So-net無料ブログ作成
用語(あ行) ブログトップ
前の4件 | -

☐用語 エボラ出血熱 [用語(あ行)]




  
[天秤座]エボラウイルスにより引き起こされる感染症
 エボラ出血熱とは、エボラウイルスにより引き起こされる感染症。エボラウイルスにより引き起こされる感染症患者が必ずしも出血症状を示すわけではないことから、国際的にエボラ出血熱に代わってエボラウイルス病とも呼ばれています。
 ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱などとともに、ウイルス性出血熱の一疾患に分類されています。
 エボラ出血熱は、マールブルグウイルスとともにフィロウイルス科に分類されるエボラウイルスに感染することで、発症します。そのエボラウイルスは、コウモリなどの動物に生息しています。コウモリ、チンパンジー、ゴリラなどの感染した動物に接触することで、エボラウイルスは人間へとうつり、エボラ出血熱を発症すると考えられています。
 人から人への接触感染が起こることもあります。接触感染は、患者の血液や体液に、傷のある皮膚や体の粘膜が触れることで、感染が成立します。エボラウイルスに感染した患者の血液や、尿・唾液(だえき)・糞便(ふんべん)・吐物・精液などの体液には、ウイルスが排出されることが知られています。また、エボラウイルスが医療器具などに付着した場合、数時間から数日間は感染性を持ち続けることがわかっており、医療器具を介した感染も成立します。
 なお、エボラウイルスが空気感染することはありません。また、エボラ出血熱は、せきやくしゃみを介して人から人に飛沫(ひまつ)感染するインフルエンザなどの疾患とは異なり、簡単に人から伝播(でんぱ)する疾患ではありません。
 エボラウイルスに感染してから、ウイルスが体内で増殖して症状が出てくるまでには、2~21日程度、通常は7日程度の潜伏期間があります。この潜伏期間の後に突然の発熱を来すほか、悪寒(おかん)、頭痛、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、嘔吐(おうと)、下痢などの症状も併発します。
 さらに症状が進行すると、肝臓や腎臓(じんぞう)、血液の凝固機能にも影響が及ぶようになり、皮膚、口の中、目、消化管などから出血を起こすようになります。ただし、すべてのエボラウイルス感染例で出血がみられるわけではありません。
 1976年6月末、アフリカ北東部に位置する南スーダン(旧スーダン)のヌザラという町の綿工場に勤める倉庫番の男性が出血熱様症状を示し、次いでほかの部署の男性2人も同様の症状で倒れました。これが初めてエボラ出血熱と認識された流行の幕開けでした。この3人の患者を源として家族内、病院内感染を通してエボラ出血熱の流行が拡大し、計284人がエボラ出血熱を発症して151人が死亡しました。
 その流行とは別に、1976年8月末にアフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)北部のヤンブクで、教会学校に勤める助手の男性が出血熱の症状を示しました。その患者が収容されたヤンブク教会病院での治療・看護を通じて、大規模な流行が発生。計318人の同様の患者が発生し、280人が死亡しましたが、これもエボラウイルスによる出血熱であることが確認されました。これらが、初めて確認されたエボラ出血熱の流行です。
 ちなみにエボラの名は、ヤンブクの最初の男性患者の出身村を流れるザイール川支流のエボラ川に由来しています。
 その後、南スーダン、コンゴ民主共和国、象牙海岸で散発的なエボラ出血熱の流行が確認されていましたが、1995年にコンゴ民主共和国中央部のバンドゥンドゥン州キクウィトの総合病院を中心として、エボラ出血熱の大規模な流行が発生しました。その流行では、計315人が発症して244人が死亡しました。
 さらに、2014年3月には、アフリカ西部に位置するギニアでエボラ出血熱の流行が確認され、患者・感染者が国境を越えて移動することにより、隣国のリベリア、シエラレオネの3カ国を中心に過去最悪の規模で流行し、2016年1月にリベリアで終息するまでに2万8000人以上が発症し、世界全体で1万1300人以上が死亡しました。
 2018年8月には、コンゴ民主共和国北東部の北キブ州において、同国10回目の新たなエボラ出血熱の流行が発生し、2019年6月現在、感染者が疑い例を含めると2000人を超え、死者が1400人を超えています。また、隣国のウガンダでも、コンゴ民主共和国から飛び火したエボラ出血熱により2人の死者が出たことが確認されました。
