。
 そのほかの疾患の治療のため骨髄移植を行った場合には、骨髄の細胞が根本的に入れ替わるため遺伝性球状赤血球症も改善しますが、この疾患単独に対する治療としては治療に伴う合併症のリスクが高すぎるため通常は行われません。
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☐用語 悪性褐色細胞腫 [用語(あ)]





[バー]主に副腎髄質に発生したがんが他の臓器に転移した疾患
 悪性褐色細胞腫(しゅ)とは、副腎(ふくじん)髄質の細胞などから発生するまれな腫瘍(しゅよう)である褐色細胞腫のうち、悪性のもの。すべての褐色細胞腫のうち、悪性褐色細胞腫は1割と見なされています。
 褐色細胞腫は、副腎髄質の細胞にできた腫瘍によって、自律神経に働くドーパミンやアドレナリン (エピネフリン) 、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などのカテコールアミンが大量に分泌されて、高血圧を起こす疾患。若い人が、ひどい高血圧を起こすのは、この褐色細胞腫が原因のことがあります。
 腫瘍は主として副腎髄質の細胞から発生しますが、時には、ほかの交感神経系のクロム親和性細胞からも発生します。脊髄(せきずい)に沿ったクロム親和性細胞は、重クロム酸カリウムを含む液で固定すると、褐色に染まる細胞をいいます。
 褐色細胞腫の大部分の9割は良性で、1割が悪性で悪性褐色細胞腫に相当します。良性の褐色細胞腫と、がんである悪性褐色細胞腫の判断は非常に難しく、摘出した腫瘍を顕微鏡で詳しく検査してもわからないため、骨、肺、肝臓などへの転移巣の存在が認められた場合に悪性褐色細胞腫と判断されています。
 褐色細胞腫の多くは明らかな原因もなく腫瘍が発生しますが、遺伝的に褐色細胞腫になりやすい家系もあります。
 褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の症状としては、高血圧と糖尿病が起こります。高血圧は、発作的に起こる場合と持続的に血圧が高い場合とがあります。
 発作的に起こる場合は、急に不安感、緊張感が起こり、強い動悸(どうき)やズキンズキンとした頭痛を感じ、脈が速くなり、手足が震え、瞳(ひとみ)が大きくなります。手足が冷たくなり、時には耳鳴り、吐き気、嘔吐(おうと)がみられます。
 また、しばしば尿糖が出ます。発作は数分から1〜2時間、時には数日続くこともあります。まれに、心不全や出血の危険性が高まることもあります。
 このようなはっきりした発作がなく、いつも血圧が高く、また糖尿病になっている場合もあります。
 発作的な血圧上昇、動悸、頭痛などがしばしば起こる場合は、内科、内分泌内科、内分泌外科の専門医を受診してください。
[バー]悪性褐色細胞腫の検査と診断と治療 
 内科、内分泌内科、内分泌外科の医師による褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の診断では、血液および尿の中のアドレナリン (エピネフリン) 、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)などの高値により判断します。腫瘍を探すために、腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、血管造影検査などの画像診断を行います。
 家族歴などから、遺伝的要因が関係した褐色細胞腫が疑われた場合は、遺伝子の検査が望まれる場合があります。
 最近では、特に症状はなく、人間ドックなどで副腎髄質に偶然腫瘍が発見され、精密検査の結果、褐色細胞腫と診断される例も増えています。副腎髄質の細胞や他のクロム親和性細胞以外の部位に転移した時には、悪性褐色細胞腫と判断します。
 内科、内分泌内科、内分泌外科の医師による褐色細胞腫および悪性褐色細胞腫の治療では、降圧治療(α遮断薬やβ遮断薬)による高血圧のコントロールを十分に行った上で、手術による腫瘍摘出が原則です。褐色細胞腫は約1割に再発例があるので、手術治療の後も定期的なホルモン検査と画像検査を行うことが大切です。
 悪性褐色細胞腫では、降圧治療(α遮断薬やβ遮断薬)に加えて、腫瘍の可能な範囲での摘出手術、抗がん剤による化学療法、放射性ヨウ素I131を標識としたメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)という薬剤を用いたアイソトープ内照射療法などの治療を行います。しかし、現時点で悪性褐色細胞腫を根治可能な治療法はありません。
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☐用語 陰門膣炎 [用語(い)]



[ダイヤ]女児の外陰部から膣にかけて細菌が侵入し、炎症を起こす疾患
 陰門膣炎(ちつえん)とは、女児の外陰部から膣にかけて細菌が侵入し、炎症を起こす疾患。外陰膣炎とも呼ばれます。
 子供の外陰部や膣の皮膚はとても薄く、細菌などの侵入を受けやすい上、成人女性で膣内を酸性に保ち感染を防いでいる外陰部の常在菌もいないため、女児に起こりやすいと考えられています。皮膚にいるブドウ球菌や溶連菌、腸内にいる大腸菌などが原因菌になります。
 発症すると、おむつやパンツに黄色や薄緑色の下り物が付いていることがあります。年齢によっては、外陰部が赤くなり、かゆみや痛みを訴えることもあります。ただれたりすると、少量の出血をみます。
 時には、尿道のほうにも細菌が入って膀胱(ぼうこう)炎を起こすこともあり、下り物に膿(うみ)が混じります。また、かゆみのためかきむしって、さらに二次的に細菌感染を起こすことがあります。
 数カ月間で2〜3回繰り返す女児もいます。何度も繰り返す場合には、小陰唇癒着症や処女膜閉鎖症が原因になっていることがあります。
 おむつやパンツに下り物が付着するだけでなく、かなり臭いのですぐに気付きます。気付いたら小児科、ないし婦人科を受診してすぐに治療してもらいます。
[ハート]陰門膣炎の検査と診断と治療
 小児科、ないし婦人科の医師による診断では、外陰部や膣前庭の状態を視診した上で、膣の粘膜をぬぐって細菌の培養を行い、原因になった病原体を検査します。
 小児科、ないし婦人科の医師による診断では、抗生剤の外用剤を処方します。場合によっては、抗生剤の内服薬も処方します。
 家庭では、女児の外陰部から膣にかけて、せっけんはあまり使わずにお湯でよく洗うようにして、下り物、汚れをよく落として、処方された抗生剤の外用剤を塗ります。抗生剤の内服薬も処方されたら、医師の指示通りに服用させます。
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☐用語 咽後膿瘍 [用語(い)]





[バー]のどの奥の咽頭粘膜の後方にあるリンパ節に炎症が広がって膿がたまる疾患
 咽後膿瘍(いんごのうよう)とは、のどの奥の咽頭粘膜の後方にあるリンパ節に細菌などが感染して炎症が広がって膿瘍ができ、膿汁がたまる疾患。
 かつては、生後2カ月から5歳の乳幼児や小児に多い疾患とされていましたが、最近では、免疫不全などで全身抵抗力の低下している成人や高齢者にも発症がみられます。
 放置すると膿(うみ)が下方の胸腔(きょうくう)にある縦隔に流れていき、縦隔炎という生命にかかわる疾患になるので、早く医師の診察を受けることが必要です。
 成人では、結核性頸椎(けいつい)カリエスに続いて起こることもあります。ただし、抗生物質や抗結核薬による治療が普及してきた現在では、咽後膿瘍の発症率は減少傾向にあります。
 咽頭粘膜の後方の左右にはリンパ節があり、鼻、副鼻腔(ふくびくう)、咽頭、中耳などの領域リンパ節として働いています。これらのリンパ節は、乳幼児期には数が多いのですが、成人になるに従って委縮していきます。鼻や中耳などの炎症を起こしやすい乳幼児や小児では、炎症に引き続いて、これらのリンパ節に膿瘍ができることがあります。
 咽頭の外傷や異物誤嚥(ごえん)などにより細菌が直接、リンパ節に感染して起こることもあります。
 乳幼児や小児と成人では、症状がやや異なります。乳幼児や小児の初期症状は、機嫌が悪い、食欲がない、発熱などで、泣き声が含み声となります。炎症が進むと、鼻呼吸が障害されたり、首が曲がりにくくなり、痛がったりします。
 成人は発熱、のどの痛み、食事摂取困難などが初期症状で、炎症が進むと口が開きにくい、しゃべりにくい、呼吸が苦しいなどの症状が起こります。
 風邪や急性咽頭炎などが治らず、嚥下や呼吸状態が悪化する場合や、咽頭の外傷後や魚の骨などをのどに刺した後に症状が出てきたら、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、入院して精密検査をする必要があります。
[バー]咽後膿瘍の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、疾患が疑われたら頸部(けいぶ)CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査により容易に確定診断できます。しかし、咽頭炎症状のみの場合には咽頭後壁のはれや盛り上がりで咽後膿瘍を疑い、鼻咽腔ファイバースコープ(内視鏡)検査で確認します。
 膿を培養して、細菌の種類と抗菌薬に対する感受性を調べる検査は治療上大切です。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、症状が進行して膿瘍が大きくなり、空気の通り道である気道が圧迫されて呼吸困難が生じている場合には、口から針を刺して膿汁を吸引するか、のどを切開してチューブを入れ排膿します。膿瘍が下方に進展していると考えられる場合は、全身麻酔をして、のどの切開の後に頸部外切開を行い、排膿します。同時に、点滴で抗菌薬を投与します。
 緊急性がない場合でも、入院による治療は必須で、点滴での抗菌薬投与などを行います。また、排膿するための手術が必要なことがあります。
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☐用語 咽喉頭異常感症 [用語(い)]





[バー]咽喉頭部や食道には病変がないのに、違和感や胸痛などを覚える疾患
 咽喉頭(いんこうとう)異常感症とは、咽喉頭部や食道そのものに病変がなく正常にもかかわらず、違和感や胸痛など覚える疾患。耳鼻咽喉科領域では咽喉頭異常感症と呼ばれますが、内科・精神科領域ではヒステリー球、ヒステリー球症候群、食道神経症とも呼ばれます。
 症状は、咽喉頭部や食道にヒステリー球と呼ばれる球状の塊が存在している感じ、圧迫感、イガイガ感、食べ物が食道につかえる感じ、胸焼け、吐き気、胸部圧迫感、胸痛など多彩です。
 発症者の多くは女性で、ストレス、自律神経失調症、情緒不安定、貧血などが背景にあります。ストレスから自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になると、咽喉頭部や食道付近の筋肉が過剰に収縮して食道の内腔(ないくう)が細く締め付けられてしまうためです。
 しかし、いたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、発症者が不安を持つ食道由来の胸痛の原因としては、胃食道逆流によるものが多くみられます。そのほかに、食道運動機能異常、食道知覚過敏、精神疾患との関連があり、これらが相互に関係して発症することが多いようです。
 中年女性では、食道通過障害の症状のほかに、鉄欠乏性貧血、舌炎を合併するプランマー・ビンソン症候群という疾患もあります。食道上部にある慢性食道炎が通過障害の原因とも考えられていますが、こちらも食道そのものに病変は認められず、心因性要素も関係しているようです。
 症状が続き、心配していても改善しない時は、耳鼻咽喉科や内科を受診して、異常のないことを確認してもらうと早くよくなります。異常がなければ、心療内科の受診も検討してもらえます。
[バー]咽喉頭異常感症の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科、内科の医師による診断では、口腔視診、鼻副鼻腔咽喉頭内視鏡検査、副鼻腔・頸(けい)部CT(コンピュータ断層撮影)検査、超音波(エコー)検査、頸部X線(レントゲン)検査、上部消化管内視鏡検査、喉頭アレルギーに関する問診、血液検査、精神症状に関するアンケート検査などを行い局所・全身疾患の鑑別を進めます。
 胸が何となくおかしいなど、食道由来の胸部違和感や胸痛を訴える症例の多くは、胃液が食道に逆流して起こる胃食道逆流症が主な原因です。この診断のためには、まず心電図や心臓エコー検査を行って心臓疾患を否定します。次に内視鏡検査やバリウム造影で食道を調べます。
 ここで胃食道逆流症による食道粘膜の病変の存在が確認されれば、そのまま治療に入ります。通常は、酸分泌抑制薬の内服が選択されます。
 前記の検査で胃食道逆流症が証明されない際には、食道内酸逆流の程度を食道内腔に設置したpHセンサーで証明する方法が最も確実です。近年では鼻から挿入する有線型のセンサーではなく、食道内に固定する無線式のセンサーが使用できるようになっています。
 以上の食道の内視鏡検査や食道内のpHのモニタリングで病変が観察されない場合は、心臓の精密検査となります。この目的は、虚血性心疾患の診断です。心臓の冠動脈造影で異常がみられる場合には、心疾患の治療を行います。冠動脈造影で異常が認められず、胃食道逆流症も否定される場合には、骨格筋由来の胸痛の検査に入ります。
 最近では、心臓に異常を認めない非心臓性胸痛(NCCP)という概念が普及しています。非心臓性胸痛の約半数は、胃食道逆流症によるものと考えられています。従って、最も専門的な治療経験が要求される咽喉頭異常感症をいたずらに精神的なもの、気のせいと判断することは禁物で、順序を追った検査体制で診断を進めていくことが大切となります。
 精密検査を進めても、咽喉頭部や食道などに病変がなければ、無治療で経過観察も可能です。治療を希望する場合、心療内科の受診を勧め、過敏になっている神経を沈めるための鎮静薬や精神安定薬が投与されます。また、抱えている問題やストレスになっている原因を突き止め、その問題についてのカウンセリングを行うことで、自然と咽喉頭部や食道の違和感、胸部の違和感が消えていくこともあります。
 日常生活では、運動や趣味に励み、精神的、身体的機能を高めることが望まれます。
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☐用語 咽頭異物 [用語(い)]





[喫茶店]異物が誤って咽頭に引っ掛かった状態
 咽頭(いんとう)異物とは、誤って飲み込んだ異物が、のどの入り口辺りの咽頭に引っ掛かった状態。異物の大きさによっては、肺に通じる空気の通り道を大きく障害することがあり、窒息の危険性を伴うこともあります。
 咽頭異物は、さまざまな物を原因として起きます。日本では、食生活が関係して魚の骨が多くを占めることが報告されています。咽頭異物は多くの年齢層で生じますが、魚の骨による咽頭異物は各年齢層にみられ、多くは口蓋扁桃(こうがいへんとう)か舌根に引っ掛かります。
 また、入れ歯や薬の包装などによる咽頭異物は、特に高年齢層において生じることが多くなっています。乳幼児では、おもちゃや硬貨、シール、ボタン、針、ボタン型電池などが原因となることが特徴です。食べ物であるのかないのかの判別がつかず、何でも口に入れてしまう乳幼児の特性を反映しているといえます。
 異物を飲み込んだ直後から、咽頭に物が引っ掛かった感じが現れたり、咽頭に激しい痛みが現れたり、症状はさまざまです。異物を飲み込んだ際にむせ込んだり、せきが出たりすることもしばしばあり、異物の大きさによってはのどをふさいで、呼吸困難や窒息を生じることもあります。
 乳幼児や認知症を患う高齢者の場合、本人や周囲の人が気付かないうちに異物を飲み込んでいることもあります。その場合、長引くせき、ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)、かすれ声などの症状で認識されることがあります。高齢者の場合、本来はあるはずの入れ歯がなくなっていることから、咽頭異物が疑われることもあります。
 小さな魚の骨ぐらいなら、ご飯をそのまま飲み込めば取れることがあります。また、勢いよくせきをすると取れることもあります。激しく痛み、なかなか取れない場合、あるいは乳幼児や高齢者が異物を飲み込んだ可能性がある場合は、すぐに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診してください。異物は引っ掛かってすぐなら見付けるのは比較的簡単ですが、時間がたっていたり、深く刺さっている場合には発見が難しいこともあります。
[喫茶店]咽頭異物の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、咽頭に引っ掛かった物、その大きさ、痛みの部位などを詳細に問診します。異物を飲み込んだという状況が明確でなくても、せきが長引く、呼吸が苦しいといった症状がみられる場合は、咽頭異物を疑います。
 咽頭異物が疑われる場合は、X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査といった画像検査を行います。針、ボタン型電池など異物の種類によっては、画像検査によって異常構造物を指摘することが可能な時もあります。また、口から直接、あるいは鼻から鼻咽腔ファイバースコープを挿入し、異物を探すこともあります。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、咽頭異物が確認された場合、すぐに異物を除去するための処置を行います。具体的には、口から直接、あるいは鼻から鼻咽腔ファイバースコープを挿入し、鼻咽腔ファイバー内から異物をつかむ鉗子(かんし)を挿入して異物を摘出します。
 異物が体の奥深くに入り込んでしまったり、先がとがった構造で咽頭に引っ掛かり、鼻咽腔ファイバースコープを用いての摘出が困難な場合には、手術を行います。
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☐用語 異物誤吸入 [用語(い)]





[喫茶店]気道内に異物が誤って吸入され、気道閉塞を起こす状態
 異物誤吸入とは、肺に通じる空気の通り道である気道内に、いろいろな物質が進入して、気道異物として気道閉塞(へいそく)を起こす状態。ハイハイやつかまり立ちを始める6~11カ月の乳児を始めとして、1人で室内を移動できるようになる1歳前後以降の乳幼児に多く起こります。
 飲み物や食べ物を飲み込む動作を嚥下(えんげ)といい、食道を通って胃に運ばれます。食道と太い気道である気管は隣り合わせで、気管の入り口である喉頭(こうとう)が大きく開いており、このままでは飲み物や食べ物が気管に入ってしまいます。それを防ぐために、フタの役目を持つ喉頭蓋(がい)という軟骨からなる部分が、嚥下の動作とともに気管の入り口をふさぎます。
 大人でも、本来は胃の中に運ばれなければならない飲み物などが誤って気管内に進入する誤嚥を起こしますが、むせたり、せき込んだりして気管から吐き出そうとします。乳幼児では、せきの力が弱いため飲み物などが気管内に進入する誤嚥を起こしやすくなります。
 異物の種類は豆類を中心とした食べ物が最も多いのですが、そのほか乳幼児の身の回りにある物はすべて気道異物の原因になる可能性があります。安静時でも起きますが、これらを口の中に入れて泣いたり、笑ったりした時などに、異物が肺に至る喉頭や、気管と気管支からなる下気道内に進入してしまいます。
 異物誤吸入を起こしても症状に乏しくなかなか気付かれないものから、急激に呼吸が悪化し窒息となる場合もあり、さまざまな症状の出方をします。なかなか治らない喘息(ぜんそく)として治療されていて、検査してみて初めて異物誤吸入だとわかるといった長期の経過をたどるものもあります。
 一般的には、誤嚥直後に乳幼児が突然激しくむせ込んだり、激しいせきをします。この時点で異物を出すことも多いのですが、せきの力が弱い乳幼児では下気道内に進入してしまうことがあります。
 下気道内へ進入すると一時的に症状がなくなりますが、気道閉塞が起こるとヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)や、せき込み、呼吸困難の症状が現れてきます。ひどい場合は、窒息してしまうこともあります。
 ピーナッツ、枝豆などの豆類では豆類に含まれる油分が化学炎症を起こすため、数日以内に肺炎を発症します。その他のビニール、プラスチック、シール、プラモデルの部品、魚の小骨、ボールペンのキャップ、乳歯、たんの塊などの異物でも、長期間、下気道内にあると細菌感染を起こしやすくなります。
[喫茶店]異物誤吸入の検査と診断と治療
 小児科、耳鼻咽喉(いんこう)科、呼吸器科の医師による診断では、受診するまでの経緯や、持続する呼吸器症状から異物誤吸入を疑います。胸部聴診を行うと、空気が入りにくい部分の呼吸音の低下や左右差が認められることがあります。
 次に、胸のX線(レントゲン)検査を行い、異物がどこに詰まっているかを確認します。気道に入っているのか、食道に入っているのかは、側面の画像を撮るとわかることもあります。X線(レントゲン)検査で画像に映る物としては乳歯、ボタン型電池などの金属製製品があり、画像に映らない物としては食べ物、シールなどがあります。異物によって生じたX線(レントゲン)上の変化として、片側の肺が空気で膨らみすぎる過膨張や、肺がつぶれる無気肺などが認められることもあります。
 異物誤吸入が疑われた場合は、内視鏡検査で直接、異物の観察も行います。喉頭異物の場合、喉頭ファイバースコープを用います。下気道異物の場合、全身麻酔を施した上で硬性気管支鏡あるいは気管支ファイバースコープを使って観察します。
 小児科、耳鼻咽喉科、呼吸器科の医師による治療では、喉頭異物の場合、鉗子(かんし)で異物を摘出します。下気道異物の場合、全身麻酔をして硬性気管支鏡で異物を摘出しますが、異物が粉砕されてしまった場合は、異物を除去した後に気管内洗浄・吸引を行います。
 異物の摘出後は、喉頭・下気道粘膜の浮腫(ふしゅ)などを予防するためにステロイド剤やエピネフリン(アドレナリン)などの吸入や、点滴によるステロイド剤投与を行う場合があります。異物を吸入した後、時間が経過し炎症が起きている場合には、ステロイド剤、抗菌剤を投与した後に、気管支鏡で異物を摘出します。
 異物誤吸入の予防法としては、気道異物の原因としては豆類が大多数を占めるため、乳幼児にはこれらを与えないことが重要です。また、乳幼児は何でも口に入れてしまうものだという認識を持つことが重要です。日本人の3歳児の口の大きさから、38ミリ以下の物は誤嚥・誤飲の可能性があるといわれているので、このような大きさの物は日ごろから手の届かない所に置くということを、家庭内で習慣付けることも重要です。
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☐用語 胃軸捻転症 [用語(い)]





[喫茶店]胃が生理的な範囲を超えてねじれた状態
 胃軸捻転(いじくねんてん)症とは、胃が異常な回転や捻転によって、生理的な範囲を超えて病的にねじれた状態。比較的まれな疾患で、新生児や乳児に多く発症します。
 胃軸捻転症は、その特徴により分類されます。胃が回転や捻転する軸によって、長軸性胃軸捻転、短軸性胃軸捻転、混合型胃軸捻転に分類されます。長軸性胃軸捻転は、胃が食道につながる噴門と胃が十二指腸につながる幽門を結ぶ線を軸にして回転、捻転します。短軸性胃軸捻転は、胃の内側に小さく湾曲した部分である小湾と胃の大きく外側に膨らんで湾曲した部分である大湾を結ぶ線を軸にして回転、捻転します。混合型胃軸捻転は長軸性胃軸捻転と短軸性胃軸捻転が混じり合って回転、捻転します。
 また、発生した要因によって、特発性胃軸捻転と続発性胃軸捻転に分類され、発症の経過によって、急性胃軸捻転、慢性胃軸捻転、間欠性(反復性)胃軸捻転に分類されます。
 胃は靭帯(じんたい)、腸間膜(ちょうかんまく)、腹膜などによって固定されていますが、新生児や乳児ではこれらの組織による胃の固定が比較的弱いために容易に捻転を生じます。胃の位置が変わりやすい先天的な遊走脾(ひ)や横隔膜の疾患で胃軸捻転症になることもあります.
 成人の場合、約3分の2の発症者が何らかの疾患に伴って起こる続発性胃軸捻転であるとされています。原因となる疾患としては、横隔膜の筋層が委縮したり薄くなったりして横隔膜の緊張が低下した状態になる横隔膜弛緩(しかん)症や、胃の一部が横隔膜より上の胸部に脱出している状態になる食道裂孔ヘルニアが多く認められます。
 次いで、原因となる疾患がはっきりしない特発性胃軸捻転や、胃自体の疾患によるものが多いとされ、大腸のガスや胃下垂が影響したという報告もあります。その他、強い腹圧がかかった場合や、高齢者が過食した場合に発症したという報告があります。
 症状は、急性あるいは慢性の経過をたどりますが、捻転の種類や閉塞(へいそく)の程度によって異なります。
 急性の場合には、突然の嘔吐(おうと)、激しい腹痛、上腹部の膨満感を来します。特に、吐き物のない嘔吐、上腹部痛、鼻から胃に挿入して胃の内容物を吸引しようとする医療用の胃管挿入困難の3徴が、医師が診断をつける際に有用であるとされています。
 急速に生じた捻転の程度が180度を超えた場合には、完全閉塞となって循環障害を起こし、血液が流れないために胃壁の壊死(えし)、穿孔(せんこう)を合併して、ショック状態となることがあります。そのため、急性胃軸捻転では慢性胃軸捻転に比べて死亡率が高くなります。
 新生児や乳児では、急性胃軸捻転はまれで慢性胃軸捻転が多く、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹部の膨満などの症状がみられますが、無症状の場合もあります。また、食道裂孔ヘルニアに合併した場合には腹部の症状に乏しく、胸部痛、呼吸困難などの胸部の症状が主体になります。
 新生児や乳児にみられる慢性胃軸捻転は、胃前庭部が発育し、立って歩くようになる1歳をすぎると自然によくなるのが一般的です。
 痛みや嘔吐が激しい場合は、子供は小児科を、大人は内科もしくは外科をすぐに受診してください。
[喫茶店]胃軸捻転症の検査と診断と治療
 小児科、内科、外科の医師による診断では、問診、腹部単純X線(レントゲン)検査、腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査、胃X線(レントゲン)造影検査などを行います。
 問診では、痛みの状態や、嘔吐時の吐き物の量を確認します。腹部単純X線(レントゲン)検査では、捻転により空気の通過が障害されるため、著明に拡張した胃のガス像を認めます。
 腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査では、著明に拡張した胃のガス像を認めます。また、胃壁が壊死した場合には、門脈という血管の中にガス像が見られることがあります。
 胃に造影剤(バリウムなど)を流すことで形などの評価ができる胃X線(レントゲン)造影検査では、捻転した胃の形をとらえられることがあります。また、捻転のために造影剤の通過障害を認めることもあります。
 小児科、内科、外科の医師による治療では、急性の胃軸捻転症の場合は、手術治療が第一の選択肢となります。手術では胃の捻転を解除してから、胃を前方の腹壁に固定する治療方法などが行われます。近年では、腹腔(ふくくう)鏡による手術も行われるようになっています。この方法は、腹に数カ所の小さな穴を開け、そこから腹腔鏡というカメラや器具を挿入して行う手術です。より体への負担が少なく手術後の回復が早い方法であるとされています。
 慢性の胃軸捻転症や、間欠的に捻転が起こる場合では、手術ではなく保存的治療をまず行って改善を図ります。具体的には、胃管を挿入してたまったガスを抜き減圧する、上部消化管内視鏡(胃カメラ)で捻転を元にに戻すなどを行います。
 これら保存的治療で改善がみられない場合や、胃壁の壊死、穿孔が起きている場合などは、緊急手術を行うこととなります。胃壁が壊死している場合には、胃切除が必要な場合があります。高齢者の場合は、症状がはっきりしなかったり全身の状態が悪かったりするため、保存的治療が選択される場合もありますが、手術時期が遅れてしまうと致命的となる場合もあるため注意が必要です。
 胃軸捻転症の死亡率は15~30%とされており、予後の悪い疾患の一つです。続発性の胃軸捻転症の場合には、原因となった病気の治療も併せて必要となります。
 なお、新生児や乳児に起こる慢性の胃軸捻転症の場合であれば、一般的に1歳をすぎると自然に改善するとされており、幼児期になっても症状がよくならなかったり、捻転を繰り返したりする場合などは、手術が必要になることがあります。先天的な遊走脾や横隔膜の疾患に伴う胃軸捻転症では、それらに対する処置も必要になります。
 慢性型の場合は、横隔膜や胃自体に異常がなければ、多くは体位の工夫、食事を少量ずつ回数を多く摂取する、浣腸(かんちょう)による排便・排ガスの促進などの保存療法によって軽快します。
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☐用語 胃アニサキス症 [用語(い)]