[天秤座]エボラ出血熱の検査と診断と治療
 内科、感染症科、感染症内科の医師による診断では、エボラ出血熱が疑われる患者の血液を採取して、エボラウイルスの抗原や、エボラウイルスに対して特異的な抗体が存在するかどうかなどを調べます。血液だけではなく、のどから採取する咽頭(いんとう)ぬぐい液や尿も検体として用います。血液、体液などからウイルスを分離する検査法も重要な検査法ですが、通常1週間以上を要します。
 鑑別すべき疾患には、マラリア、デング熱、腸チフスなどがあります。エボラ出血熱の感染が発生している地域は、マラリア、デング熱などの流行地域でもあり、発熱、頭痛、筋肉痛などといったエボラ出血熱の初期症状がマラリア、腸チフスなどと似ていることから、鑑別が必要になります。
 内科、感染症科、感染症内科の医師による治療では、エボラウイルスそのものに対して科学的に治療効果が証明されている薬剤はないため、研究段階にあるいくつかの薬剤を投与しつつ、表面的な症状をやわらげる対症療法を行います。
 嘔吐、下痢などによって脱水や血圧の低下が起こった場合は、輸液を行います。電解質のバランスが狂った場合も、それぞれの成分を補正します。呼吸状態が悪くなった場合は呼吸管理、血圧が下がった場合は循環管理と、それぞれの症状をコントロールするための治療を行います。
 日本では、エボラ出血熱は感染症法において1類感染症に分類され、これらの患者の治療専用に設計されている病室に隔離して、治療を行います。
 また、診断した医師は、無症状病原体保有者、疑似症患者例も含めてエボラ出血熱の患者および感染症死亡者の死体を認めた際には、直ちに都道府県知事(実際的には保健所)に届け出ることが義務付けられています。
 エボラウイルスに感染しないための予防策を講じることも、重要になります。流行地域に赴く際には、コウモリやチンパンジーなどの野生動物に接触しないのはもちろん、調理状況のわからない肉類の摂取も避ける必要があります。また、葬儀で死者に対して接触する風習を持つ地域もありますが、こうした行為を避けることも大切です。
 感染拡大を予防するためにも、渡航歴や症状からエボラ出血熱が疑われる場合には、検疫所で申告したり地域の保健所に連絡することも大切です。
 ワクチンについては治療薬と同様で、一定の効果が期待できるものも開発されていますが、確実性のあるワクチンとして利用可能なものはありません。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

☐用語 黄熱 [用語(あ行)]




 
[天秤座]黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症
 黄熱(おうねつ)とは、黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症。黄熱病、黒吐(こくと)病とも呼ばれます。
 黄熱ウイルスは日本脳炎ウイルスと同様のフラビウイルスという仲間に分類され、人間以外にも猿や蚊の中でも生息することが可能であり、人は蚊に刺されることで病原体に感染します。
 主に媒介するネッタイシマカはアフリカおよび南アメリカの熱帯ないし亜熱帯地域に広く生息しており、同地域に一致して黄熱は流行しています。具体的には、アフリカは赤道南北それぞれ15度の緯度の範囲、南米においてはパナマから南緯15度までの地域で流行しています。
 ネッタイシマカに刺されて黄熱ウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出現しません。しかし、感染後3〜6日ほどの潜伏期間をへて、症状を示す人もいます。その初発症状は高熱と頭痛であり、手足の痛み、腰痛、嘔吐(おうと)、正常よりも脈が遅くなる徐脈などが起こります。重症化することがなければ、3日程度の経過で症状は改善します。
 感染者のおよそ15%で重症化し、初発症状から改善したようにみえて、数時間から1日後に突然高熱が再燃します。高熱であっても、1分間に50回ほどの徐脈を示し、60~100回の通常より遅くなることが特徴です。特に肝臓と腎臓(じんぞう)に対する障害が強く、典型的な症状としては、黄疸(おうだん)、鼻や口、目、皮膚、消化管からの出血、蛋白(たんぱく)尿の3つを挙げることができます。
 黄疸とは、皮膚や眼球が黄色を示すようになる状態であり、このことから黄熱と呼ばれます。黄疸、出血、蛋白尿の3症状が現れるようになると、黒色の嘔吐、無尿、心不全、肝性昏睡(こんすい)などに陥り、1週間から10日までに亡くなる場合があります。