[牡牛座]海産魚介類の生食によって引き起こされる寄生虫病
 胃アニサキス症とは、種々の海産魚介類の生食を介して、回虫類の一種であるアニサキスの幼虫が胃に寄生し、引き起こされる寄生虫病。アニサキスは1999年(平成11年)に、厚生労働省から食中毒原因物質に指定されています。
 アニサキス類の成虫はクジラやイルカ、アザラシなどの海産ほ乳動物を終宿主(しゅうしゅくしゅ)として、これらの動物の胃壁に寄生しています。虫卵は糞便(ふんべん)とともに海水中に放出され、海水中で第2期幼虫にまで発育し、捕食するオキアミなどの海産甲殻類を第1中間宿主として第3期幼虫に発育。
 幼虫を宿すオキアミなどが多くの種類の魚やイカに摂食されると、新しい第2中間宿主の体内で長さ2〜3センチの第3期幼虫のままとどまって寄生を続け、サバ、アジ、イカなどの生食を介して人体に入り、胃壁や腸壁にもぐり込み、胃アニサキス症や腸アニサキス症を発症させます。
 魚介類をすし、刺身で生食する習慣のある日本では、アニサキス症の発生は諸外国に比べて非常に多く、1年間に7000例に上るとみられます。
 よく発生する時期は12~3月の寒期で、7~9月の暖期は最も少ない傾向があります。これはアニサキス症の感染源となる魚の漁期に関係していて、北方海域ではタラ、オヒョウ、その他の海域ではサバ、イワシなどの漁獲期が寒期であることによります。アニサキス類の感染源となる魚介類は、150種以上に上っています。
 アニサキス類の幼虫が消化器系の粘膜から侵入した時に発症しますが、その症状の強さで激症型と軽症型、その症状が現れる部位から胃アニサキス症、腸アニサキス症、腸管外アニサキスに分けられます。
 胃アニサキス症は原因となる食品を摂取した後2時間から8時間で発症するものが多く、上腹部に締め付けられるような、差し込むような痛みが起きて持続し、吐き気、嘔吐(おうと)を伴う場合もあります。時に、アナフィラキシー症状を示し、下痢、じんましん、大量吐血をみることもあります。まれには、アナフィラキシーショック症状を示し、急激な呼吸困難や血圧低下など全身的な生死にかかわる症状に陥ることもあります。
 腸アニサキス症は原因となる食品の摂取後、数時間から数日して、へそを中心に差し込むような痛みが出現し、吐き気、嘔吐を伴います。発熱はありませんが、虫垂炎、腸閉塞(へいそく)、腸穿孔(せんこう)などと誤診され、急性腹症として開腹手術を受けることがあります。
 腸管外アニサキス症はまれにしか起こりませんが、アニサキス類の幼虫が消化管を貫通して、消化管以外の胸腔(きょうくう)、肺、腹腔、腸管膜、肝臓、リンパ節、皮下など体内のあらゆる部位に入り込んで、種々の症状を起こします。ほかの疾患の処置に当たって、偶然に虫体が発見されることもあります。
 胃アニサキス症の症状が現れ、海産魚介類の生食をしたことが明らかであれば、消化器内科専門の医院か消化器内科の医師のいるような総合病院を受診します。重症になりアナフィラキシーショック症状を示すと、緊急を要するほかの疾患とすぐには区別できないため、内視鏡専門医と消化器外科医のいる総合病院を受診します。
[牡羊座]胃アニサキス症の検査と診断と治療
 内科、消化器科などの医師による診断では、海産魚介類の摂取後に起きた腹痛ということがポイントとなります。胃アニサキス症では、胃内視鏡検査でアニサキス類の幼虫を確認することで容易に判断できます。多くの場合、幼虫が粘膜に刺入した盛り上がりが確認できます。
 腸アニサキス症では、内視鏡で幼虫を見付けるのは困難なため、X線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査で小腸を調べます。幼虫が胸腔や腹腔、さらにほかの臓器に入り込む腸管外アニサキス症では、抗体検査を行います。
 内科、消化器科などの医師による治療としては、胃アニサキス症であれば、上部消化管内視鏡でアニサキス類の幼虫を確認して、つまみ出します。長さ2~3センチ、幅0・5~1ミリくらいで、白い糸のように見える幼虫をつまみ出した瞬間、うそのように痛みが消えます。
 もっとも、好適宿主ではない人体中ではアニサキス類は1週間程度で死んでしまうので、幼虫を摘出できなくても、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤を投与する対症療法によって症状は軽快し、予後は良好です。
 腸アニサキス症では、腸閉塞の症状を示さない状態の時、対症療法を行いながら幼虫が死亡、吸収されることによって症状が緩和するのを待ちます。腸管外アニサキス症では、メベンダゾールなどの駆虫剤を内服しますが、現在のところ、効果的な駆虫剤は開発されていません。
 胃アニサキス症はたとえ幼虫1匹の感染であっても起きる可能性があり、個人レベルでの予防は海産魚介類の生食を避けることに尽きます。酢で締めたり、しょうゆを付けたりしても予防効果はありません。
 ただし、生食に当たって冷凍処理後に解凍して調理されたものであれば、問題はありません。70 度での十分な熱処理のみならず、零下20度で24時間以上の冷凍処理を施せば、アニサキス類の幼虫のほとんどが不活性化するからです。
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☐用語 アンジェルマン症候群 [用語(あ)]





[バー]主に神経系に関係した症状を示す遺伝子疾患
 アンジェルマン症候群とは、主に神経系に関係した症状を示す遺伝子疾患の一つ。1965年に、イギリスの医師ハリー・アンジェルマン博士が初めて報告しました。
 重度の発達遅延、精神遅滞、発語障害、てんかん、失調歩行など知覚、運動をつかさどる神経系に関係した症状を示すほか、頻繁に声を立てて笑ったり、ほほ笑んだりし、とても幸せそうな様子を示すことも特徴の一つに挙げることができます。
 アンジェルマン症候群は、小児慢性特定疾患ならびに難病指定を受けています。日本における発症率は1万5000人に1人であり、500〜3000人ほどの患者がいることが報告されています。てんかんのコントロールを行うことが、長期的な予後を決定する上で重要になります。
 アンジェルマン症候群の原因は、UBE3Aと呼ばれる遺伝子異常であると報告されています。
 人間の体は、父親と母親からもらった遺伝子情報に基づいて作られます。遺伝子情報は、染色体という生体物質が担っています。一般の細胞の核には、1番から22番までの一対の常染色体が44本、それにXまたはYの性染色体の2本が加わって、合計46本の染色体がセットになって存在します。半数の23本ずつを父親と母親から継承しています。
 合計46本の染色体のうち、15番目の常染色体に位置するUBE3A遺伝子についても、両親から受け継いだ一対の遺伝子が存在するのですが、脳の一部においては母親由来のUBE3A遺伝子のみが働くように制限されています。このことを「インプリンティング」と呼び、正常な脳の活動でみられる現象です。
 しかし、何かしらの原因を切っ掛けとして、母親由来のUBE3A遺伝子が働きを失ってしまうと、アンジェルマン症候群が発症します。70%ほどの発症者においては、母親由来のUBE3A遺伝子が「欠失」と呼ばれる形で失われています。10%ほどの発症者においては、母親由来のUBE3A遺伝子に「変異」が生じており、UBE3A遺伝子が正常な機能を果たすことができなくなっています。
 さらに一部の発症者においては、UBE3A遺伝子が父親のみから遺伝を受けており、その結果、正常な細胞活動に必要な母親由来のUBE3A遺伝子が全く失われています。この現象のことを、「片親性ダイソミー」と呼びます。
 残りは、インプリンティングを調節する別の遺伝子に変異がある場合や、ほかの常染色体の一部分が15番目の常染色に間違ってくっ付いている染色体転座などが含まれます。UBE3A遺伝子の欠失と片親性ダイソミーに関連したアンジェルマン症候群では、遺伝性はありません。一方、インプリンティングやUBE3A遺伝子の変異に関連したアンジェルマン症候群は、遺伝性があると考えられています。
 アンジェルマン症候群では、髪の毛の色が薄くなったり、肌が白くなったりする症状をみることもあります。これらの特徴は、UBE3A遺伝子と同様に15番目の常染色体に位置するOCA2遺伝子の異常と関連していると考えられています。UBE3A遺伝子が欠失を起こすと、近傍に位置するCA2遺伝子も同時に障害を受けることになります。
 アンジェルマン症候群の特徴は、知覚、運動をつかさどる神経系に関連した症状を示すことで、重度の発達の遅れ、自分からの発語がないなどが特徴です。また、体のバランス機能にも障害が生じており、手足の震えや失調性歩行もみられます。失調性歩行では、上手に直立歩行ができずに、手でバランスを取りながら歩行します。
 頭が小さい小頭症、下顎(したあご)がとがり、口が大きい特徴的な顔貌(がんぼう)を有し、うれしい時に手を羽ばたかせたり、特に誘因もなく頻繁に声を立てて笑ったり、ほほ笑んだり、幸せそうな様子を示す行動異常もみられます。
 興奮のしやすさや多動傾向、集中力の短さもあります。水に魅了されることもよくみる症状です。睡眠時間も短く、長時間睡眠を取ることが難しくなります。3歳ごろになると、てんかんによるけいれん発作をみるようになることも多くなります。けいれん発作は難知性であることもあり、生涯続きます。
 発育遅滞を初めて認めるのは生後6カ月ころですが、アンジェルマン症候群に特有の症状は1歳をすぎるまで顕在化せず、正確な診断に至るまでに数年を要することもあります。
[バー]アンジェルマン症候群の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断は、症状の診察と遺伝子診断を組み合わせて行います。多くの場合は、UBE3A遺伝子が「欠失」していることから、アンジェルマン症候群が発症していると確定できます。欠失はFISH法と呼ばれる方法で検出することが可能です。「片親性ダイソミー」関連のアンジェルマン症候群については、メチル化テストと呼ばれる方法で検出することが可能です。
 UBE3A遺伝子の「変異」については、こうした検査で検出することはできず、症状の特徴から判断することになります。てんかんのけいれん発作の診断やコントロールに際しては、脳波検査を行います。
 小児科の医師による治療は、根本的な治療法がないため、さまざまな症状に対する対症療法を行います。てんかんのけいれん発作に対しては、一般的に使用可能な抗てんかん薬を適宜使用してコントロールを図ります。
 睡眠障害に対しては、睡眠薬、鎮静薬を使用することもあります。自分からの発語がないことに対しては、言語理解は良好であるため、非言語的なコミュニケーション手段に重点を置いた言語療法を行います。興奮のしやすさや多動傾向に対しては、時に精神刺激薬を使用することもあります。失調性歩行に対しては、理学療法、装具が役に立つことがああります。
 以上のような対応をしつつ、学校生活から社会生活を送る上で対応できるような、包括的な治療体制を敷くことが重要になります。
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☐用語 遺伝性出血性末梢血管拡張症 [用語(い)]





[バー]全身の各種臓器に生じた異常血管からの出血をみる遺伝性疾患疾患
 遺伝性出血性末梢(まっしょう)血管拡張症とは、全身の各種臓器に異常血管が生じる結果、異常血管からの出血をみる疾患。遺伝性出血性毛細血管拡張症、オスラー病、ランデュ・オスラー・ウェバー病とも呼ばれ、難病指定を受けている遺伝性疾患です。
 フランスの内科医H・ランデュ、アメリカの内科医W・オスラー、イギリスの内科医F・ウェバーの3人が 、1901年に初めて報告しました。
 遺伝性出血性末梢血管拡張症で認める出血は鼻血程度のこともありますが、肺や脳、消化管、肝臓などの臓器に生じる重篤な出血であることもあります。遺伝性出血性末梢血管拡張症の症状は軽微なものから重篤なものまで幅広く、特に鼻血は一般の健康な人にもよく見られる症状であるため、遺伝性出血性末梢血管拡張症の頻度を正確に決定することは必ずしも容易ではありません。日本における発症頻度は5000人から1万人に1人と推定されており、国内に1万人から1万5000人ほどの発症者がいるのではないかと報告されています。
 また、現状では、遺伝性出血性末梢血管拡張症の発症に男女差は認められておらず、発症者の男女比はだいたい半々くらいであるといわれています。
 遺伝性出血性末梢血管拡張症には代表的な3つの遺伝子異常が関与していることが知られており、具体的にはACVRL1(ALK1)、ENG(Endoglin)、SMAD4と呼ばれる遺伝子です。遺伝性出血性末梢血管拡張症はいくつかのタイプに分類されますが、異常血管が生じやすい部位や発症様式はこれら遺伝子異常の出方の違いにより説明される部分もあります。
 これらの遺伝子は、正常な血管を構築するのに重要な遺伝子であると考えられています。そのため、ACVRL1(ALK1)、ENG(Endoglin)、SMAD4といった遺伝子に異常が生じると、正常な血管の構築がなされなくなり、異常血管が各種臓器に生じることになります。なお、ここで挙げた3つの遺伝子異常以外の関与も疑われています。
 正常な血管は、動脈、毛細血管、静脈の順につながっています。動脈には高い圧力がかかりますが、毛細血管を血液が流れる間に血圧は徐々に低下し、静脈の圧力は動脈に比べて非常に低くなります。しかし、遺伝性出血性末梢血管拡張症では毛細血管の構築が不十分なこともあり、動脈の高い圧力がダイレクトに静脈に伝わるようになります。その結果、皮膚の静脈が拡張したり、肺や脳、消化管、肝臓などに存在する静脈から出血を来したりするようになります。
 遺伝性出血性末梢血管拡張症は、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式を取ります。両親いずれかが疾患を発症していると、その子供が病気を発症する確率は理論上50%で、常染色体優性遺伝をする疾患では最も高頻度であるといわれています。
 遺伝性出血性末梢血管拡張症で最も多い症状は鼻出血であり、80~90%の発症者で認めるといわれています。軽い外傷でも出血し、多くの遺伝性出血性末梢血管拡張症は思春期の鼻出血として始まります。遺伝性の疾患というと、生まれた時から発症していることをメージする人もいるかもしれませんが、乳幼児や小児の時期に遺伝性出血性末梢血管拡張症を発症する人は非常に少ないといわれています。
 静脈に高い圧力がかかるとそのぶん血管が拡張するため、拡張した血管が顔面、耳たぶ、口唇、手指背などの皮膚や舌、口腔(こうくう)粘膜、鼻腔粘膜などに認めることもあります。肺や脳、脊髄(せきずい)、消化管、肝臓などにも、異常血管を認めることがあります。
 異常血管は容易に出血を来すことがあり、各種臓器からの出血が生じます。出血量が多い場合には、鉄欠乏性貧血が進行します。肺の出血では喀血(かっけつ)や呼吸不全、脳の出血では頭痛やけいれん、まひなどの症状が出現します。
 遺伝性出血性末梢血管拡張症では毛細血管がうまく構築されておらず、静脈と動脈が直接つながる動静脈瘻(ろう)と呼ばれる血管奇形を伴います。動静脈瘻が存在すると、心臓に対しての負担が大きくなり、心不全を生じることもあります。特に肝臓に大きな動静脈瘻がある場合は、心不全を生じるリスクが高まります。
 また、肺に動静脈瘻があると、体内に入り込んだ細菌が肺でろ過されることなく全身の各種臓器に広がってしまうリスクが高まります。その結果、脳膿瘍(のうよう)といった重篤な感染症を引き起こすこともあります。 
[バー]遺伝性出血性末梢血管拡張症の検査と診断と治療
 内科、耳鼻咽喉(いんこう)科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、脳血管内治療科などの医師による診断では、全身の各種臓器で形成されている異常血管を確認します。
 肺や肝臓であれば、CT(コンピュータ断層撮影)検査や超音波(エコー)検査を行います。また、脳や脊髄に存在する異常血管を確認するためには、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。そのほか、消化管に形成された異常血管は、内視鏡を用いて確認することになります。
 これら異常血管の確認に加えて、鼻血を繰り返す、皮膚や口腔内に拡張血管を見る、家族に同様の疾患を持つ人がいるなどの項目を基にしながら、最終的な診断を行います。
 内科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、脳血管内治療科などの医師による治療では、各種臓器に生じている異常血管に対しての処置を行います。
 鼻出血に対しては、出血が生じるたびに血管収縮薬、止血薬を含ませたガーゼによる圧迫止血や軟こう治療などを行うことがあります。これらで不十分な場合においては、凝固療法、レーザー治療、粘膜置換法、鼻腔閉鎖術などを行います。
 各臓器における異常血管に対しては、肺の場合は大きさに応じて血管塞栓(そくせん)術が第一に選択されます。肺の動静脈瘻では、脳膿瘍などの感染症を合併するリスクが伴うため、歯科治療など細菌が体内に入り込みやすい穿刺(せんし)、切開を受ける際には、予防的な抗生物質の内服が推奨されます。
 脳の異常血管については、外科的治療、血管内治療、放射線を組み合わせた治療方法が検討されます。脳の異常血管に伴いてんかんを発症することもあるため、抗てんかん剤が使用されることもあります。
 消化管の異常血管に対しては、内視鏡的にレーザーなどを用いた治療を行います。異常血管からの出血が強く鉄欠乏性貧血を生じるような場合は、鉄剤の投与や輸血も検討されます。
 血管塞栓術やレーザー治療などにより、遺伝性出血性末梢血管拡張症の多くの血管病変が治療可能になってきています。重症な血管破裂、脳膿瘍、敗血症などの合併症が併発しなければ、予後は比較的良好であり、普通の人と同じ生活が送ることができます。
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☐用語 オスラー病 [用語(お)]





[喫茶店]全身の各種臓器に生じた異常血管からの出血をみる疾患
 オスラー病とは、全身の各種臓器に異常血管が生じる結果、異常血管からの出血をみる疾患。遺伝性出血性末梢(まっしょう)血管拡張症、遺伝性出血性毛細血管拡張症、ランデュ・オスラー・ウェバー病とも呼ばれ、難病指定を受けている遺伝性疾患です。
 フランスの内科医H・ランデュ、アメリカの内科医W・オスラー、イギリスの内科医F・ウェバーの3人が 、1901年に初めて報告しました。
 オスラー病で認める出血は鼻血程度のこともありますが、肺や脳、消化管、肝臓などの臓器に生じる重篤な出血であることもあります。オスラー病の症状は軽微なものから重篤なものまで幅広く、特に鼻血は一般の健康な人にもよく見られる症状であるため、オスラー病の頻度を正確に決定することは必ずしも容易ではありません。日本における発症頻度は5000人から1万人に1人と推定されており、国内に1万人から1万5000人ほどの発症者がいるのではないかと報告されています。
 オスラー病には代表的な3つの遺伝子異常が関与していることが知られており、具体的にはACVRL1(ALK1)、ENG(Endoglin)、SMAD4と呼ばれる遺伝子です。オスラー病はいくつかのタイプに分類されますが、異常血管が生じやすい部位や発症様式はこれら遺伝子異常の出方の違いにより説明される部分もあります。
 これらの遺伝子は、正常な血管を構築するのに重要な遺伝子であると考えられています。そのため、ACVRL1(ALK1)、ENG(Endoglin)、SMAD4といった遺伝子に異常が生じると、正常な血管の構築がなされなくなり、異常血管が各種臓器に生じることになります。なお、ここで挙げた3つの遺伝子異常以外の関与も疑われています。
 正常な血管は、動脈、毛細血管、静脈の順につながっています。動脈には高い圧力がかかりますが、毛細血管を血液が流れる間に血圧は徐々に低下し、静脈の圧力は動脈に比べて非常に低くなります。しかし、オスラー病では毛細血管の構築が不十分なこともあり、動脈の高い圧力がダイレクトに静脈に伝わるようになります。その結果、皮膚の静脈が拡張したり、肺や脳、消化管、肝臓などに存在する静脈から出血を来したりするようになります。
 オスラー病は、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式を取ります。この遺伝形式は、両親いずれかが疾患を発症していると、その子供も病気を発症する確率は理論上50%です。常染色体優性遺伝をする疾患では最も高頻度であるといわれており、オスラー病の別名である遺伝性出血性末梢血管拡張症は、以上のような特徴を包括したものです。
 オスラー病で最も多い症状は鼻出血であり、80~90%の発症者で認めるといわれています。軽い外傷でも出血し、多くのオスラー病は思春期の鼻出血として始まります。
 静脈に高い圧力がかかるとそのぶん血管が拡張するため、拡張した血管が顔面、耳たぶ、口唇、手指背などの皮膚や舌、口腔(こうくう)粘膜、鼻腔粘膜などに認めることもあります。肺や脳、脊髄(せきずい)、消化管、肝臓などにも、異常血管を認めることがあります。
 異常血管は容易に出血を来すことがあり、各種臓器からの出血が生じます。出血量が多い場合には、鉄欠乏性貧血が進行します。肺の出血では喀血(かっけつ)や呼吸不全、脳の出血では頭痛やけいれん、まひなどの症状が出現します。
 オスラー病では毛細血管がうまく構築されておらず、静脈と動脈が直接つながる動静脈瘻(ろう)と呼ばれる血管奇形を伴います。動静脈瘻が存在すると、心臓に対しての負担が大きくなり、心不全を生じることもあります。特に肝臓に大きな動静脈瘻がある場合は、心不全を生じるリスクが高まります。また、肺に動静脈瘻があると、体内に入り込んだ細菌が肺でろ過されることなく全身の各種臓器に広がってしまうリスクが高まります。その結果、脳膿瘍(のうよう)といった重篤な感染症を引き起こすこともあります。 
[喫茶店]オスラー病の検査と診断と治療
 内科、耳鼻咽喉(いんこう)科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、脳血管内治療科などの医師による診断では、全身の各種臓器で形成されている異常血管を確認します。
 肺や肝臓であれば、CT(コンピュータ断層撮影)検査や超音波(エコー)検査を行います。また、脳や脊髄に存在する異常血管を確認するためには、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。そのほか、消化管に形成された異常血管は、内視鏡を用いて確認することになります。
 これら異常血管の確認に加えて、鼻血を繰り返す、皮膚や口腔内に拡張血管を見る、家族に同様の疾患を持つ人がいるなどの項目を基にしながら、最終的な診断を行います。
 内科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、呼吸器外科、脳神経外科、脳血管内治療科などの医師による治療では、各種臓器に生じている異常血管に対しての処置を行います。
 鼻出血に対しては、出血が生じるたびに血管収縮薬、止血薬を含ませたガーゼによる圧迫止血や軟こう治療などを行うことがあります。これらで不十分な場合においては、凝固療法、レーザー治療、粘膜置換法、鼻腔閉鎖術などを行います。
 各臓器における異常血管に対しては、肺の場合は大きさに応じて血管塞栓(そくせん)術が第一に選択されます。肺の動静脈瘻では、脳膿瘍などの感染症を合併するリスクが伴うため、歯科治療など細菌が体内に入り込みやすい穿刺(せんし)、切開を受ける際には、予防的な抗生物質の内服が推奨されます。
 脳の異常血管については、外科的治療、血管内治療、放射線を組み合わせた治療方法が検討されます。脳の異常血管に伴いてんかんを発症することもあるため、抗てんかん剤が使用されることもあります。
 消化管の異常血管に対しては、内視鏡的にレーザーなどを用いた治療を行います。異常血管からの出血が強く鉄欠乏性貧血を生じるような場合は、鉄剤の投与や輸血も検討されます。
 血管塞栓術やレーザー治療などにより、オスラー病の多くの血管病変が治療可能になってきています。重症な血管破裂、脳膿瘍、敗血症などの合併症が併発しなければ、予後は比較的良好であり、普通の人と同じ生活が送ることができます。
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☐用語 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 [用語(あ)]





[位置情報]大気中に浮遊する真菌の一種に対してアレルギーを起こすことから発症
 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは、アスペルギルスという大気中に浮遊する真菌(かび)に対してアレルギーを起こすことから発症する疾患。気管支喘息(ぜんそく)を基礎疾患に持つ人において発症することが多い疾患で、慢性的な咳(せき)や喘鳴、息苦しさなどの症状が生じます。
 アスペルギルスは糸状真菌の一種で、多くは自然界に広く分布し、200以上の種類が知られています。堆肥(たいひ)、断熱材、エアコンまたはヒーターの吹き出し口、手術病棟および病室、病院の備品、浮遊粉塵(ふんじん)などに高頻度に分布していますが、人に疾患を起こすのは、アスペルギルス・フミガータス、アスペルギルス・フレーバス、アスペルギルス・ナイジャーなど数種類に限られています。
 この環境中に広く生息するアスペルギルスは、特殊な状況を除き、人に対して大きな健康被害をもたらすことはありません。しかし、アスペルギルス・フミガータスなどに対してアレルギー反応を起こす人がおり、このことを原因として発症する疾患がアレルギー性気管支肺アスペルギルス症になります。
 気管支喘息を基礎疾患に持つ人がアスペルギルス・フミガータスなどを吸い込むと、気管支と肺が過敏に反応して発症することが知られているほか、先天性疾患の一つである嚢胞(のうほう)性線維症と呼ばれる疾患を持つ人も発症するリスクが高いことが知られています。
 なお、アスペルギルスと関連した疾患としては、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症以外にも、慢性肺アスペルギルス症、侵襲性肺アスペルギルス症もあります。
 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を発症すると、気管支喘息の際にみられるような慢性的な咳、呼吸のたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などといった音を伴う喘鳴、息苦しさなどの症状が現れます。また、痰(たん)に血液が混じることもあります。気道系に関連した症状以外にも、発熱や食欲不振、頭痛、全身倦怠(けんたい)感、胸痛なども生じることがあります。
 病状が進行すると、肺の組織が徐々に破壊されて、肺線維症や気管支拡張症と呼ばれる不可逆的な病変を来すことがあります。
 呼吸器症状に気付いたら、呼吸器疾患専門医のいる病院を受診します。
[位置情報]アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の検査と診断と治療
 呼吸器科ないしアレルギー科の医師による診断では、喘息症状からアレルギー性気管支肺アスペルギルス症を疑い、血液検査、皮膚反応、胸部X線(レントゲン)検査、胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査、喀痰(かくたん)検査などを行います。
 血液検査では、アスペルギルスに対してアレルギー反応を起こしていることを確認するために、アスペルギルスに対しての抗体が体内に存在していないか、アレルギーを思わせる好酸球やIgE抗体の増加がないかなどを確認します。アスペルギルスの抗原を直接皮膚に接種し、どのような反応を示すかを観察することもあります。ほとんどの場合、アスペルギルスに対する即時型皮膚反応が陽性です。
 胸部X線検査では、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の場合、異常な影の存在を画像にて指摘できます。また、異常な影は時間経過とともに移動することも特徴的です。症状が類似する気管支喘息では、このような変化が見られることはなく、両者の鑑別に有益です。胸部CT検査では、気管支の内側に痰が詰まったり、気管支が拡張した変化が画像にて認められることがあります。
 喀痰検査では、痰が黄色くドロッとした性状であるのが特徴的で、気管支喘息のみでは見られない性状を示します。
 呼吸器科、アレルギー科の医師による治療では、通常の気管支喘息の治療に加えて、アレルギー反応を抑えることを目的としたステロイド剤の内服治療を行います。
 治療が遅れたり不十分であったりすると、肺に線維化といわれる変化や気管支拡張を来たして元に戻らなくなることがあります。その場合、呼吸不全になり酸素療法や呼吸リハビリテーションが必要となることがあります。
 ステロイド剤の内服治療は長期間続ける必要がありますが、症状が改善したり、画像検査で認められる一過性、移動性もしくは固定性の影が改善すれば、徐々に減量していきます。ステロイド剤には多くの副作用があるため、副作用を予防するための治療薬も併用しながら、適正容量を決定して治療を行います。治療の効果が不十分な場合は、真菌の増殖を阻止する抗真菌剤を併用することもあります。
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☐用語 悪性末梢神経鞘腫瘍 [用語(あ)]





[喫茶店]体幹や四肢など体中の末梢神経から発生する悪性腫瘍
 悪性末梢神経鞘腫瘍(あくせいまっしょうしんけいしょうしゅよう)とは、体幹や四肢などを中心に体中あらゆる部位の末梢神経から発生する悪性腫瘍。
 腫瘍が発生した部位に、しこりを触れることがあり、このしこりは時間経過とともに大きくなり、より腫瘍としてはっきりと認識されるようになります。また、腫瘍が神経を障害するために病変部位が痛んだり、しびれたりし、運動障害や感覚障害が生じたりすることもあります。高度の悪性腫瘍であり、しこりが5センチ以上の場合は生命予後が悪いとされています。
 進行すると、病変が最初に発生した部位から、血液やリンパ液の流れに乗って肺や頭蓋内など他の臓器に移ることがあり、この現象を転移といいます。最も転移しやすい臓器は肺であり、大きくなってくると咳(せき)や呼吸困難、胸の痛み、血痰(けったん)などの症状が出現します。悪性度が高く、生命予後は悪化します。
 この悪性末梢神経鞘腫瘍は、神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)と呼ばれる疾患に罹患していると、発症リスクが高くなります。その神経線維腫症1型は遺伝子異常により発症し、遺伝子異常を基盤として神経細胞が異常増殖を来すと、悪性末梢神経鞘腫瘍が生じることがあります。
 また、悪性末梢神経鞘腫瘍は、こうした基礎疾患がない状況でも生じることがあります。
 完全な発症原因は明らかにされていませんが、TP53と呼ばれる遺伝子異常を基盤として発症することも推定されています。そのほか、放射線の影響も考えられており、良性の神経鞘腫を放射線治療したことによって悪性化して生じることもあります。
 悪性末梢神経鞘腫瘍は、30〜40歳代にかけて生じることが多いのですが、神経線維腫症1型が関係している場合はやや若い年齢層に生じます。
 この疾患が疑われる時には、がんセンターや専門の大学病院での治療が必要です。
[喫茶店]悪性末梢神経鞘腫瘍の検査と診断と治療
 整形外科、神経内科の医師による診断では、病変部位における変化を詳細に評価するために、超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、PETーCT検査といった画像検査を行います。
 また、病理検査を行い、悪性末梢神経鞘腫瘍に特徴的な組織変化を観察します。病理検査とは、病変部位から組織を一部採取し、顕微鏡で詳細に観察する検査です。
 神経線維腫症1型に罹患していると悪性末梢神経鞘腫瘍を発生することがあり、基本的には良性腫瘍のしこりが今までと違って急に大きくなってきた時は、悪性末梢神経鞘腫瘍を疑います。
 整形外科、神経内科の医師による治療では、手術により腫瘍を完全に摘出することを第一の目標とします。病変の広がりに応じて、放射線療法や化学療法が選択されることもありますが、必ずしも効果は十分ではありません。
 腫瘍を放置すると巨大になり、また肺などに転移しますので、手足を動かす神経の機能を犠牲にしても腫瘍を取り切り、予後が極めて不良となる再発を少なくするようにします。頭皮など浅い部分から表面に盛り上がっている腫瘍は完全に摘出できて治ることがあります。しかし、大きな腫瘍では周囲の軟部組織、神経組織を巻き込んで浸潤していますので、完全に摘出することは不可能となります。
 悪性末梢神経鞘腫瘍の5年生存率はおよそ50%前後で、現在でも治療の難しい疾患の一つです。
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☐用語 悪性線維性組織球腫 [用語(あ)]