 世界保健機関(WHO) の推定によると、1990年代の初めから、全世界で毎年3万人の死亡者を伴う20万人の黄熱患者が発生し、そのうち90%はアフリカで発生しています。ブラジルでは、2017年7月1日から2018年2月15日までに、死亡者118人を含む409人の黄熱の確定患者が出ました。これは、2016年から2017年の同じ時期に報告された死亡者166人を含む532人の黄熱の確定患者よりも少なくなっています。
 日本での黄熱の扱いとしては、感染症法にて4類感染症に指定されており、患者を診断した医師から保健所への届け出が義務付けられている全数把握対象疾患となっています。これによると、日本での発症例は認めていませんが、海外の流行地域に赴く際には注意が必要です。「黄熱に感染する危険のある国」の情報は、厚生労働省検疫所が適時情報を流しています。
 黄熱に対してはワクチンによる予防接種が可能であり、入国に際して予防接種証明書の提示が義務付けられている場合もあります。黄熱ワクチンはどの医療施設でも接種可能というものではないため、黄熱の流行地域へ渡航する際は時間的な猶予を持って対応することが必要で、渡航の10日前までに予防接種を受けることが推奨されています。接種者の95%以上で、10日目以後10年以上にわたり中和抗体が保持されます。
 なお、細菌学者の野口英世が黄熱の研究中に感染し、西アフリカのガーナで1928年に死亡したことは有名です。
[天秤座]黄熱の検査と診断と治療
 内科、感染症科の医師による予備的診断は、症状、渡航地域と渡航日、渡航中の活動に基づいて行います。検査室診断では、血液検査を行い、血液から黄熱ウイルスやその特徴的な遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。
 また、合併症の有無を評価します。肝臓と腎臓に障害を起こすことが多く、これらの評価が重要です。肝臓に関連して黄疸の原因となるビリルビン(胆汁色素)が高くなり、消化管出血の原因となる血液の止血にかかわる凝固機能にも異常を伴います。黄熱では蛋白尿を認めることもあるため、尿検査にてこれを確認することもあります。
 さらに、黄熱の流行地域でのほかの感染症も含めて、広く鑑別を行います。鑑別を要する疾患は、ウイルス性出血熱であるエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ病、南米出血熱などのほか、ワイル病、回帰熱、急性ウイルス性肝炎、マラリア、レプトスピラ症です。
 内科、感染症科の医師による治療では、黄熱に特化した抗ウイルス薬がないため、症状に応じた対症療法を主体にします。肝不全、腎不全に対する治療が中心となり、腎不全に対しては人工透析を行うことがあります。
 出血傾向を引き起こす血液の凝固異常に対しては、新鮮凍結血漿(けっしょう)や赤血球などの輸血を行います。高熱を伴うことから、熱に対しての対応も重要になります。
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

☐用語 エーラス・ダンロス症候群 [用語(あ行)]




   
[乙女座]皮膚、関節が過伸展し、結合組織がもろくなる遺伝性の疾患
 エーラス・ダンロス症候群とは、皮膚や骨、血管、さまざまな臓器などを支持する結合組織が脆弱(ぜいじゃく)になる遺伝性の疾患。
 原因や症状、遺伝形式の違いに基づき、複数の病型に分類されています。1998年の世界保健機関(WHO) の国際疾病分類では古典型、関節可動性高進型、血管型、後側湾(こうそくわん)型、多関節弛緩(しかん)型、皮膚脆弱型の6つの病型とその他の病型に分類されていましたが、2017年に改定されて13病型になりました。
 従来は非常にまれな疾患と見なされていたものの、最近では、すべての病型を合わせると、世界的にみて5000人に1人程度の有病率であると推定されています。
 エーラス・ダンロス症候群は遺伝子の変異によって起こる疾患で、発症に関連する原因遺伝子が複数報告されています。例えば、病型の1つである古典型については、COL5A1やCOL5A2といったⅤ型コラーゲン遺伝子上における異常が認められています。
 ほとんどの病型が、コラーゲン生成にかかわる遺伝子の異常、もしくはコラーゲンの成熟に必須の酵素生成にかかわわる遺伝子の異常で起こります。コラーゲンは、体を構成している全蛋白(たんぱく)質の30%を占めている重要な構成成分で、さまざまな結合組織に強度と弾力性を与える働きをしているため、遺伝子に異常が起こることで、コラーゲンや結合組織の強度や構造を保つためのさまざまな成分の生合成が阻害され、その結果、エーラス・ダンロス症候群が引き起こされると考えられます。