[喫茶店]軟部組織と骨から発生する悪性腫瘍
 悪性線維性組織球腫(しゅ)とは、軟部組織と骨から発生する悪性腫瘍(しゅよう)。最初は軟部組織に発生する腫瘍(しゅよう)として、この疾患名がつけられたのですが、その後、骨にも発生することが明らかとなり、骨の疾患としても悪性線維性組織球腫という腫瘍名がつけられています。
 骨のがんである原発性悪性骨肉腫の中では、骨肉腫や軟骨肉腫、ユーイング肉腫の頻度が高く、悪性線維性組織球腫はそれらに比べると頻度が低くまれな疾患です。20歳代後半から発症頻度が増えてくることが知られていますが、比較的に高い年齢層によくみられる疾患で、50歳代に最も多く、以下40歳代、60歳代の順になっています。
 発症の原因は明らかではありませんが、一部の発病者では遺伝子異常の関与も指摘されています。例えば、RB1遺伝子と呼ばれる遺伝子に生まれ付きの異常を有する人は、網膜芽細胞腫、平滑筋肉腫などと同様に、悪性線維性組織球腫を発症するリスクが高まることが知られています。
 そのほかにも、治療で用いられた放射線の影響によって、悪性線維性組織球腫が発生することもあります。
 軟部組織で発生しやすい部位は、手足、特に大腿(だいたい)部で、腹部臓器の周りである後腹膜や骨盤の周りなど体幹部にも発生します。多くは筋肉の中、あるいは筋肉と筋肉の間の筋間など体の深い部位に発生し、皮膚と筋肉の間の皮下組織といわれる体の表面に近い部位にも発生します。肺など体のほかの部位に転移することもあり、咳(せき)や呼吸困難などの呼吸器症状が出現する可能性もあります。
 骨で発生しやすい部位は、大腿骨、上腕骨、脛(けい)骨などの長管骨と、骨盤。初期には、骨や関節がはれたり、その部位に痛みを感じたりすることがありますが、はれは数週間から数カ月の間に一気に大きくなるケースが多くみられます。また、骨が非常にもろくなって、本来では骨折を来さないほどの力が加わるだけで骨折を起こすこともあります。
 この疾患が疑われる時には、がんセンターや大学病院など専門の施設での治療が必要です。
[喫茶店]悪性線維性組織球腫の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、骨や関節にはれや痛みが出現した際には、X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、骨シンチグラム検査(アイソトープ検査)などの画像検査を行い、腫瘍の有無を確認します。悪性腫瘍が疑われる際には、組織の一部を採取して顕微鏡でその性状を調べる病理検査(生検9を行います。
 同じような症状を引き起こす悪性腫瘍として骨肉腫や軟骨肉腫などさまざまなものがあるため、病理検査による鑑別診断は必須です。
 悪性線維性組織球腫は、肺を中心に全身に転移する可能性があるため、全身への病気の広がりを評価するためにPETーCT検査などを行います。疾患の広がり具合に応じて、治療方針を決定します。
 整形外科の医師による治療では、手術による腫瘍の切除が中心になります。良好な治療成績を得るためには、病変部位を完全に切除することが重要となります。非常に急速に増殖するため、大規模な手術となることも少なくありません。また、手足に再発した場合には、罹患した腕や脚を切断することも考慮されます。
 なお、進行の程度によっては、化学療法や放射線療法といった治療が行われることもあります。疾患が見付かった時には、悪性の細胞が体中に広がっている可能性を考えて、全身に抗がん剤を投与する機会が増えています。しかし、発病者が高齢であるなど、抗がん剤の副作用が強く出てしまうことが予想される場合は、切除手術のみで様子をみることになります。
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☐用語 オクロノーシス [用語(お)]





[喫茶店]軟骨組織、線維組織に黒色の色素が沈着する病態
 オクロノーシスとは、黒尿(こくにょう)症とも呼ばれるアルカプトン尿症の発病者にみられる病態で、軟骨組織、線維組織に黒色の色素が沈着する症状。組織黒変症とも呼ばれます。
 黒尿症とも呼ばれるアルカプトン尿症は、生まれ立ての新生児の汗や尿中にホモゲンチジン酸(アルカプトン)が排出され、放置すると酸素と反応して黒変する疾患で、先天性アミノ酸代謝異常症の一つです。
 ホモゲンチジン酸酸化酵素(ホモゲンチジン酸ジオキシゲナーゼ)の欠損によるまれな疾患で、常染色体劣性遺伝の形を取ります。発症頻度は、新生児300万人~500万人に1人。
 ホモゲンチジン酸酸化酵素は、必須(ひっす)アミノ酸の一つであるフェニルアラニンや、非必須アミノ酸の一つであるチロシンの中間代謝物であるホモゲンチジン酸を分解して、アセト酢酸やフマル酸を生じます。この肝臓や腎(じん)臓などの臓器にある触媒酵素が欠損すると、ホモゲンチジン酸の重合体がそのまま汗や尿中に排出されます。
 放置すると自然酸化によって汗や尿が黒色を示すのが特徴で、新生児のおむつが黒色に変化していることで、アルカプトン尿症に気付くこともあります。
 また、ホモゲンチジン酸が軟骨組織やその他の結合組織に長期にわたって沈着することで、成人以降にオクロノーシスや関節症を起こします。
 オクロノーシスは組織黒変症とも呼ばれ、30歳以降に現れ始めて、30歳代後半から40歳代に多くみられます。ホモゲンチジン酸の重合体が結合組織に沈着した場合に現れ、初めは目や耳に灰色がかった青い色素の沈着が認められ、年齢が進むと全身の軟骨組織、線維組織に黒色の色素の沈着が及びます。
 関節症は、20歳代から現れます。ホモゲンチジン酸の重合体が関節軟骨組織の構成成分である膠原(こうげん)線維に黒く沈着すると、軟骨は正常の弾力を失い、もろい細片となって、関節の退行変性が進行します。関節の滑膜に、この色素を含む軟骨片が沈着して腫瘤(しゅりゅう)を作ることもあります。
 30歳代には、脊椎(せきつい)関節の運動制限、時に痛みが現れます。次いで、膝(ひざ)、肩、股関節(こかんせつ)など全身の大きな関節が侵されます。重篤で病期が長い場合には、脊椎が強直化して、寝たきりの生活を余儀なくされる場合もあります。
 その他の症状として、大動脈弁や僧帽弁の石灰化や閉鎖不全、大動脈拡張、腎臓結石、前立腺(ぜんりつせん)結石が生じることもあります。
 オクロノーシスは、中年期以後に関節症あるいは脊椎症を呈して病院を受診し、偶然に発見されることが多くなっています.
[喫茶店]オクロノーシスの検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、尿検査を行い、尿中のホモゲンチジン酸(アルカプトン)が高値であることから、アルカプトン尿症と確定します。発病者のホモゲンチジン酸の1日排出量は、通常1~8グラムとなります。
 整形外科の医師による成人以降に起こるオクロノーシスや関節症の診断では、X線(レントゲン)検査を行い、関節軟骨の黒色化、脊椎や腰椎、膝関節などの石灰化が認められれば確定できます。肝臓や腎臓の一部を切り取って、顕微鏡で組織検査をする生検を行い、ホモゲンチジン酸酸化酵素の欠損を証明することもあります。
 循環器科、外科、泌尿器科などの医師による心臓の合併症、泌尿器の合併症の診断では、X線(レントゲン)検査、心エコー検査、超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、大動脈弁や僧帽弁の石灰化や閉鎖不全、大動脈拡張、腎臓結石、前立腺結石が認められば確定できます。
 小児科の医師による治療は、残念ながらアルカプトン尿症の有効な治療法が見付かっていないため、色素の沈着を抑えると考えられているビタミンCを投与します。フェニルアラニン制限食、低チロシン食を摂取する治療法もありますが、長期間厳格に実施することはむしろ危険とされます。
 整形外科の医師によるオクロノーシスや関節症の治療では、アルカプトン尿症の若年患者に対して関節症の重症化を避けるため、脊椎や大きな関節に負担となる重労働や衝撃の大きいスポーツなどを回避することを勧めます。関節症による運動制限に対して、外科的な切除術、人工関節置換術を行うこともあります。
 循環器科、外科、泌尿器科などの医師による治療では、外科的処置が行われることもあります。
 常染色体劣性遺伝の形を取るアルカプトン尿症の唯一の予防策は、血族結婚を避けることです。
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☐用語 ウェルナー症候群 [用語(う)]





[喫茶店]早老症の一つで、さまざまな生理的老化現象に似た症状を示す遺伝病
 ウェルナー症候群とは、生理的老化現象が通常よりも早い時間軸の中で出現する早老症の一つ。1904年に、ドイツのオットー・ウェルナー医師により初めて報告されたまれな遺伝病です。
 思春期までは比較的正常に成長しますが、20歳代から白髪、脱毛、両目の白内障などの加齢に関連した疾患がみられるようになり、手足の筋肉や皮膚もやせて硬くなり、実年齢より「老けて見える」ことが多くなります。
 糖尿病や脂質異常症も多く、かつては多くの発病者が40歳代で悪性腫瘍(しゅよう)や心筋梗塞(こうそく)などにより亡くなっていました。今では治療法の進歩により寿命が延びて、50~60歳代の発病者もいます。
 その一方で、足先や肘(ひじ)などの深い傷がいつまでも治らない難治性皮膚潰瘍(かいよう)を生じたり、感染を繰り返して足を切断してしまうなど、なお多くの発病者が大変な日常生活の苦労を強いられています。
 いくつかの研究により、日本のウェルナー症候群の発病者数はおよそ2000〜3000人、病気になる確率はおよそ5~6万人に1人と推定されています。
 地域的には、世界中で報告されている発病者のうち約6割が日本人であり、日本に多いと考えられています。また、以前は主に血縁が濃くなる、いとこ婚やはとこ婚などの近親婚の多い地域で報告されてきましたが、最近では近親婚によらない発病者も増加しています。日ごろの食べ物や運動などの生活習慣は、発病とは関係ないと考えられています。
 WRN(DNAヘリカーゼ)と呼ばれる遺伝子の異常が、ウェルナー症候群の原因と考えられています。人間の体の設計図であるDNA(デオキシリボ核酸)が傷付いた時に修理する役割を担っているのがWRNですが、この遺伝子の異常によりなぜ老化が早く進むようになるのかはまだ解明されていません。
 ウェルナー症候群は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式を取ります。人間は両親からもらった遺伝子を一対(2つ)ずつ持っていますが、2つのWRN遺伝子の両方に異常がある時だけ発病します。発病者の両親はそれぞれ一つだけ原因遺伝子を持ち、自身は発病していないケースがほとんどです。発病者の兄弟姉妹では確率的に約4人に1人が発病しますが、発病者の子供や、さらにその子供が同じように発病する確率は計算上200~400人に1人以下であり、可能性は非常に少なくなります。
 20歳代以降に白髪・脱毛などの毛髪の変化、白内障、甲高くかすれた声などの症状が起きてきます。また、脂肪の付き方にも変化がみられ、体幹周りに多くなってビヤ樽(だる)のような体形になります。腕や脚の筋肉はやせ、皮膚も硬く薄くなり、深い傷ができて治りにくくなります。身長は低いことが多く、限局性の石灰化がアキレス腱(けん)、膝(ひざ)、肘、足関節の靭帯(じんたい)などに起こることもしばしばあります。
 顔面でも同様の変化が起こり、とがった鼻、飛び出したように見える眼球から、鳥様顔貌(がんぼう)とも呼ばれます。また、若くして動脈硬化性病変、糖尿病、脂質異常症になる発病者が多く、性ホルモンの働きが落ちてくる更年期なども早い年齢から起こりやすくなります。
[喫茶店]ウェルナー症候群症候群の検査と診断と治療
 内科、皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、早期の加齢現象に伴う症状を基準にして、ウェルナー症候群と判断します。とりわけ、20歳前後までにみられる白髪や脱毛、白内障、皮膚の委縮、かすれ声などは、重要な症状と考えられています。その他、糖尿病や脂質異常症、骨粗しょう症、心筋梗塞の既往なども、診断には重要な情報です。
 ウェルナー症候群を引き起こすWRN遺伝子の異常のタイプは80種類以上知られており、いずれの医療施設でも可能というわけではありませんが、PCR法やダイレクトシークエンスと呼ばれる方法を用いた遺伝子検索が行われることもあります。
 また、40歳までに白内障が現れた発病者に、X線(レントゲン)検査によりアキレス腱の石灰化がされれば、ウェルナー症候群である可能性を疑います。
 内科、皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、根本的な治療法は存在しないため、発症し得る各種合併症に対処します。特に重要な合併症は、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化、悪性腫瘍、難治性皮膚潰瘍です。
 糖尿病、脂質異常症、動脈硬化に対しては、一般的に行われるような内服薬治療を行います。しかし、難治性皮膚潰瘍を併発しやすい特徴もあるため、運動療法については慎重な姿勢を取る必要があります。
 悪性腫瘍に対しては、ウェルナー症候群では複数のがんを合併することも少なくなく、また、一般的な人と比べて発症しやすい甲状腺(せん)がんや悪性黒色腫などが存在する特徴を踏まえて、定期通院による早期発見、早期治療を図ります。
 難治性皮膚潰瘍に対しては、日常生活に大きな支障を来す治りにくい深い傷ができないように、日ごろからアキレス腱やかかと、足、肘など潰瘍になりやすい部位をなるべく保護し、観察することが大切です。薄く硬くなった皮膚は骨に圧迫されて傷ができ、やがて深い潰瘍を生じやすいため、当たって痛い部位や傷になりかけた部位は特殊な靴や装具を作って保護する方法もあります。
 潰瘍ができた場合には、洗浄や消毒、保護、保湿などの対症療法が中心になりますが、自分の体の他の場所から皮膚を移植する手術が有効な場合もあります。感染を併発した場合には、抗菌剤(抗生物質)による内服薬治療や、手足の切除を含めた手術による治療を行ったりします。
 ウェルナー症候群は日本人に頻度が高い疾患であり、正確な情報を基にした社会的な認知度を高めることが重要です。また、遺伝性疾患であることもあり、出産や病気に関してのカウンセリングを行うことも大切です。
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☐用語 アルコール性ケトアシドーシス [用語(あ)]





[バー]アルコール摂取と飢餓状態に伴う合併症
 アルコール性ケトアシドーシスとは、アルコール摂取および飢餓状態に伴う合併症で、血液中に過剰な酸が生じて嘔吐(おうと)や腹痛を起こす疾患。
 多量飲酒は1日当たり日本酒3合以上が目安とされ、体重60キログラムの健康男子の1日のアルコール処理能力は、純アルコールで144ミリリットル、すなわち、日本酒で5合、ビールで大瓶5本です。これ以上をほぼ毎日飲み続けていると、常に体の中にアルコールが残っている状態になり、アルコール依存症になる危険性が大です。
 このように多量飲酒を続ける人は、もともと食事をバランスよく摂取しない飲み方をする人が多く、しばしば大量飲酒後に嘔吐や下痢などの消化器症状を繰り返し、食事を摂取できなくなります。嘔吐と飢餓状態が1日以上続くと、肝臓に貯蔵されている糖分(ブドウ糖)が減少します。食べないことに加えて、ブドウ糖の貯蔵量が減少すると、低血糖が起こります。
 低血糖になると、血糖値を一定に保つホルモンで、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの分泌量が減少します。インスリンが欠乏すると、ほとんどの細胞は血液中にあるブドウ糖からエネルギーを得ることができません。それでも細胞は生きるためにエネルギーが必要なので、エネルギーを得るために予備のメカニズムに切り替えます。
 すると、脂肪細胞が分解され始め、脂肪酸からできるケトン体という代謝物質が産生されます。ケトン体は細胞にエネルギーを供給しますが、同時に血液を酸性化(ケトーシス)したり、ひどく酸性化(ケトアシドーシス)したりして、アルコール性ケトアシドーシスが発症します。
 このアルコール性ケトアシドーシスは、糖尿病で発生するケトアシドーシスに似ていますが、糖尿病性ケトアシドーシスと異なり、血糖値は低くなります。
 アルコール性ケトアシドーシスの症状には、強いのどの渇き、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛があり、血液の酸性度を是正しようと、呼吸は深く速くなる傾向があります。意識の混濁や昏睡(こんすい)に陥るケースもあります。
[バー]アルコール性ケトアシドーシスの検査と診断と治療
 内科、内分泌科、内分泌代謝内科の医師による診断では、特徴的な症状とアルコール乱用歴があることに加え、血液検査で血液中のケトン体と酸が増加しているものの血糖値が正常または低いことがわかれば、アルコール性ケトアシドーシスと判断します。
 鑑別すべき疾患には、同様の症状がみられる急性膵炎、メタノール中毒、エチレングリコール中毒、糖尿病性ケトアシドーシス、飢餓性ケトアシドーシスがあります。
 内科、内分泌科、内分泌代謝内科の医師による治療では、ビタミンB1(チアミン)を静脈内に投与し、その後に5%ブドウ糖含有生理食塩水を静脈に点滴します。初期の点滴には水溶性ビタミンおよびマグネシウムを追加し、必要に応じてカリウムを補充します。
 血液のひどい酸性化(ケトアシドーシス)と消化器症状は通常、迅速に反応して回復します。
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☐用語 アルコール性神経障害 [用語(あ)]





[バー]アルコールを長期間、過剰に飲み続けることで、神経に起こる障害
 アルコール性神経障害とは、アルコールを長期間、過剰に飲み続けることで、神経のいろいろな部位に起こるビタミン欠乏性の障害。アルコールやその分解産物であるアセトアルデヒドによる毒性と、随伴してよく起こるビタミン欠乏による症状がみられます。
 多量飲酒は1日当たり日本酒3合以上が目安とされ、体重60キログラムの健康男子の1日のアルコール処理能力は、純アルコールで144ミリリットル、すなわち、日本酒で5合、ビールで大瓶5本です。これ以上をほぼ毎日飲み続けていると、常に体の中にアルコールが残っている状態になり、アルコール依存症になる危険性が大です。
 このような場合は、食事をバランスよく摂取することができず、ビタミンB1、B6、B12が不足しがちです。特にビタミンB1がアルコールの代謝のために使われてしまって、慢性的にB1欠乏状態になります。このようなことから、ビタミン欠乏性の栄養障害が神経のいろいろな部位で起こります。
 アルコール性神経障害の症状を示す疾患には、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群、アルコール性小脳変性症、アルコール性多発神経炎、アルコール性ミオパチー、アルコール性ミエロパチーなどがあります。
 ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1の欠乏のために、脳の働きに障害が起きる疾患です。体内の炭水化物の代謝に必要なビタミンB1の欠乏のみでも発症しますが、長期間のアルコール多飲者やアルコール依存症の人などに多く起こるため、アルコールも複合的に影響して発症すると推測されています。大量のアルコールの摂取によってビタミンB1の腸管からの吸収が障害され、さらにアルコールを多飲する人は食事を摂取しない飲み方をする人が多いためです。
 飢餓による栄養障害は現在では非常に少なくなりましたが、インスタント食品の偏食による栄養の偏りや、摂食障害、妊娠悪阻(つわり)などもビタミンB1の欠乏を招いて、ウェルニッケ脳症を発症する要因になります。
 脳内の非常に特異的な場所である乳頭体(にゅうとうたい)、中脳水道周囲、視床などが、病変の好発部位となります。従って、症状も特徴的であり、急性期には眼球運動障害、運動失調、意識障害の3主要症状が現れます。
 眼球運動障害は、外直筋(がいちょくきん)まひのために目の玉が一点を見詰めたまま動かなくなることが多く、瞳孔(どうこう)の異常などを起こす内眼筋まひはまれです。回復してくると、眼球が自動的に一方向に素早く動いてからゆっくりと元の位置に戻る水平眼振が起こり、物が2つに見える複視やめまい感が自覚されます。
 運動失調としては、小脳の働きが悪くなるために、立ったり座ったりした時に体がふらついて倒れたり、歩行がおぼつかなかったり、手足を思うように動かせなくなるといった症状が急性に起こります。
 意識障害としては、無欲、注意力散漫、すぐに眠ってしまう傾眠といった軽い意識障害から昏睡(こんすい)まで、さまざまな程度に起こります。思考や行動が乱れる錯乱、意識混濁に加えて幻覚や錯覚がみられるせん妄が、前面に出ることもあります。
 慢性期になると、ウェルニッケ脳症はコルサコフ症候群に移行し、場所や時間がわからなくなる見当識(けんとうしき)障害、健忘、記銘力や記憶力の障害など、いわゆる物忘れの症状が主体となります。
 長期間のアルコール多飲者が、通常の酔っ払った状態とは異なる意識状態の異変を感じたら、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群を疑うことが重要で、早急に救急患者として医療機関を受診することが大切です。
 そのほか、アルコール性神経障害の症状を示す疾患であるアルコール性小脳変性症は、立ったり座ったりした時に体がふらついて倒れたり、歩行がおぼつかなかったり、ろれつが回らず言葉をうまく発音できないといった症状が現れます。
 アルコール性多発神経炎(末梢〔まっしょう〕神経炎)は、いわゆる脚気(かっけ)で、ビタミンB群やニコチン酸の欠乏のために、心臓の弱まりにより下肢のむくみが、末梢神経障害により上下肢のしびれが起きます。足先のジンジンとした異常感覚や痛みなどを初発症状として、手足の筋肉の脱力、転びやすい、走りにくいなどの症状を来します。
 アルコール性ミオパチーは、横紋筋融解や低カリウム血症により筋肉が障害され、筋痛、筋力低下、筋委縮などから起立歩行障害などを来します。
 アルコール性ミエロパチーは、脊髄(せきずい)が障害されます。
[バー]アルコール性神経障害の検査と診断と治療
 内科、神経内科の医師による診断では、問診して飲酒量が多ければ、末梢血検査、肝機能検査、血中ビタミン濃度測定、末梢神経伝導検査、脳のMRI(磁気共鳴画像)検査などを行い、アルコールまたはビタミン欠乏症によるどの疾患が起こっているのかを明らかにすることができます。
 内科、神経内科の医師による治療では、飲酒をやめ、ビタミンB1、B6、B12を補給するとよいのですが、急性期はアルコール性の胃炎が起こっていて吸収が悪く、特にウェルニッケ脳症では、救急処置として、ビタミンB1を500ミリグラムくらい大量に7日間ほど静脈注射で投与します。眼球運動障害や眼振は2日ほどでよくなります。
 その後は、経口的にビタミンB複合体を150ミリグラムくらい1カ月ほど投与すると、アルコール多飲と栄養障害のために体内で不足していたビタミンが補給されます。
 ウェルニッケ脳症の場合、眼球運動障害、運動失調、意識障害の典型的な3主要症状が現れた時には、治療を行っても後遺症を残すことが多いため、できる限り早期に診断し、早期に治療を開始することが極めて重要です。ビタミンB1を静脈注射すると、眼球運動障害は迅速に改善します。しかし、運動失調や記憶障害などの改善は単純ではなく、回復の度合は症状の現れた期間が長引くほど悪化します。
 そして、バランスのよい食事を勧めます。精神的な不安を除くために、解決できる問題は医師に誠実に相談相手になってもらうことが大切です。アルコールを多飲する人の中には、家庭や仕事の上で問題を抱えている場合があるので、よく話を聞いて相談に乗ってあげる友人や医師が必要です。禁酒をして、場合によっては断酒会に入ってもらうこともあります。
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☐用語 アルコール性心筋症 [用語(あ)]





[バー]アルコールの乱用が原因となって起きる心臓病
 アルコール性心筋症とは、アルコールの過剰摂取により、拡張型心筋症を呈する疾患。
 長年にわたって、アルコールを乱用し過剰摂取していると、心臓の内側を覆う心内膜と心臓の外側を包んでいる心膜との間にある心筋が弱く、薄くなります。心臓の筋肉である心筋が弱ると、健康な時のように血液を送り出せなくなり、全身の組織が酸欠状態になります。その結果、さまざまな障害が起きるだけでなく、死に至ることすらあります。
 アルコール性心筋症の発症率が最も高いのは35〜50歳の男性ですが、女性では男性ほど飲まなくても発症する可能性があります。特に日本酒で1日5合を10年以上続けた場合、発症リスクが高まるといわれています。
 アルコールを長年、過剰摂取していると、アルコールとその分解産物によって、心臓を始めとする内臓に影響を及ぼします。アルコール性心筋症では、心筋の収縮機能が低下して、心臓の内腔(ないくう)が次第に拡張し、十分な血液を全身に送れなくなります。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。
 しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋は引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。
 心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。
 この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症を呈する人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。
 最初のうちは自覚症状がないことも多く、なかなか疾患に気が付かない人もいます。しかし、心不全が重くなると症状が現れてきます。
 初期には疲れやすくなったり、運動時や坂道・階段の昇降時などに動悸(どうき)や息切れを感じたりという症状が現れ、ひどくなると安静時にも症状がみられるようになり、夜間発作性呼吸困難が出てくることもあります。夜間発作性呼吸困難とは、夜、眠りについて数時間たったころに突然起こる強い呼吸困難のことです。横になったことで下半身の血液がより多く心臓へ流れ込み、肺全体が血液で満たされ、肺がうまく酸素を取り入れられなくなって起こります。
 もっと重症になると、不整脈が起こったり、全身にむくみが出たり、肝臓がはれたり、むくみにより体重が増加したり、胃腸粘膜のむくみにより食欲が低下したりします。また、全身への血液供給の低下により、全身倦怠(けんたい)感、手足の冷感、日中の尿量や尿の回数の減少などが起こります。
 脈が通常よりも早くなる心室頻拍や、心筋の収縮が失われてけいれんする心室細動といった危険な不整脈が起こると、突然死する場合もあります。
[バー]アルコール性心筋症と診断と治療
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、アルコールの過剰摂取の本当の程度を知るために問診を行います。心臓病については、症状、身体所見や、胸部X線検査、心電図検査、心臓超音波検査(心エコー)、冠動脈造形などの各種検査の所見により判断します。
 そのほか、詳細な心臓の画像を作成できるMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、心臓の機能の詳しい情報がわかる心臓カテーテル検査、心筋生検による組織検査を行うこともあります。
 診断の基本は、心不全の重症度、その原因となる心室拡大と左心室の収縮機能低下の程度を評価することにあります。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、飲酒を禁ずることを基本とします。禁酒で心不全が改善しない場合には、拡張型心筋症に対する積極的な加療を行います。一般的に、長期間にわたる安静と減塩食、水分摂取制限が必要です。
 心筋の収縮機能の低下に対しては通常、強心薬のジギタリス、利尿剤、降圧剤の一種のACE阻害剤の3つを使用し、症例によってはβ(ベータ)遮断剤が有効なこともあります。
 すべての薬剤が無効な場合には、心臓移植が検討されます。
 拡張型心筋症で多く出現する頻拍性不整脈に対しては、抗不整脈薬を使用します。しかしながら、心筋の収縮機能の低下している拡張型心筋症では、抗不整脈薬の使用で、さらに収縮力を低下させることは不利であるため、使用には十分な注意が必要です。
 心臓の障害がかなり深刻なら、心臓の機能を改善させるために、埋め込み型除細動器やペースメーカーの植え込み手術を行うこともあります。
 また、拡張型心筋症を発症した場合、医療機関での治療のほかに日常の生活習慣を改善することも重要です。禁煙はもちろん、適度な運動、ストレスの管理、体重の管理などが必要となります。
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☐用語 胃内異物 [用語(い)]





[喫茶店]誤飲した異物が胃内に到達し停滞している病態
 胃内異物とは、誤飲した異物が食道を通過して胃内に到達し、停滞している病態。もしくは、誤飲を誘因とせずに、胃石や食物塊などの異物が胃内に停留している病態を指します。
 口から飲み込んだ食べ物は、食道を通って胃の中へ運ばれます。胃の中では消化酵素によって蛋白(たんぱく)質が消化され、細かくなった食べ物はさらに十二指腸へと運ばれていきます。
 胃と十二指腸の間には幽門と呼ばれる狭い入り口がありますが、胃の中に流れた食べ物は、胃の蠕動 (ぜんどう)運動によって、胃の末端の幽門を通って十二指腸へ運ばれます。しかし、直径2センチを超える大きさのものは、幽門を通過することができません。
 食べ物は口で細かく咀嚼(そしゃく)され、さらに胃の中で消化されるため、2センチを超える大きさで幽門を通過することはほぼありませんが、食べ物以外の異物を誤飲、すなわち誤って飲み込んでしまうと、幽門を通過できずに胃内に停滞することがあります。このようなものを胃内異物といい、さまざまな症状を引き起こします。
 特に1歳前後の乳幼児が、大人が目を離したすきに手に届いた硬貨、おもちゃ、プラスチック製品、針、たばこなどを飲み込んでしまうことが多々あります。また、認知症を患った高齢者にも胃内異物は多く発生しています。具体的には、薬をシートごと飲み込んでしまうことが起こり、問題となっています。
 多くの場合、異物によって幽門が完全に閉塞(へいそく)することはないため、症状がないこともあります。しかし、幽門が閉塞したり、大きい胃石、細くて長い箸(はし)、鉛筆などの大きな異物が入ってしまったりした場合には、胃部膨満感、吐き気、嘔吐(おうと)、上腹部痛、腹部違和感などが生じます。
 薬のシートのような先端が鋭利なものを飲み込んだ場合には、胃粘膜が傷付けられ、空腹時痛やタール便などの胃潰瘍(かいよう)などに似た症状が現れます。
 乳幼児で特に問題になるのが、ボタン型アルカリ電池の誤飲です。胃の中に入ると胃酸によって腐食し、アルカリ性物質を放出します。これによって胃粘膜に大きな潰瘍を形成することがあります。
 また、非常に鋭利な異物が胃内に入ると、場合によっては胃壁を突き破ることがあります。この状態は消化管穿孔(せんこう)と同様であり、腹膜炎や敗血症を合併し、早期に治療を開始しなければ死に至ることもあります。
 さらに、胃内異物が幽門を通過し、小腸や大腸の生理的狭窄(きょうさく)部に穴を開けて通り抜け、腹膜炎を来すことがあります。この際は、腹膜炎症状として、腹痛、腹部圧痛、吐き気、下痢、腹膜刺激症状などがみられます。
 小さい子供の誤飲が疑われる場合、胃内にまで到達する前に喉(のど)元に当たる咽頭(いんとう)食道部に異物がある場合もあり、吐き出すように促してみます。異物が食べ物の通り道である食道や胃に入らず、呼吸の通り道である気管に入った場合は、呼吸を確保するために一刻を争いますが、食道や胃に入った場合には、さほどの緊急性はないので、まず呼吸を十分に行っているか速やかに確認し、内科、消化器科、小児科などを受診します。
[喫茶店]胃内異物の検査と診断と治療
 内科、消化器科、小児科などの医師による診断では、問診により、誤飲した物の種類、大きさ、誤飲した時間など詳細な状況を把握するようにします。乳幼児や高齢者では、異物を飲み込んだ自覚がないこともあり、無症状の場合には把握が難しいことがあります。
 次に、誤飲した物の位置の確認のために、最も簡便に行えて金属などのX線透過性の低いものを描出することができる腹部単純X線検査を行います。
 ほとんどの場合は腹部単純X線検査で異物の有無は確認できますが、レントゲンに映らない小さなプラスチック片などが疑われる場合には、腹部CT検査を行うことがあります。腹痛や腹膜刺激症状など腹部の強い炎症所見を認めて誤飲物による消化管穿孔が疑われる場合にも、腹部CT検査による炎症の波及などの評価が有用です。
 胃内異物が強く疑われる場合には、即座に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) を行うこともあります。胃内を直接観察できる検査であり、胃内異物の確認だけでなく、胃粘膜への障害を確認することもできます。
 無症状や軽症の胃内異物に対して血液検査を行うことはほとんどありませんが、出血や穿孔が生じるような重症例では、炎症や貧血の程度を調べるために補助的に血液検査を行います。
 内科、消化器科、小児科などの医師による治療では、胃内に停滞した異物を取り除く処置を行います。多くの場合は、上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて異物を摘出します。異物の先端が鋭利なものは摘出時に食道を傷付けることがあるため、食道に保護用のチューブを通して摘出を行います。異物の形状が小さく、とがっていないなど安全な物であれば、経過観察を行い、糞便(ふんべん)とともに体外に排出されるのを待つこともあります。
 上部消化管内視鏡で摘出困難な場合には、腹腔(ふくこう)鏡下手術または開腹手術によって摘出しますが、上部消化管内視鏡でも摘出できない大きさの物はそもそも飲み込むことが困難なため、非常に珍しいケースです。
 また、ボタン型アルカリ電池は誤飲後速やかに摘出しないと胃粘膜に潰瘍が形成され、乳幼児の場合には穿孔を起こすことがあるため、緊急で処置を行います。消化管穿孔を起こした時には、緊急で異物の除去と穿孔部をふさぐ手術を行いますが、非常に重篤な状態であるため全身管理が必要です。
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☐用語 胃肉腫 [用語(い)]