 ほとんどの病型で共通して認められる症状としては、関節の過伸展性、皮膚の過伸展性、結合組織の脆弱性が挙げられます。関節を支える靭帯(じんたい)などの結合組織がもろくなることから、関節は正常な可動域を超えて動き、脱臼(だっきゅう)しやすくなります。皮膚は健常な人と比べて非常に伸びやすく、感触は柔らかで滑らか、もろくて傷が付きやすい、できた傷も治りにくいといった特徴が認められます。
 また、コラーゲンには多くの種類があり、結合組織によりその構成や代謝が異なるために、各病型においては特徴的な症状が現れ、程度には個人差があります。
 病型にもよりますが、エーラス・ダンロス症候群で問題となる症状の1つは、血管がもろくなることです。特に血管型では、易(い)出血性であざができやすいほか、動脈解離や動脈破裂、外傷による出血、腸管や子宮などの内臓破裂が起きることがあり、予防や早期の適切な対応が必要になります。
 エーラス・ダンロス症候群に気付いた際は、皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科を受診します。
[乙女座]エーラス・ダンロス症候群の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科の医師による診断では、特徴的な臨床症状や病歴、家族歴から疾患の可能性を考え、さらにいずれの型に該当するか、将来どんな合併症が起こり得るかを特殊な検査で検討します。
 ほとんどの病型で共通して認められる関節症状や皮膚症状に関しては、関節の可動性や皮膚の過伸展性、委縮性瘢痕(はんこん)などの有無を調べます。皮膚組織の一部を採取する皮膚生検、採取した細胞や尿の成分を調べる検査などを行う場合もあります。心血管超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、骨のX線(レントゲン)検査などの画像検査も検討されます。
 また、コラーゲンの生成や成熟に重要な蛋白質や酵素にかかわる遺伝子異常が複数見付かっていることから、一部の病型では遺伝子解析により、遺伝子に異常がないかどうかを調べる場合もあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科、小児科、整形外科、形成外科、循環器科、遺伝科の医師による治療では、エーラス・ダンロス症候群自体に対する治療法はまだないため、それぞれの症状に応じた対症療法が中心となります。痛みが強い場合には鎮痛剤、血管がもろくなる場合は血圧を下げる薬の処方が検討されます。
 また、関節や皮膚、血管が脆弱であることから、激しい運動を避ける、サポーターを装着するといった予防も重要です。病型によって症状や経過が異なるので、正確な診断と適切な管理が必要となります。
 例えば血管型の場合には、動脈解離、動脈瘤(りゅう)、動脈破裂、腸管破裂、妊娠時の子宮破裂といった重篤な合併症を来す恐れもあるため、予防のための生活管理、専門医による定期的なフォローが必要です。体に負担のかかる検査や手術は、なるべく避けます。
 予後は、血管型以外は良好です。
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

☐用語 遺伝性アロマターゼ発現異常症 [用語(あ行)]




  
[双子座]遺伝性の原因により、アロマターゼの発現に異常が生じて発症する疾患
 遺伝性アロマターゼ発現異常症とは、遺伝性の原因により、アンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼが過剰に、あるいは過少に発現することにより発症する疾患。
 アンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)は、性差の決定にかかわるホルモンです。これらは男性だけ、あるいは女性だけが持つのではなく、両方の性ホルモンは適切な時期に適量でそれぞれの性において産生されています。テストステロン、デヒドロテストステロン、アンドロステロンなどのアンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼは、体内のさまざまな部位で発現し、血流によって運ばれてくるアンドロゲン(男性ホルモン)を基質として、局所的にエストロゲン(女性ホルモン)を産生しています。