[喫茶店]胃粘膜の下にできる腫瘍で、初期は自覚症状に乏しい疾患
 胃肉腫(いにくしゅ)とは、胃粘膜の下に腫瘍(しゅよう)が発生する疾患。
 胃の悪性腫瘍のうち、胃の壁の一番内側の胃粘膜からできる上皮性のものを胃がんといい、胃粘膜以外の細胞からできる非上皮性のものを肉腫といいます。胃の悪性腫瘍のうち、胃肉腫は約5%といわれ、比較的少ない疾患です。40~60歳代の人に発生しやすく、男性にやや多いという傾向があります。
 胃肉腫には、さまざまな種類があります。最も多いのは、胃のリンパ組織ががん化する悪性リンパ腫で、そのほかは胃粘膜の下の間葉系(かんようけい)細胞ががん化する間葉系腫瘍(GIMT)があります。
 悪性リンパ腫は本来、血液の疾患であり、血液内科が担当する機会が増えています。間葉系腫瘍(GIMT)には、神経の特徴を持った神経系腫瘍と、平滑筋の特徴を持った平滑筋系の腫瘍があり、代表的なものは胃粘膜の下にリンパ腫が発生する平滑筋肉腫です。原則として、神経の特徴も平滑筋の特徴もないものを消化管間質腫瘍(GIST)と呼びます。消化管間質腫瘍(GIST)は多かれ少なかれ悪性腫瘍としての特徴を持つものの、悪性度は超低リスク、低リスク、中リスク、高リスクの4段階に分類され、良性、悪性の2段階にはっきり分けられるものではありません。
 自覚症状としては、悪性リンパ腫と間葉系腫瘍に違いは感じられません。多くの胃肉腫は、胃がん検診の際に無症状で見付かります。気が付かないで大きくなると、胃の痛み、不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐(おうと)、腹部膨満感、体重減少などの症状の原因となります。
 胃肉腫が大きくなると、自分で胃のしこりに触れることができますが、これは胃の粘膜を破って潰瘍を作るほど悪化したことを意味します。まれに腫瘍が破裂したり、胃の外に出血を起こすことがあります。出血して吐血、下血を起こしたために検査をして発見されることも、少なからずあります。
 胃肉腫の原因は、まだ解明されていません。遺伝子に何らかの突然変異が生じ、細胞が異常に増殖することが原因だとする説もありますが、胃がんの原因にもなるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染や暴飲暴食、喫煙などの生活習慣がかかわっているという説もあります。
[喫茶店]胃肉腫の検査と診断と治療
 内科、消化器科の医師による診断では、内視鏡検査が有用となります。内視鏡で直接胃の中を診ることで、腫瘍の存在を確認することができます。胃肉腫の確定診断には、病理学的に肉腫の組織を断定する必要があります。内視鏡検査では、検査と同時に病変部の組織を採取して病理検査をすることもできます。悪性リンパ腫は潰瘍を作りやすいため、病変を発見しやすくなります。
 一方、平滑筋肉腫などの間葉系腫瘍の場合は、初期のころには病変が胃の粘膜の下にあり、通常の内視鏡では見逃されることがあります。このような場合は、内視鏡エコー検査で胃の粘膜の下の病変の有無を判定することになります。平滑筋肉腫などの間葉系腫瘍は確定診断がなされないまま手術で切除し、手術後の病理検査で確定するケースもあります。また、内視鏡で病変が発見できない場合、上部消化管造影検査が行われることもあり、粘膜下からの圧排(あっぱい)を発見することが可能です。
 転移の有無などを検査する際には、腹部超音波検査や腹部CT検査を行って全身をチェックします。
 内科、消化器科の医師による治療では、胃肉腫に多い悪性リンパ腫の場合は、抗がん剤による化学療法で治療することが多く、平滑筋肉腫などの間葉系腫瘍の場合は、切除することで診断と治療を同時に行います。腫瘍の大きさが2〜3センチ未満では、内視鏡でのレーザー照射療法やエタノール局注療法を行い、それ以上の大きさでは外科的な切除が適応となります。
 平滑筋肉腫などの間葉系腫瘍はリンパ節転移を起こすことはまれで、万が一リンパ節転移を起こしている場合は、かなり進んだ腫瘍であることが多く、リンパ節を切除しても治療効果は不明です。従って、原則としてリンパ節を切除せず、腫瘍の部分をまるごと切除して胃は残すことが多くなります。ただし、胃の入り口の噴門、胃の出口の幽門やその近くに腫瘍ができた場合は、噴門側胃切除術や幽門側胃切除術が必要になることがあります。
 胃肉腫の予後は、胃がんと比較すると良好とされています。5年生存率は表層性の場合90%以上、進行例でも50%程度とされます。
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☐用語 アキレス腱付着部炎 [用語(あ)]





[足]踵の骨の後上面のアキレス腱付着部に痛みが生じる疾患
 アキレス腱(けん)付着部炎とは、アキレス腱と踵(かかと)の骨が付着している部位の周辺に痛みが現れる疾患。アキレス腱付着部症とも呼ばれます。
 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とヒラメ筋の腱部分で、踵の骨である踵骨(しょうこつ)の後上面に付着しており、足首を足底側に曲げる働きを担っています。
 アキレス腱付着部炎を発症すると、足首を上向きに曲げた際に特に強い痛みが生じます。進行すると、安静時にも痛みが続くようになります。また、踵の部分が深い靴を履くと、症状が悪化する場合があります。痛みを生じている部位がはれることもあります。
 アキレス腱と踵骨が付着している部位には強い牽引(けんいん)力が慢性的に加わり、その少し上ではアキレス腱と骨が接しているため、互いに圧迫力を受けています。これらの力が繰り返し加わることで、アキレス腱付着部に炎症が起きて変性が生じ、痛みを起こします。病状の進行に伴って、肉芽形成、石灰化、骨化などの組織の変化が現れ、アキレス腱付着部に突き出た棘(とげ)状の骨が認められるようになったりします。
 発症の切っ掛けは、踵骨や足の形の異常、仕事やスポーツなどによるアキレス腱の使いすぎ、ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下、足に合っていない不適切な靴の利用などです。
 階段を上り下りした時や走った時に踵に痛みが出る、あるいはアキレス腱付着部付近を押さえたり、つまんだ時に痛みが感じられる、歩行時に靴の踵の後ろを支える部分(ヒールカウンター)の上端より低い位置の踵後方に痛みが出るという人は、アキレス腱付着部炎を疑い、早目に整形外科、形成外科、ないし足の外科を受診することが勧められます。
[足]アキレス腱付着部炎の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、足の外科の医師による診断では、アキレス腱付着部を押さえた時の圧痛またはつまんだ時の把持痛が認められ、階段の上り下りや歩行、走行などでアキレス腱付着部に痛みが出ることが認められた場合で、踵骨の骨折やアキレス腱断裂が除外された場合に、アキレス腱付着部炎と判断します。
 触診中に足関節を手で背屈させると、通常痛みは増悪します。X線(レントゲン)検査を行うと、アキレス腱付着部に突き出た棘状の骨がX線像に認められることもあります。
 再発するアキレス腱付着部炎がある場合は、脊椎(せきつい)関節症によって引き起こされることがあるので、病歴を問診し、検査を行います。
 整形外科、形成外科、足の外科の医師による治療では、症状の段階に応じて保存的治療、薬物療法、手術療法を行います。
 保存的治療では、足の形に合った靴を履くようにしたり、足底挿板(中敷き)を靴の中に装着したりします。アキレス腱のストレッチも行います。
 薬物療法では、痛みを柔らげるために、非ステロイド系消炎鎮痛薬の外用剤や経口剤を用います。痛みが非常に強い場合には、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の局所注射を行うこともありますが、アキレス腱の強度の低下や、アキレス腱断裂を招く恐れがあり注意が必要です。
 手術療法では、重症でアキレス腱付着部が石灰化、骨化した場合に、アキレス腱が変形した部分や、踵骨の出っ張りの一部を除去します。最近では、内視鏡による手術が行われます。
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☐用語 踵骨下部滑液包炎 [用語(し)]





[足]アキレス腱の後部にある踵骨下部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患
 踵骨(しょうこつ)下部滑液包炎とは、アキレス腱(けん)の後部(浅部)にある踵骨下部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患。アキレス腱後滑液包炎、アキレス腱皮下滑液包炎とも呼ばれます。
 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵(かかと)の骨である踵骨をつないでいる腱です。滑液包は、皮膚と骨や腱の部分の間にある袋状の軟部組織で、ゼリー状の少量の滑液が含まれています。滑液包の本来の役割は皮膚と骨や腱などが直接こすれ合うのを防止することですが、一定の動きにより圧迫や摩擦が長期間続くと炎症を起こしていきます。
 炎症が起こると痛みが生じ、滑液の分泌量が多くなって滑液包の中に過剰な滑液がたまります。また、炎症が続くと、滑液包自体が肥厚することもあります。
 踵骨下部滑液包炎は主に若い女性に発症しますが、男性でもみられます。踵の後ろの踵骨下部滑液包が圧迫や摩擦を受けやすいパンプスやハイヒールなど、靴の踵の後ろを支える部分(ヒールカウンター)が硬い靴を履いている人や、足関節の運動に伴うアキレス腱のオーバーユース(使いすぎ)を起こしやすい長距離走のランナーに起こることもあります。
 踵骨下部滑液包炎の初期症状は、踵の後ろの発赤、痛み、熱感などです。後に、皮膚の一番上の層にびらんが生じ、すり減ることがあります。数カ月後、直径が1~3センチで波動性があり、圧痛を伴う隆起した赤色または肌色の小結節が発生し、炎症を起こします。
 踵骨下部滑液包炎が慢性化した場合、踵の後ろの部分がはれて硬く盛り上がることが多いのが特徴で、パンプバンプ(パンプスによるこぶ)と呼ばれています。パンプバンプを押すと痛みが生じたり、靴を履いて歩くと痛むようになります。靴の着用や歩行が困難になることもあります。
[足]踵骨下部滑液包炎の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、踵骨下部滑液包が位置する部分に圧痛を伴う赤色または肌色の小結節があれば見当は付きますが、念のためX線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査を行います。超音波検査により、滑液包のはれなどを確認できることがあります。
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、原因となった踵の後ろの部分に負担のかかるスポーツ活動があるなら中止し、通常、痛みを和らげる湿布が基本となります。
 日常の歩行時に痛む場合は、炎症を軽減し、踵の後ろの圧迫や動きを減らすために、靴の中の足の位置を調整します。踵を少し高くする発泡ゴム製またはフェルト製のヒールパッド(ヒールウエッジ)を、靴に入れることがあります。痛みのある踵骨下部滑液包にゲル状の保護パッドを当てたり、靴の後部を広げて踵骨下部滑液包の周囲にパッドを当てたりすると役立つこともあります。
 圧痛を伴う炎症が軽減するまで、後ろのない靴を履くこともあります。踵の後ろやアキレス腱への刺激を柔らげるパッド付きの靴もあります。足の矯正器具が足の後ろの安定性を増すことがあり、歩行中に踵骨後方に刺激を加える動きを減らすのに役立ちます。圧痛を伴う炎症が沈静化したら、踵の後ろの部分が低く、踵との適合性が高い靴と交換します。
 痛みがひどい場合、再発を繰り返す場合は、患部にステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)と麻酔剤を注射したり、踵骨下部滑液包内を洗浄したりします。注射は踵骨下部滑液包のみに施すように注意する必要があり、アキレス腱への注射は腱の脆弱(ぜいじゃく)化または裂傷につながり、その後の断裂の素因となる可能性があります。
 踵や足部の形状に異常があり、慢性化の傾向を示す場合は、滑液包と踵骨の隆起部分を切除する手術を行うこともあります。
 通常、踵骨下部滑液包炎の予後は良好ですが、踵骨下部滑液包に形成されたパンプバンプは慢性化すると痛みを感じなくなり、そのまま固まって残存することがあります。
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☐用語 アキレス腱後滑液包炎 [用語(あ)]