 遺伝性アロマターゼ発現異常症の代表的な疾患は、アロマターゼ過剰症とアロマターゼ欠損症です。
[双子座]男性に乳房の発育を認めるアロマターゼ過剰症
 アロマターゼ過剰症は、遺伝性の原因により、男性に乳房の発育を認める疾患。遺伝性女性化乳房症とも呼ばれます。
 常染色体優性遺伝性の単一遺伝子病で、エストロゲン(女性ホルモン)合成酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。全身の臓器や細胞で、アロマターゼが過剰に発現し、血中のエストロゲン(女性ホルモン)が上昇します。
 血中のエストロゲンが持続的に高値となるため、思春期より前の小児期に発症し、症状が現れ始めます。大きな症状としては、高度で反復性の乳房増大、骨年齢進行による低身長、性欲の低下、精巣機能の低下などがあります。
 乳房の増大の程度は、強い場合が多いのですが、比較的軽い場合もあります。一過性でなく、進行性に乳房が増大してくる場合、父親または兄弟に同様の症状がある場合には、このアロマターゼ過剰症が疑われます。
 男性の乳房の増大は、身体的問題だけでなく、精神的問題を引き起こします。そのため、社会的活動性の著しい低下を来すことがあります。
 また、このアロマターゼ過剰症は、女性にも発症することがあり、症状としては巨大乳房、低身長、不正性器出血などがあります。乳がんや子宮体がんが発生することも懸念され、不妊症の原因になることもあります。
 アロマターゼ過剰症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、内科、外科、産婦人科、乳腺(にゅうせん)外科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
[双子座]エストロゲンが働かないアロマターゼ欠損症
 アロマターゼ欠損症は、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。
 常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。
 思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。
 一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。
 アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。
 アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。
[双子座]アロマターゼ過剰症の検査と診断と治療
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による診断では、乳房増大などの症状があり、かつ血中エストロゲンが高値があることからアロマターゼ過剰症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、外科、乳腺外科などの医師による治療では、症状が軽い場合はそのまま経過観察しますが、程度が強い場合や、若年発症で低身長が予測される場合には、乳がんなどの治療に用いられているアロマターゼ阻害剤を投与することにより、過剰なエストロゲン(女性ホルモン)の産生を抑制し、症状の改善や発症の予防を図ります。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、根本的な治療はできません。
 男児が女性のように乳房が大きくなることで身体的、精神的問題を抱えている場合は、外科的手術を行い、肥大した乳腺の組織をほぼ全部、または一部を切除することもあります。
 手術後にも、アロマターゼ阻害剤を投与し、乳房増大の再発を予防します。
[双子座]アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。
 小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。
 エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。
 第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。
 アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康
前の4件 | - 用語(あ行) ブログトップ