[足]アキレス腱の後部にある踵骨下部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患
 アキレス腱(けん)後滑液包炎とは、アキレス腱の後部(浅部)にある踵骨(しょうこつ)下部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患。アキレス腱皮下滑液包炎、踵骨下部滑液包炎とも呼ばれます。
 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵(かかと)の骨である踵骨をつないでいる腱です。滑液包は、皮膚と骨や腱の部分の間にある袋状の軟部組織で、ゼリー状の少量の滑液が含まれています。滑液包の本来の役割は皮膚と骨や腱などが直接こすれ合うのを防止することですが、一定の動きにより圧迫や摩擦が長期間続くと炎症を起こしていきます。
 炎症が起こると痛みが生じ、滑液の分泌量が多くなって滑液包の中に過剰な滑液がたまります。また、炎症が続くと、滑液包自体が肥厚することもあります。
 アキレス腱後滑液包炎は主に若い女性に発症しますが、男性でもみられます。踵の後ろの踵骨下部滑液包が圧迫や摩擦を受けやすいパンプスやハイヒールなど、靴の踵の後ろを支える部分(ヒールカウンター)が硬い靴を履いている人や、足関節の運動に伴うアキレス腱のオーバーユース(使いすぎ)を起こしやすい長距離走のランナーに起こることもあります。
 アキレス腱後滑液包炎の初期症状は、踵の後ろの発赤、痛み、熱感などです。後に、皮膚の一番上の層にびらんが生じ、すり減ることがあります。数カ月後、直径が1~3センチで波動性があり、圧痛を伴う隆起した赤色または肌色の小結節が発生し、炎症を起こします。
 アキレス腱後滑液包炎が慢性化した場合、踵の後ろの部分がはれて硬く盛り上がることが多いのが特徴で、パンプバンプ(パンプスによるこぶ)と呼ばれています。パンプバンプを押すと痛みが生じたり、靴を履いて歩くと痛むようになります。靴の着用や歩行が困難になることもあります。
[足]アキレス腱後滑液包炎の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、踵骨下部滑液包が位置する部分に圧痛を伴う赤色または肌色の小結節があれば見当は付きますが、念のためX線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査を行います。超音波検査により、滑液包のはれなどを確認できることがあります。
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、原因となった踵の後ろの部分に負担のかかるスポーツ活動があるなら中止し、通常、痛みを和らげる湿布が基本となります。
 日常の歩行時に痛む場合は、炎症を軽減し、踵の後ろの圧迫や動きを減らすために、靴の中の足の位置を調整します。踵を少し高くする発泡ゴム製またはフェルト製のヒールパッド(ヒールウエッジ)を、靴に入れることがあります。痛みのある踵骨下部滑液包にゲル状の保護パッドを当てたり、靴の後部を広げて踵骨下部滑液包の周囲にパッドを当てたりすると役立つこともあります。
 圧痛を伴う炎症が軽減するまで、後ろのない靴を履くこともあります。踵の後ろやアキレス腱への刺激を柔らげるパッド付きの靴もあります。足の矯正器具が足の後ろの安定性を増すことがあり、歩行中に踵骨後方に刺激を加える動きを減らすのに役立ちます。圧痛を伴う炎症が沈静化したら、踵の後ろの部分が低く、踵との適合性が高い靴と交換します。
 痛みがひどい場合、再発を繰り返す場合は、患部にステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)と麻酔剤を注射したり、アキレス腱後滑液包内を洗浄したりします。注射は踵骨下部滑液包のみに施すように注意する必要があり、アキレス腱への注射は腱の脆弱(ぜいじゃく)化または裂傷につながり、その後の断裂の素因となる可能性があります。
 踵や足部の形状に異常があり、慢性化の傾向を示す場合は、滑液包と踵骨の隆起部分を切除する手術を行うこともあります。
 通常、アキレス腱後滑液包炎の予後は良好ですが、踵骨下部滑液包に形成されたパンプバンプは慢性化すると痛みを感じなくなり、そのまま固まって残存することがあります。
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☐用語 アキレス腱前滑液包炎 [用語(あ)]





[足]アキレス腱の前部にある踵骨後部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患
 アキレス腱(けん)前滑液包炎とは、アキレス腱の前部(深部)にある踵骨(しょうこつ)後部滑液包が炎症を起こし、痛みが生じる疾患。踵骨後部滑液包炎、アルベルト病とも呼ばれます。
 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵(かかと)の骨である踵骨をつないでいる腱です。滑液包は、皮膚と骨や腱の部分の間にある袋状の軟部組織で、ゼリー状の少量の滑膜が含まれています。滑液包の本来の役割は皮膚と骨や腱などが直接こすれ合うことを防止することですが、一定の動きにより摩擦が長期間続くと炎症を起こしていきます。
 踵骨後部滑液包は踵の骨である踵骨にアキレス腱の前部(深部)が付着する部分にあり、この踵骨後部とアキレス腱の間にあってクッションの役割をする滑液包が炎症を起こすと、踵の後ろの部分がはれて硬く盛り上がり、押すと痛みが生じたり、靴を履いて歩くと痛むようになります。靴の着用や歩行が困難になることもあります。
 足の裏のアーチを支えている足底筋膜に炎症が起こる足底筋膜炎と同様、扁平足(へんぺいそく)やハイアーチ(凹足)の人が、アキレス腱前滑液包炎を起こしやすいといわれています。扁平足は、土踏まずのくぼんだ部分がなくなって、起立時や歩行時に足の裏のアーチがつぶれ、足の裏全体が地面にくっ付く足です。ハイアーチは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない足です。
 また、アキレス腱前滑液包炎は、踵骨後部滑液包が圧迫や摩擦を受けやすいパンプスやハイヒールなど踵の部分が固い靴を履いている人や、足関節の運動に伴うアキレス腱のオーバーユース(使いすぎ)を起こしやすい長距離走のランナーに起こることもあります。
[足]アキレス腱前滑液包炎の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、踵骨後部でアキレス腱付着部前方の部分に圧痛があれば見当は付きますが、念のためX線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査を行います。超音波検査により、踵骨後部滑液包のはれなどを確認できることがあります。
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、原因となった踵の後ろの部分に負担のかかるスポーツ活動があるなら中止し、通常、痛みを和らげる湿布が基本となります。
 日常の歩行時に痛む場合は、踵を少し高くするヒールパッド(ヒールウエッジ)を靴に挿入して、靴の踵部分が患部に当たらないようにするか、圧迫や摩擦が少なく踵との適合性が高い靴と交換します。
 痛みがひどい場合、再発を繰り返す場合は、患部にステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)と麻酔剤を注射したり、踵骨後部滑液包内を洗浄したりします。注射は踵骨後部滑液包のみに施すように注意する必要があり、アキレス腱への注射は腱の脆弱(ぜいじゃく)化または裂傷につながり、その後の断裂の素因となる可能性があります。
 踵や足部の形状に異常があり、慢性化の傾向を示す場合は、滑液包と踵骨の隆起部分を切除する手術を行うこともあります。
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☐用語 圧迫性ニューロパチー [用語(あ)]



[病院]末梢神経が慢性的に圧迫され、運動や感覚に障害が生じる疾患
 圧迫性ニューロパチーとは、末梢(まっしょう)神経が慢性的に圧迫され、ダメージを受ける疾患。
 ニューロパチーは末梢神経が障害されて正常な神経細胞の興奮の伝導が行われず、まひやしびれ、痛みなどを引き起こす疾患を指しますが、圧迫性ニューロパチーは正中神経、橈骨(とうこつ)神経、腓骨(ひこつ)神経などの比較的太い1本の末梢神経で生じやすい傾向にあります。
 圧迫性ニューロパチーは、末梢神経に慢性的な圧迫が生じることが原因です。慢性的な圧迫には、腫瘍(しゅよう)や炎症によるむくみなどのように、体内から直接神経や神経が通る管が圧迫される場合と、長時間にわたる正座や腕枕(うでまくら)などによって、体外から物理的に神経が圧迫される場合があります。特に、神経の通り道で解剖学的に狭い部位が何らかの原因でさらに狭くなると発症しやすく、糖尿病やアルコール中毒、低栄養状態、一部の薬物により発症のリスクが上昇するとされています。
 末梢神経は種々の圧迫を受けることで、正常な興奮伝達を行うことができなくなります。慢性的に圧迫が続くと、やがて神経線維の興奮を他の神経細胞に伝えるための軸索が障害を受け、その神経がつかさどっていた運動や感覚に障害が残ることとなります。
 圧迫性ニューロパチーで代表的なものには、手根管(しゅこんかん)症候群、橈骨神経まひ、尺骨(しゃっこつ)神経管症候群、腓骨神経まひなどが挙げられます。部位によって、詳細な原因は異なります。
 手根管症候群は、腱鞘(けんしょう)炎や、正中神経が通る手根管付近の腫瘍などが主な原因ですが、中年女性に多発し女性ホルモンの分泌異常が発症に関与していることも示唆されています。橈骨神経まひは睡眠中の腕枕、尺骨神経管症候群は手首の骨折や腫瘤(しゅりゅう)、長時間のサイクリングでのサドルなどによる圧迫、腓骨神経まひは足組みが原因となることが有名です。
 圧迫を受ける神経の働きが障害されることで、症状が生じます。障害を受けたのが運動をつかさどる神経である場合は、その部位の運動まひが生じ、感覚をつかさどる神経である場合は、支配領域に一致したしびれや痛み、感覚の低下などが生じます。
 運動まひが生じる場合には、障害された神経によって特徴的な症状が現れます。例えば、手根管症候群では、親指の付け根の母指球筋の運動がまひするため親指を手の平側に曲げることができず、親指と人差し指できれいな丸(OKサイン)ができなくなる猿手(さるで)と呼ばれる独特のまひが生じます。細かい作業が困難になり、縫い物がしづらくなったり、細かい物がつまめなくなります。
 また、橈骨神経まひでは、手関節を上へ反らすことができなくなり、手が下方に垂れる下垂手(かすいしゅ)と呼ばれるまひが生じます。
 このような運動障害が長期にわたるケースでは、まひした筋肉が衰えて外見上からも筋肉の委縮がわかるようになり、手や足の形に左右差が現れることも少なくありません。
[病院]圧迫性ニューロパチーの検査と診断と治療
 整形外科、神経内科の医師による診断では、運動まひや感覚障害が生じている場合には、その症状をよく診察すればどの神経にダメージがあるのかを予測することが可能です。
 身体診察によって予測された神経障害を調べるため、対象の神経を電気で刺激して神経伝達速度を評価する神経伝導速度検査や、対象の筋肉を針で刺して電気の波を見る筋電図検査を行います。また、体内のほかの病変による圧迫の有無を評価するために、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査を行うこともあります。
 腫瘍や腫瘤病変が発見された場合には、針を刺して組織の一部を採取し、病理検査を行うことにより、どのような性質なのかを調べることがあります。
 整形外科、神経内科の医師による治療では、軽度のしびれや感覚異常のみの場合には、安静によって回復することがほとんどです。また、正座による腓骨神経まひ、腕枕による撓骨神経まひなどは自然回復が期待できます。
 しかし、手根管症候群、尺骨神経管症候群などの圧迫性ニューロパチーでは、動きが悪く筋力が弱るなど少しでも運動障害があれば、早期手術が必要です。神経が通る部位が狭くなって神経を圧迫している場合には、その部位を切り開いて圧迫を解除する治療が行われることも少なくありません。
 さらに、腫瘍や腫瘤などによって神経が圧迫されている場合には、それを取り除く手術を行います。
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☐用語 アミロイドニューロパチー [用語(あ)]



[病院]異常な蛋白が末梢神経に沈着することで生じる神経障害
 アミロイドニューロパチーとは、ナイロンに似たアミロイド線維蛋白(たんぱく)と呼ばれる異常な蛋白が末梢(まっしょう)神経に沈着することで引き起こされる神経障害。アミロイド神経炎、アミロイド神経障害とも呼ばれます。
 多発性骨髄腫(しゅ)や慢性関節リウマチ、透析に関連して後天的に発生するものがある一方、家族性アミロイドポリニューロパチーという遺伝的なものを要因として発症するものもあります。
 アミロイド線維蛋白が体の各種臓器に沈着することで引き起こされる病気のことをアミロイドーシスといいます。アミロイド線維蛋白は心臓、肝臓、腎(じん)臓、脳、消化管など体の特定臓器に限局して沈着することもあれば、心臓や肝臓、腎臓など複数の臓器に渡って沈着することもあります。前者を限局性アミロイドーシス、後者を全身性アミロイドーシスといい、アミロイド線維蛋白が末梢神経に沈着し神経障害が引き起こされるのがアミロイドニューロパチーに相当し、全身性アミロイドーシスの一種です。
 アミロイド線維蛋白が産生される原因はさまざまであり、それに応じてアミロイド線維蛋白の構成成分も多彩です。血液がんである多発性骨髄腫に関連してアミロイドニューロパチーが発症することもあれば、慢性関節リウマチや、腎不全による長期透析などを原因としてアミロイドニューロパチーが引き起こされることもあります。
 こうしたアミロイドニューロパチーは後天的なものですが、遺伝性疾患として起こる場合もあります。特に頻度が高いのは、家族性アミロイドポリニューロパチーと呼ばれるものです。家族性アミロイドポリニューロパチーの中でもトランスサイレチンと呼ばれる蛋白質の構造が不安定になることを原因として発症するものが多く、遺伝子レベルに異常が存在しています。不安定なトランスサイレチンは、アミロイド線維蛋白を形成しやすく、これが全身の末梢神経に沈着することで病気の発症に至ります。
 家族性アミロイドポリニューロパチーは常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとる疾患であり、疾患を抱える人が子供をもうけた場合、理論的には50%の確率で子供も疾患を有します。
 アミロイドニューロパチーでは、感覚神経や自律神経、運動神経といった末梢神経に関連した症状がみられます。具体的には、手足のしびれや痛み、動悸(どうき)やめまい、下痢と便秘、吐き気や腹痛などがあります。温度覚や痛覚が鈍麻したり、消失したりすることもあり、ストーブなどで容易にやけどをしてしまうこともあります。
 また、四肢末端から筋力低下や筋委縮が始まり、手足がうまく動かなくなったり、まひにつながったりすることもあります。そのほか、排尿障害や勃起不全(インポテンツ)などもみられる症状です。心臓の動きをつかさどる自律神経にも異常が生じ、不整脈が出現することもあります。
 アミロイドニューロパチーの原因疾患はさまざまであり、症状の出方や進行度も異なります。中には発症から10年ほどの経過で進行し、寝たきりとなり亡くなるケースもあります。
[病院]アミロイドニューロパチーの検査と診断と治療
 内科、神経内科の医師による診断は、アミロイド線維蛋白の沈着が想定される末梢神経、筋、直腸などの組織の一部を採取し、それを顕微鏡で観察することで、異常構造物の沈着を証明します。神経を実際に採取するのが難しい場合は、体に有害となる可能性の低い皮下組織の採取などが選択されます。
 神経障害の程度を調べるために、心電図や神経伝達検査、レーザードップラー皮膚血流検査なども行われます。臓器障害は神経にとどまることばかりではないため、心機能を評価するための心臓エコーや心臓MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、腎機能評価を評価するための血液検査や尿検査なども適宜検討されます。
 原因疾患を同定するための検査もなされます。具体的には、多発性骨髄腫であれば異常な蛋白質・異常細胞検出のための血液検査や尿検査、骨髄検査などが行われます。また、家族性アミロイドポリニューロパチーでは、原因となる遺伝子異常を同定するための遺伝子検査が行われます。
 内科、神経内科の医師による治療は、それぞれの症状に対しての対症療法と根治的な治療法を併せて行います。対症療法としては、不整脈に対してのペースメーカー埋め込み手術、心不全に対しての内服薬(アンギオテンシン酵素阻害薬や利尿剤など)治療、神経痛に対しての内服薬(カルバマゼピンなど)治療などを行います。
 アミロイド線維蛋白の沈着の原因になっている疾患に対しては、特異的な治療方法も選択されます。多発性骨髄腫であれば化学療法が選択されますし、家族性アミロイドポリニューロパチーであれば不安定なトランスサイレチンを安定化させるための内服薬治療や、異常なトランスサイレチンの産生を抑制するための肝移植が適宜検討されます。
 アミロイドニューロパチーでは温度覚や痛覚が鈍くなるため、気付かないうちにやけどを起こすことがあります。湯たんぽの使用を避ける、風呂に入る前に設定温度を確認するなどの日常生活上の対策も大切です。
 また、家族性アミロイドポリニューロパチーは遺伝性疾患としての側面も有していますので、遺伝カウンセリングを受けることも大切です。全く症状がない状態での発症前遺伝子診断もあり、将来、発症する可能性があるかどうかわかります。
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